身近な社会課題の解決を目指す「Re:change」。今回は岡山・香川で相次いで確認された特定外来生物の脅威に迫ります。
(篠原聖記者)
「こちらが、この夏、岡山・香川で初めて確認された特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」です。岡山県から標本を借りてきました」
・・・クビの部分が思った以上に赤く、小さいんですね。指の第一関節ほどしかない
「関係者からは「クビアカ」と呼ばれていて、体長は成虫で2センチから4センチ、中国や朝鮮半島などが原産のカミキリムシです。サクラやウメ、そしてモモといったバラ科の木に卵を産み付け、幼虫が木の内部から食い荒らすことから木を枯らす原因にもなっていて、2012年の国内初確認以降、全国に生息範囲を広げています。クビアカの驚異の繁殖力とその対策を取材しました」
岡山を代表する観光スポット、岡山後楽園。
(案内)
「網で囲まれた木が一番最初に発見された木」
Q:この網は?
「成虫になったとしても出ていかないように封じ込めている」
Q:この中にいる可能性が?
「あります!」
◆岡山後楽園のサクラ林で「フラス」を発見…ローラー調査では幼虫も→県内で初の「クビアカ」を確認
園内のサクラ林では7月、幼虫が木の内部に住みつく際に出すフンと木くずが混ざった「フラス」が見つかりました。その後のローラー調査では幼虫も見つかり、専門家の鑑定でクビアカと断定され、これが岡山県内で初めての確認。周辺のサクラ並木と合わせて4本の被害が確認されました。
(岡山県後楽園事務所 山田威夫所長)
「(穴は)けっこう大きかった。(岡山後楽園の園内には)サクラもあるし、向こうがウメ林で、ウメもバラ科。春には多くの客が来るので心配している」
◆香川県の小豆島では農園のスモモから「クビアカ」のDNAを検出
一方、香川県の小豆島では農業被害も…。農園で栽培されていたスモモ13本のうち6本でフラスが見つかり、クビアカのDNAが検出されました。
岡山・香川の両県は地元の農家らを対象とした緊急の研修会を開くなど、対策に乗り出しています。
(樹木医 松家大樹さん)
「特に発生が多いのが、お盆明けから10月いっぱいまで。そのフラスもその時期なら確認できるから被害木を一番多く発見できる」
◆高い「繁殖力」と時速50キロの車に付いても離れない「付着力」が脅威
関係者が危機感を募らせる理由はその高い繁殖力にあります。多くて約1000個の卵を産み、付着する力も強く、時速50キロの車に付いても離れないとされています。
2012年に愛知県で確認されてから年々生息範囲が拡大し、2026年は岡山・香川を含む6つの県で新たに確認され22都府県にまで広がりました。
◆施設のサクラ並木の景色も一変…大阪府ではクビアカの「捕獲数」を競うイベントも
被害が深刻な大阪では…
(大阪府立環境農林水産総合研究所)
「かなり幼虫の食害が進んだような状況だった」
クビアカの生態を研究しているこの施設でもクビアカが発生しサクラの木が並んでいた景色はご覧の通り(画像1)…。大阪府がクビアカの捕獲数を競うイベントを主催するなど、対策を強化していますが歯止めがかかっていないのが現状です。
(大阪府立環境農林水産総合研究所 溝手舜研究員)
「大阪だと被害が面的に広がっているので、地域から根絶するというのは現実的ではない状況」
クビアカの生態については日本に侵入して間もないことからまだ解明されていない点も多く、研究員からは気になる話が…
(大阪府立環境農林水産総合研究所 溝手舜研究員)
「モモはクビアカが好むので注意した方がいい。何が違うかはまだわからないが、調査している体感ではモモで被害出やすい印象」
ほとんどの地区ですでに今シーズンの出荷を終えている岡山の「モモ」。これまでに農家からクビアカに関する報告はありませんが、県はチラシなどを配って、農家に注意を呼びかけています。
清水白桃発祥の地、岡山市の一宮地区でモモを栽培している今井康隆さん。収穫を終えても定期的に畑を見回り、クビアカを警戒しています。
(JA岡山 一宮選果場果樹部会 今井康隆部会長)
「とうとう来たかという感じが強い。大被害という可能性もなくはないと思っているので注意していきたい」
全国で猛威をふるう特定外来生物クビアカツヤカミキリ。効果的な防除はまだ手探り状態です。
(JA岡山 一宮選果場果樹部会 今井康隆部会長)
「今はみんなで注意しながら早めに発見し、広がらないようにしていくことが重要。将来は特効薬となるような薬が出ることを期待している」
・・・対策が追い付いていないというのが現状ですが、特にモモは岡山の特産品ですから、影響が出ないか心配ですね
(篠原聖記者)
「2015年に初めて確認された徳島県では被害が一気に広がり、おととし(2024年)までに約40のモモ農園が廃園に追い込まれています。研究員の溝手舜さんは、まだ岡山・香川は封じ込める可能性があるとして「被害が限定的なのか、次のシーズンまでにしっかり調べることが重要」と話しています」
・・・おいしいモモを守るためにも、農家や県民一人一人も、発見したときには通報するといった意識を持つことが大切ですね。
「はい。ここで注意点です。クビアカを発見しても生きたままの捕獲はしないでください。必ずその場で捕殺し、県や関係機関に連絡してください。身近なところに迫るクビアカの脅威。その対策は待ったなしの状態です」
