石川県や富山県で広い範囲に被害が出ている大雨について、片平敦気象予報士が解説。
今回の広範囲での被害は、複数の悪条件が重なってしまったことが要因だといいます。
■石川県や富山県になぜ大雨が
天気図を見ると、朝鮮半島から東北地方にかけて秋雨前線が長く伸びています。この前線の近くでは、梅雨前線と同様に大雨が起こりやすくなります。
さらに詳しく見ると、南には台風があり、夏の高気圧も存在します。秋雨前線は、暖かく湿った空気が流れ込んでいる領域を示すものです。
最近の蒸し暑さの「蒸し」の部分である湿気が雨雲の材料となり、西日本から東日本ではその材料が非常に豊富な状態でした。
その北側に秋雨前線があることに加え、上空には雷雲を発達させる引き金となる冷たい空気(寒気)が流れ込み、特に北陸地方で雨雲が発達しやすい気象状況となっていました。
これに加えて、秋雨前線の南側で西から湿った風が吹いたり、高気圧や台風の周りを回って、別のルートからも湿った空気が流れ込みました。風がぶつかる場所では大雨となり、雷雲が発達します。
■どこでも同じような危険性がある 雨が弱まっても注意を
今回、その状況が同じ場所で6時間から7時間といった長時間にわたって続き、いわゆる「線状降水帯」が発生。これがたまたま北陸地方の石川県や富山県周辺だったと考えられます。
この状況は、先日の千葉の豪雨とも類似しています。暖かく湿った空気と寒気が存在し、さらに風のぶつかり合いが房総半島付近で続いたことが原因でした。
このような条件が揃うと、お住まいの地域がどこであっても、同様の状況が起きてもおかしくありません。
石川県や富山県では、雨は一旦上がっている時間帯もありますが、西にはまだ発達した雨雲が控えています。気象庁の危険度分布(キキクル)によれば、富山県周辺はまだ紫色で示されており、土砂災害の危険度が非常に高い状態が続いています。
雨が弱まっても、地面には多くの水分が含まれているため、危険な状況は続きます。
■状況によっては避難所よりも自宅の2階が安全な場合も 早めの行動がカギ
現在、富山県や石川県の5つの市と町に出されたレベル5の「大雨特別警報」は、発表されてから避難するのでは手遅れになる可能性があることを意味します。
レベル5の情報が出る前に、早めの避難を心掛けてください。
大雨の際には、道路が冠水して用水路との境目が見えなくなるなど、避難行動そのものにも危険が伴います。特に日が沈んで暗くなると、さらに危険性が増します。
避難は、暗くなる前に、そして一人ではなく地域で声を掛け合い、安全な場所へ速やかに移動することが重要です。
また、状況によっては避難所へ移動するよりも、自宅の2階など、“より高い場所”へ移動する「垂直避難」が安全なケースもあります。
土砂災害の危険がある地域では、崖や斜面から速やかに離れることを心掛けてください。
■27日夜にかけて広い範囲で激しい雨 北陸地方では29日まで続く
今後の雨の見通しですが、発達した雨雲は次第に南へ移動し、大雨の範囲が変わってきます。
27日夜にかけては、近畿の北部や関東地方、特に神奈川県周辺を中心に再び発達した雨雲がかかる見込みです。
降り方はかなり激しくなる可能性があり、大雨となると考えておいてください。
28日正午までに予想される24時間の雨量は、北陸地方が最も多いですが、東北や関東甲信、東海地方でも150ミリに達する所があるでしょう。
さらに29日にかけても、北陸、東海、近畿では雨が続く見込みです。
■熊本では37度 暑さへの備えも忘れず
あす=28日も西日本から東日本の広い範囲で雨が降る見通しで、場所によっては大雨となる恐れがあります。
先日や今回、大雨となった千葉、石川、富山では、地盤が緩むなど災害への抵抗力が弱まっている可能性があるため、少しの雨でも油断は禁物です。
一方、熊本など晴れる地域では最高気温が37度に達する予想で、暑さという災害への対策も必要です。
この先1週間、富山では29日、30日、31日にかけても雨が降り続く見込みで、秋雨前線が停滞して再び大雨となる恐れがあります。
皆さんの家の近くにある小さな川が氾濫し、低い土地に一気に水が流れ込むことも十分に考えられます。
決して他人事だと思わず、しっかりと備えを進めてください。
