熊本地震の発生から8月28日で1カ月。復興に向けた動きが具体化しつつはありますが、鹿児島も完全に元の日常を取り戻したわけではありません。鹿児島県内にさまざまな形で残る地震の爪痕を取材しました。
7月28日の熊本地震で震度5強を観測したさつま町。町内にある宮之城中学校では渡り廊下の接合部分にゆがみが生じ、天井からは外れた金属板がぶら下がっていました。
あれから1カ月。再び宮之城中学校を訪ねました。
損傷した渡り廊下には、段差を解消するためのマットを設置。外れた金属板は補修が間に合わず、張り紙で注意を呼びかけています。
さつま町教育委員会によりますと、宮之城中学校で生じた床や壁の亀裂は、建設会社による調査の結果、安全性に問題は無いことを確認。
2~3カ月程度で復旧工事を進める予定だということで生徒や保護者が安心して新学期を迎えられるように準備を進めています。
宮之城中学校・松田真一郎教頭
「今危ない場所については全職員で把握できているので、そこをどうしていくのかを整えた状態で2学期をスタートさせたい」
地震の影響は、目に見えるものばかりではありません。
出水駅構内にある物産店には北薩地域のお茶やお菓子など特産品が並びます。
熊本地震では震度5弱を観測した出水市。店舗では一部の商品が落下しました。
現在は瓶に入った商品を移動させるなど対策をとっていますが、地震の影響は店の売り上げに深刻なダメージを残しているといいます。
要因となったのは、地震による九州新幹線の運行見合わせです。レールなどが被害を受けた九州新幹線は地震後、鹿児島中央~熊本間で運行を見合わせ。
8月7日に鹿児島中央~新水俣間での運行を再開しましたが、全線再開は9月18日の予定となっています。
その結果、店の売り上げは例年と比べて7割減の3割にまで落ち込みました。
特に影響が大きいのが人気商品のひとつ、駅弁です。
出水市観光特産品協会・益田茂満事務局長
「通常は5~6種類、30個程度置いているが、今は1種類の5個程度置いている」
駅の利用客の様子を見て今後の仕入れを決めるとしていますが、利用客も影響を感じているようです。
湧水町から
「やっぱり悲しい。元通りになってほしい」
出水市観光特産品協会・益田茂満事務局長
「今後こういったことがないように願う一方、一つ一つできることをやっていければ」
一方、地震の影響は思わぬ形でも現れています。
出水駅から徒歩1分の場所にあるビジネスホテルででも地震発生当時は、帰省客や観光客のキャンセルが相次ぎました。しかし現在では、予約数はむしろ例年以上だと言います。
KOKOSTAY出水・西村勇太支配人
「地震直後は医療関係の客が、高速道路開通を境に工事関係の客が増えた。例年は8割ぐらいだが8月は9割に乗るくらいの稼働」
この日、作業服姿でチェックインしていた男性は熊本県芦北の半導体工場に向かう整備士でした。
芦北に向かう宿泊客
「芦北だとホテルの数が少ない。出水の方に下ったほうが取りやすい」
男性は八代市在住で自身も被災しています。
芦北に向かう宿泊客
「(自宅は)液状化している。どうするかなと」
KOKOSTAY出水・西村勇太支配人
「復興支援のお客様に少しでも安心して休める空間を提供できれば」
地震から1カ月。
大きな被害を受けた熊本を支える隣県として。そして被災地のひとつとして。
復興に向けた道のりはまだ始まったばかりです。
