プレスリリース配信元:株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
「見えにくい貢献」を認められる職場ほど、就業継続意向が高い傾向に
企業における経営・人事課題の解決および、事業・戦略の推進を支援する株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(本社:東京都港区 代表取締役社長:山崎 淳 以下、当社)は、働く意欲と人事評価との関係を検討することを目的として、会社勤務の正社員を対象に「人事評価と職場における感謝・称賛に関する実態調査」を実施いたしました。
本調査が、今後の人材定着施策や職場づくりを検討する際の一助となれば幸いです。
【特に注目いただきたいポイント】
- 制度への期待と実感に約3倍のギャップ: 評価制度を「重要」と感じる人は6割超(62.2%)に対し、満足している人は約2割強(23.2%)にとどまる
- 「評価理由の説明」の有無が、ワーク・エンゲージメントを大きく左右:評価理由の説明に関して期待が満たされている人はそうでない人に比べ、ワーク・エンゲージメントが有意に高い傾向
- 感謝の言葉はあっても、仕事や貢献への承認実感は低い: 日常的に感謝の言葉が交わされている職場は約6割(56.7%)の一方で、「良い仕事や成果がきちんと認められている」は約4割(41.8%)、「目立ちにくい貢献まで気づいてもらえる」と感じている人は3割未満(27.7%)
- 感謝・称賛を実感できる職場ほど、定着率が高い: 感謝・称賛を実感できる職場では就業継続意向が約1.3ポイント高く(4.20 vs 2.90)、離職意向・バーンアウト(燃え尽き症候群)も有意に低い傾向
評価制度を整えるだけでなく、職場における感謝・称賛を通じて日常の貢献を見えるものにすることの両方が、働く意欲や職場への定着を支える鍵となります。
【エグゼクティブサマリ】
・評価が低いこと・見えにくい貢献が認められないことで意欲が下がる人はそれぞれ約3割
--給与と並ぶ水準で「評価の納得感」がモチベーションを左右【図表1】
・評価制度は重要と感じる人が6割超(62.2%)、しかし満足しているのは約2割強(23.2%)--期待と実感の間に約3倍のギャップ【図表2・3】
・「評価者によるばらつきの小ささ」「見えにくい貢献への目配り」は、現在の会社に対して「より重視して欲しい」と思っている回答者が多い。
--評価制度に求められるのは「評価基準の明確さ」だけではない【図表5】
・直近の人事評価へ満足していると回答している人は約半数(53.0%)
--評価理由の説明や上司との話し合いによる納得感がワーク・エンゲージメントを左右【図表6・7・8】
・感謝・称賛を実感できる職場では就業継続意向が約1.3ポイント高い(4.20 vs 2.90)
--「目立ちにくい貢献まで気づいてもらえる」職場は3割未満(27.7%)にとどまる【図表11,13】
1.調査担当のコメント
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
組織行動研究所 研究員
久米 光仁(くめ こうじん)
今回は、モチベーションを支える評価・報酬のあり方というテーマのもと、公式な人事評価制度に対してどのように考えているのかと、非公式だがモチベーションにつながるであろう職場の感謝・称賛の風土について尋ねました。人事評価と一口にいっても、各社さまざまな仕組みがあり、運用の方式もさまざまで、自社の評価制度に悩む人事の方も多いのではないでしょうか。

人事評価を再考する際、評価項目や基準という評価制度そのものだけではなく、日常の仕事の成果・貢献を誰がどのように見つけて、報いるかに注目する必要があります。働く意欲を支えるには、自分の努力・仕事の過程や意義が周囲に見てもらえていると感じられることが欠かせません。さらに、自分の評価の理由について対話を通して理解し、次の仕事につなげること、評価項目に必ずしもあるわけではないが重要な取り組みや貢献への感謝・称賛を忘れないことが重要であるといえるでしょう。
2.調査の結果
- 評価が低いこと・見えにくい貢献が認められないことで意欲が下がる人はそれぞれ約3割
- - モチベーション低下要因の上位は「給与が上がる見通しがないこと」(36.3%)、「給与が低いこと」(34.8%)であった。【図表1】
- - 「評価が低いこと」(29.3%)、「見えにくい貢献が認められないこと」(26.8%)、「公正に評価されていないこと」(25.3%)も約3割が選択した。【図表1】
⇒ 賃金は依然として重要な要素である一方、働く人は「どのように評価されるか」についても賃金に続いて注目しています。評価が低いことだけでなく、日々の努力や周囲への支援など、成果として見えにくい貢献が認められないこともモチベーション低下につながっています。
図表1 モチベーション低下要因

