7月の熊本地震からきょうで1カ月となりました。災害関連死の疑いを含めこれまでに38人が亡くなり、避難所には現在も2400人以上が身を寄せています。さんさんテレビは発災から4日後にDMATの隊員として被災地に入った医師へ現地の様子を聞きました。キーワードとなるのは「災害関連死」です。
DMATの一員として被災地に入った高知医療センターの渡邊理史医師です。渡邊さん率いるチームは看護師や救急救命士ら5人で地震発生から4日後の8月1日に現地入りし、4日間活動しました。
高知医療センター DMAT・渡邊理史医師:
「実際、地区(被災地)に近づいてみないとこういう状況は分からなくて、熊本市内では大きな被害はなかったんですが、徐々に徐々に近づくにつれて被害の甚大さを実感した。この住宅は屋根もそうですが、塀も全部倒れて。これは倒れた塀です。家の中も丸見えの状況になっていまして」
そして避難所に到着し、目に入ってきたのは炎天下に置かれた簡易トイレでした。
DMAT・渡邊理史医師:
「外見も中もきれいにされていました。ただ、トイレに行くまでに外は40度の外気温でトイレの中はもう50度近い状況で。和式トイレになっているので腰をしゃがめるのは高齢者には非常にきついのかなと」
避難所には高齢者も多く、日常の生活から離れることで足腰が弱くなったり、認知機能が低下したりする生活不活発病のリスクが高まっていたといいます。
そこで渡邊さんのチームは避難所で掃除当番をつくり、協力してくれる避難者たちが自然と体を動かせる機会を設けたそうです。
今回、チームのメンバーには女性もいたため、女性にしか分からない気付きもありました。
DMAT・渡邊理史医師:
「女性の生理用品が受付に無造作に置かれていて、生理用品を取るのに『私はこれだったらすごく恥ずかしくできない』と。女性視点の避難所支援も大事かなと」
断水で使えなくなったシャワー室を更衣室にし、女性用の部屋の中に生理用品を置きました。また、汗をかいた体をぬれたタオルなどで拭けるようにと、中のレイアウトも工夫したそうです。
DMAT・渡邊理史医師:
「(ドアに)張り紙をさせてもらっています。ここは授乳室をつくらせてもらって、ここは診察スペースをつくらせてもらって、少しでも工夫してこの中で生活しやすいようにさせてもらった」
医師である渡邊さんがこうした避難所の環境改善に力を入れるのは、10年前の熊本地震での「ある数字」にあります。
2016年に起きた熊本地震では、亡くなった275人のうち地震による直接死は50人、避難生活で体調を崩して亡くなる「災害関連死」は直接死を大きく超える225人に上りました。
今回の熊本地震でも助かった命をどう守っていくかが課題となっています。
DMAT・渡邊理史医師:
「弁当や塩分の多い食べ物を取って、もともと高血圧の人がより高血圧になる。血圧を測るといつもより高いから薬を処方するのはいいんですが、根底の食事だったり生活環境を変えたりしてあげなければ本当の治療にならないんじゃないか」
竹久裕樹 記者:
「(先生の活動の)主軸にあるのが災害関連死をどう防ぐかということだと思うが、災害関連死は防ごうと思えば防げる死ということなのですか?」
DMAT・渡邊理史医師:
「僕はそう思っています。災害関連死の原因の多くが避難所での生活苦が一番の原因に挙げられていますので、医療的な観点だけでなく公衆衛生、生活的な観点で少し距離を置いた目線で見てあげられたらという思いで」
渡邊さんは医療支援に加えて生活へのサポートも念頭に活動するのがDMATに求められる役割だといいます。
高い確率で発生が予想されている南海トラフ地震で、高知県では県民の約半数が避難所生活になるといわれています。渡邊さんは被災地での経験を踏まえこう訴えます。
DMAT・渡邊理史医師:
「熊本の方から教わったのは、地域のコミュニティーだったり。つながりを強く感じました。助け合いというのが非常に重要なのではないかと思います」
渡邊医師はハード面の対策だけではなく、地域でのつながりを今だからこそ見つめ直すことが大切だと話していました。
