被害件数・被害額がともに増加し続けている「SNS型ロマンス詐欺」。
SNSや電子メールを通じて知り合った相手から恋愛感情を抱かせ、お金をだまし取るこの手口について、犯罪ジャーナリストの多田文明氏が自ら”引っかかってみた”体験をもとに実態を明かしました。
■ 「心を盗んで、お金を盗む」幅広い世代で被害拡大
多田氏は、ロマンス詐欺を「『自分には関係ない』と感じてしまう」ことが危険だと指摘しました。
【多田文明氏】「みんなね、心の隙間にやってくるんです。いまはよくても、明日は分からない」
多田氏は「心を盗んでお金を盗む」のがロマンス詐欺の本質だと説明しました。
被害者は若い世代に限らず、60代・70代・80代にも広がっているということです。
■ 「次の日曜、時間作れますか?」 最初の接触は“間違いメール”?
多田氏が“引っかかってみた”詐欺は、ことし6月に届いた1通のメールから始まりました。
見知らぬメールアドレスから「次の日曜少し時間作れますか?」という短い文面が届いたのです。
一見すると、誰かが宛先を間違えた“誤送信”のように見えます。
多田氏は「間違いメールを装った詐欺の手口」だと分かったうえで、「はい」と一言返信しました。
多田氏は「返事すると、どんどん騙しに巻き込まれていく可能性がある」と解説し、知らない相手からの不審なメールには即座に削除・無視が有効だということです。
■ 「ふみかです」 “誘惑フェーズ”への切り替えはわずか1通
返信した後、相手から新たなメールが届きます。
【「ふみか」を名乗る人物】「あれ?『ふみか』です。前にグラビア風に撮影したら確認してくれるって言ってた件ですけど…。これから送っても平気ですか?」
メールには、グラビア風のセクシーな写真が添付されていました。
この内容に身に覚えがない人なら「そんなこと言っていない」と、すぐ気づくはずです。
多田氏はこの手口について、「『間違えてる』と思いながら、親切心で返信してしまう“お人好しの人”を狙っている」のだと言います。
さらに、セクシーな写真もたくさん送られるようになります。
相手からのメールは1日数十通にのぼり、6日以上にわたって続きました。
■ 「離れ離れになるの嫌だから」無料チャットへの誘導
やり取りが続く中、「ふみか」から「今のメールアドレスが使えなくなるから、私が登録した無料のチャットでやり取りしよう!」という連絡が届きます。
メールアドレスが使えなくなる理由は、「事務所の社長にやり取りを見られて携帯を取り上げられた」というものでした。
「“あきら”さんと離れ離れになるの嫌だから、早く無料でチャットしようね」
多田氏が使っていた偽名“あきら”に語りかけるこの言葉が、相手を新たなプラットフォームへ移行させる引き金になるのです。
■ マネージャーも登場 “公認”を装った信頼づくり
無料チャットでの甘いやり取りが進むと、「ふみか」から「会いたい」と連絡が来ます。
そうすると「ふみかのマネージャー」を名乗る人物からもメッセージが届きます。
【「ふみかのマネージャー」を名乗る人物】「あなたならふみかを任せられます。お二人が確実に会えるようにサポートします」
多田氏はこの演出の狙いについて、「第三者を通じてこちらに本気だと思わせ、会う気持ちを高める」効果があると指摘しました。
ここまでの段階では、お金の話は一切出ていないのもポイントです。
6日間にわたるやり取りの末、ついに日時と場所を決めて「会う」約束が成立しました。
■ 「無料期間終了」 会う当日に仕掛けられた罠
ついにやって来た約束の日に驚きの事態が!
使っていた無料チャットアプリから突然「無料期間終了のお知らせ」が届いたのです。
引き続きメッセージをやり取りするには、ポイントを購入しなければならないシステムに変更され、今回のチャットの場合はメール1往復ごとに「400円」が発生するようになってしまったのです。
ほとんどの人はここまでくると引き返せないと言います。
【多田文明氏】「もう会いたい気持ちになっている。 とにかくメッセージしないといけないと思って、ポイントを買って、メッセージを送る」
「今から行くね」「分かった」…そのたびに400円。
やり取りが積み重なるにつれ、費用もどんどん膨らんでいきます。
ただ、「ふみか」という人物は存在しません。多田氏は「絶対に会えない。今までいろんな人が試してみましたけど、会えないです」と断言します。
会えそうでいて、ギリギリのところまで引き延ばされ続けるうちに、被害額は数十万円から数百万円に達するケースもあるといいます。
いつ自分が詐欺のターゲットになるか分からない時代、SNSの怪しいメッセージには注意が必要です。
(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2026年8月25日放送)
