未だ多くの被災者が住宅の再建にたどり着いていません。また、たとえ住む場所が直っても、疲労が重なり体調を崩してしまう人もいます。1年たった牧之原のいまを取材しました。
竜巻被害から1年がたった、静岡県牧之原市の細江地区。ブルーシートがかかった屋根は減りましたが、更地が目立ちます。
池ヶ谷透矢さん:
このあたりから奥が住宅があったところ
池ヶ谷透矢さんは、母と祖母の3人で住んでいた家が全壊の判定を受けました。
池ヶ谷透矢さん:
今年の2月に「自費解体」で解体をしてこれから新しく家を建てるんですけど、なかなかうまく話が進んでなくて、更地で草が生えちゃっている状態
時間がかかる「公費解体」はあきらめ、一旦費用を自己負担する「自費解体」を選びました。
9月には新居の建設が始まるはずでしたが、土地の境界線も確定していないことが明らかになり、まだ建築許可が出ていません。
池ヶ谷透矢さん:
(Q.一番大変だったことは)公費解体はすごく時間がかかって。行政のそういう進め方とかはやっぱり自分も不満がある
いまは、数ヶ月間だけと思って入居した民間のアパートを一日でも早く出たいと思っています。
池ヶ谷透矢さん:
今アパートの3階に住んでるんですけど、3階まで毎日上がったりとか、おばあちゃんも結構高齢なので
新しい家は、竜巻を教訓に設計しました。
池ヶ谷透矢さん:
平屋の方が住宅への損傷が低かったのをよく見たので、次は平屋に。(竜巻が来た)西側と南側はあまり窓を付けないか、小さくした
今度は災害に強い家に。2027年春までには完成させたいと考えています。
一方で、住む家が元に戻っても「復興した」とは言い切れません。
被災者の相談にのり、孤立防止のための見守りを行っている「牧之原市ささえあいセンター」。当初の見守り世帯は半壊以上の約340世帯、1年が経過した現在も、なお92世帯が対象となっています。
牧之原市ささえあいセンター 相談員・水野剛さん:
だいぶ落ち着いてきたとは思う。大雨が降ったり風が強かった日は思い出したりすることがある
相談員は被災世帯を訪問し、個別に状況を確認しています。
牧之原市ささえあいセンター 相談員・水野剛さん:
応急修理制度の申請の期限が9月4日に迫っていますので、修理の進捗状況を確認したいと思います
この日訪れたのは、高齢の夫婦の住まいです。
大石さん(妻):
家の中の片付けをしていたら、バランスを崩して骨折しちゃったの
大石さん(夫):
この1カ月ちょっと仕事に行けなくなっちゃった
大石さんの家は全壊判定でしたが解体はせず、住み続けるための修理をしてありました。
天井や畳、風で飛んでしまったドアも新しくなりました。
牧之原市ささえあいセンター 相談員・水野剛さん:
先月初めに連絡した時にはまだちょっと修理していた
大石さん(夫):
7月中旬頃、雨戸が全部入ってそれで全部(修理は)終わり
保険や支援金のおかげで金銭的な負担も最小限でした。ただ、心は晴れません。
大石さん(夫):
2階は雨戸閉めっぱなし。また台風でも来てやられては困るもんね
牧之原市ささえあいセンター 相談員・水野剛さん:
どうですか。体の調子は
大石さん(夫):
体調はまずまず。時々でも気持ち悪くなって夜中に吐いちゃう
大石さん(妻):
(家を)きれいにしてもらってもなんか疲れちゃっている。気持ちが上向いていかない。心が前みたいに元気にならない
大石さん(夫):
元には戻らないもんね
県外に住む息子が引っ越してくるよう言ってくれましたが、自分たちの年齢や飼っているネコのことを考え、とどまることにしました。
1年がたち、見た目には復興しているように見えるかもしれません。
しかし、被災者の支援が“終わった”と言える日は遠く先のことです。
