コメ余りによる価格の下落が懸念される中、政府は備蓄米を21万t買い戻す方針だが、生産者・卸売業者などからは、さらなる対応を求める声が上がっている。
■過去最大の民間在庫量に…「新米に切り替わるのが憂鬱で不安」
「値段は崩すことができない。農家の方々のプライドがかかっている」
新潟県柏崎市の桜井雅浩市長がこう話すのは、柏崎市の認証コシヒカリで通常より3週間早く栽培された米山プリンセスについて。
8月下旬に収穫され、厳しい基準をクリアした米山プリンセスは新潟市の百貨店で5kg7000円という価格で販売されている。
一方で、コメ全体で見ると、高まっているのが価格下落の懸念。
その要因となっているのが、2025年の備蓄米放出などを背景に過去最大となったコメの民間在庫量だ。
この状況に、魚沼産コシヒカリの生産地で9月1日、卸売業者などを招き開かれた懇談会では「まず25年産を売らなければいけない。正直言って重い」「今年ほど新米に切り替わるのが憂鬱で、不安で、ということは、いまだかつてないような状況」など25年産のコメの在庫を抱える卸売業者から厳しい現状が伝えられた。
■備蓄米の買い戻し決定も「21万tでは少なすぎる」
需給バランスが重要との意見が相次ぐ中、鈴木憲和農水大臣は「政府備蓄米の買い戻し手続きを開始する」と25年に放出した政府備蓄米59万tのうち、21万tを9月中に買い戻す方針を表明。
2日の有識者会議で正式に決定した。
しかし、生産者や卸売業者からは「買い戻しの量が少なければ、27年産で減らさなければいけないところが増える」と21万tでは少なすぎるという声も上がる。
魚沼米対策協議会の久賀満会長は「在庫量243万tの中から21万t買い戻したとしても、基準とする在庫量180万t~200万tという幅の中にはまだまだ入らないわけなので、それほど大きな緩和にはならないのかなと思っている」と話す。
■27年の民間在庫量 26年を40万t上回る試算
さらに農林水産省は27年6月末時点の民間在庫量の試算結果を公表。
買い戻し分を差し引いても最大で283万tに達するとしている。過去最大を記録した2026年を40万tも上回る形だ。
生産者や卸売業者にとっては、新米の季節を手放しで喜べない厳しい現実が続く。