- 評価制度は重要と感じる人が6割超、しかし満足しているのは約2割強--期待と実感の間に約3倍のギャップ
- - 人事制度を「とても重要である」「重要である」と回答した割合は、賃金制度75.9%、評価制度62.2%、昇進・昇格制度51.5%であった。【図表2】
- - 「とても満足している」「満足している」と回答した割合は、賃金制度29.6%、評価制度23.2%、昇進・昇格制度24.4%にとどまった。【図表3】
⇒ 人事制度は、働く人にとって重要な制度として認識されている一方で、十分な満足を得られている人は限定的であることが分かりました。評価制度は、賃金や昇進・昇格を決める仕組みであるだけでなく、企業が何を重視し、どのような行動を期待しているのかを従業員へ伝えるメッセージとしての役割も担っています。そのため、制度の設計だけでなく、従業員が納得できる運用やコミュニケーションを検討する必要があると考えられます。
図表2 人事制度の重要度

※ %は小数第2位で四捨五入しているため、文中・表中の数値を足し上げた値と合計の数値などが一致しない場合があります。
図表3 人事制度の満足度

- 評価制度に求められるのは「評価基準の明確さ」だけではない。「評価者によるばらつきの小ささ」「見えにくい貢献への目配り」については、現在の会社に対して「より重視して欲しい」と思っている回答者が多い。
- - 評価制度の特徴では、全体としていずれか一方に大きく偏る項目は多くない。比較的差が大きかったのは、「協調を促している/競争を促している」であり「協調を促している」「どちらかといえば強調を促している」を合わせた値は64.9%であった。【図表4】
- - 勤務先企業が重視していると思う要素の上位は、「評価基準が明確であること」(34.8%)、「評価結果が処遇に適切に反映されていること」(29.9%)、「チームへの貢献が見られていること」(28.4%)であった。【図表5】
- - 回答者本人が人事評価に納得するために重視されることが望ましいと思う要素の上位は、「評価基準が明確であること」(37.5%)、「評価結果が処遇に適切に反映されていること」(34.1%)、「評価者によるばらつきが小さいこと」(30.5%)であった。【図表5】
- - 本人が望ましいと思う割合が、現在の会社が重視していると思う割合を上回る項目として、ギャップが大きいのは、「評価者によるばらつきが小さいこと」(+8.9ポイント)、「直接評価につながらないが、重要な仕事も見られていること」(+8.3ポイント)であった。【図表5】
⇒ 評価基準の明確さや評価結果の処遇への適切な反映は、「回答者の勤務先企業が重視していると思う要素」と「回答者本人にとって重視されることが望ましいと思う要素」として、共通して上位に挙がっています。一方で、「評価者によって判断がばらつかないこと」「直接成果に結びつきにくい重要な仕事も見てもらえること」は、回答者本人が「重視されることが望ましい」と思う割合の方が上回っていました。評価制度には、基準の明確さや処遇への反映に加え、評価者による判断の一貫性を高め、成果として表れにくい仕事も適切に捉えることが求められていることがうかがえます。
図表4 人事評価制度の特徴

図表5 人事評価について重視されている項目と重視されることが望ましい項目

- 評価に関する期待が満たされている人ほど、ワーク・エンゲージメントが高い傾向--評価への満足には、納得できる説明や上司との対話も関係
- - 人事評価に関して回答者本人が望ましいと考える要素が実際に満たされている人(充足群)と満たされていない人(未充足群)のワーク・エンゲージメントを比較したところ、多くの項目で充足群の方が高い傾向が見られた。最も差分が大きかった項目は、「評価理由が説明されていること」であった。【図表6】
- - 直近の人事評価への満足計は53.0%、不満足計は47.0%と、満足層と不満足層がほぼ二分された。【図表7】
- - 満足の理由として挙げられたのは、「自己評価と概ね一致している」「妥当な評価が得られている」といった評価への納得感、「上司と定期的に話し合える」「成長を評価してもらえている」といった承認・フィードバックなどであった。【図表8】
- - 不満足の理由として挙げられたのは、「努力や成果が評価に反映されない」「目に見える成果だけで判断される」「何が評価されているのか分からない」といった評価基準の不透明さや制度運用への不満であった。【図表8】
⇒ 人事評価においては、評価基準や処遇への反映を整えるだけでなく、従業員が重視してほしいと考える要素が、実際の評価でも重視されていると感じられることが重要です。なかでも、評価理由の説明に関する期待が満たされている人と満たされていない人では、ワーク・エンゲージメントに大きな差が見られました。また、直近の評価への満足・不満足の理由からは、評価結果そのものだけでなく、「なぜその評価になったのか」を理解できることや、上司との対話を通じて自身の仕事や成長が認められていると感じられることが、評価への納得感に関係していることがうかがえます。
図表6 ワーク・エンゲージメントの平均

