高齢の聴覚障がい者が手話で交流できる場所が岡山市にあります。9月の敬老の日を前に取材しました。
〇敬老会(寸劇)
「ろう者あるある」
「手がふさがって手話が使えないときは表情で」
(会員のろう者笑い)
ろう者の日常のありがちな場面を基にした寸劇で会場は笑顔に包まれました。この日はろう者26人が集まり、手話で交流を図りました。
岡山市南区にある「ももハウス」。高齢の聴覚障がい者が集う拠点としてNPO法人の岡山聴覚障害者支援センターが一軒家を借りて運営しています。聴覚障がい者に対する社会の理解を深める役割も担っていて岡山市を中心に約120人が在籍し、平均年齢は84歳です。
(佐藤理子キャスター)
「皆さん頑張っていますね。ももハウスでは毎回体操をして1日の活動を始めます」
活動は週に2回。体操や簡単なゲームなどを通じて交流を深めています。
(会員のろう者)
「下手でもいいのでみんなで集まるのは楽しい」
「面白いし、体が元気になれる」
ここで過ごす時の楽しみは手話で気兼ねなく会話ができることです。
(佐藤理子キャスター)
「手話で会話ができるということはどう?」
(会員のろう者)
「楽しい。手話で話ができるので落ち着く。集まって明るい生活ができるのは大切」
NPO法人の副理事長の土屋教子さん。2001年に、ももハウスの前進となるサロンをスタートさせた一人です。
(岡山聴覚障害者支援センター 土屋教子副理事長)
「岡山市だけで見ると聞こえない高齢者が集まる場所はなかったと思う」
聴覚障がい者は情報を手にしづらいことから孤立しやすい上に、高齢になると介護や生活の支援が必要になります。手話で意思を伝えられる環境はまだ十分ではないため障がいと高齢の二重のハンディを背負うと土屋さんは話します。
(岡山聴覚障害者支援センター 土屋教子副理事長)
「例えばヘルパーに家に来てもらう場合でもヘルパーが手話ができる状況ではなく、自分が困っていることや掃除してほしいなど自分の気持ちを手話で伝えることができず難しい」
介護保険制度がスタートした当時はうまく制度を利用できないろう者が多くいました。現在も、ももハウスの2階ではそうしたろう者と関係機関をつなぐなど一人一人のニーズに合った相談や生活支援も行っています。
ももハウスを運営する支援センターは2026年で設立15周年、活動を始めてからは25年になります。ろう者にとってはなくてはならない大切な場所となっています。
(会員のろう者)
「ももハウスに来る前は家にいたが、ここに来るとおしゃべりができるので楽しい。ここが大好き」
「10年後20年後も今と同じような形でずっと続いてほしい」
一方で活動を支えるスタッフも高齢化が進み、運営の在り方も含めて次世代にどう引き継いでいけばよいのか課題もあります。
(岡山聴覚障害者支援センター 土屋教子副理事長)
「次世代につなぐことが難しい。今は有償ボランティアという形で運営をしているが、つなぐところで(介護保険)制度がいいのか、このまま自主事業として継続がいいのかの判断もいずれはいるのかな」
この日は敬老会。3カ月に1回程度、ももハウスを飛び出して大きな会場を借りてイベントを開いています。より多くのろう者と交流の場を持てるようにとの思いからです。
活動が始まって25年。取り巻く環境は変化しても変わらないのは、手話を使ってありのままの自分を表現できる場所です。
(岡山聴覚障害者支援センター 土屋教子副理事長)
「皆さんと一緒に考えながら、先を見ながら元気で続けていけたらいいし、人生の中の後半部分がももハウスに行って楽しかった、会って話したのが楽しかったと思ってもらえる場にできれば」
手話を使って自分らしく交流できる場所。ももハウスは第2のような存在ではないかと思いました。