図表7 人事評価などの満足度

図表8 直近の自身の人事評価に対する満足・不満足の理由

- 約6割の人が職場で「日常的に感謝の言葉が交わされている」と回答--しかし「目立ちにくい貢献にも気づいてもらえる」は3割未満。感謝・称賛を実感できている職場では就業継続意向が約1.3ポイント高い
- - 仕事上の成果や貢献について、会社や職場の人から感謝・称賛を「伝えられたい」と回答した人は47.3%であった。その理由として、「モチベーション・やりがいにつながる」「周囲が見てくれていることを実感できる」といった回答が挙げられた。【図表9・10】
- - 「日常的に感謝の言葉が交わされている」のあてはまる・どちらかといえばあてはまるの計は56.7%に上る一方、「良い仕事や成果がきちんと認められている」は41.8%、「成果だけでなく、努力や工夫も認められている」は38.4%、「目立ちにくい貢献にも気づいてもらえる」は27.7%にとどまった。【図表11】
- - 感謝・称賛制度は「永年勤続表彰や休暇付与」(39.6%)、「社員の成果や貢献を称える表彰」(30.5%)が中心で、「社員同士で感謝や称賛を伝え合う仕組み」は14.9%にとどまった。【図表12】
- - 感謝・称賛の実感が高い群では就業継続意向平均4.20であったのに対し、実感が低い群では2.90と、約1.3ポイントの差が見られた。バーンアウト(燃え尽き症候群)・離職意向についても、実感が高い群で有意に低い結果となった。【図表13】
⇒ 感謝・称賛は評価制度の代替ではありませんが、同僚への支援、トラブルの未然防止、チームの雰囲気づくりなど、成果指標だけでは捉えにくい日常の貢献を可視化する重要な接点となり得ます。現在の制度は「節目型・表彰型」が中心であり、日常の貢献を拾い上げる仕組みはまだ十分に広がっていません。評価制度の運用(評価理由の説明や上司との話し合い)に加え、日々の仕事の中で具体的な貢献に気づき、言葉にして伝えることが、働く意欲を支え、職場への定着を高める鍵となります。
図表9 仕事上の成果や貢献について、感謝や称賛を伝えられたいと思うか

図表10 感謝・称賛を伝えられたい・伝えられたくない理由

図表11 職場における感謝・称賛の状況

図表12 感謝・称賛制度の導入状況

図表13 称賛の実感別に見たワーク・エンゲージメントなど

3.調査概要
- 人事評価と職場における感謝・称賛に関する実態調査
調査目的:本調査では、働く意欲と人事評価との関係を検討することを目的として、仕事をする上でのモチベーション低下要因、人事制度への満足度、職場における感謝・称賛の状況などについて尋ねた。
調査日: 2026年5月15日~17日
対象者:会社勤務の正社員
※「自社の人事評価制度がある」と回答した人
※勤務先の従業員規模は300名以上
調査内容:仕事をする上でのモチベーション低下要因/人事制度(賃金制度・評価制度・昇進昇格制度)への重要度・満足度/人事評価制度の特徴・重視される要素/評価面談・フィードバックの経験/職場における日常的な感謝・称賛の状況/感謝・称賛制度の導入状況など
調査方法:インターネット調査
有効回答数:328名
リクルートマネジメントソリューションズについて
ブランドスローガンに「個と組織を生かす」を掲げ、クライアントの経営・人事課題の解決と、事業・ 戦略推進する、リクルートグループのプロフェッショナルファームです。日本における業界のリーディングカンパニーとして、1963年の創業以来、領域の広さと知見の深さを強みに、人と組織のさまざまな課題に向き合い続けています。
●事業領域:人材採用、人材開発、組織開発、制度構築
●ソリューション手法:アセスメント、トレーニング、コンサルティング、HRアナリティクス
また、社内に専門機関である「組織行動研究所」「測定技術研究所」を有し、理論と実践を元にした研究・開発・情報発信を行っております。
※WEBサイト:https://www.recruit-ms.co.jp
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