「あいプラン」は1930年、札幌市で創業。やわらぎ斎場や結婚式場の運営、互助会の展開などを通じ、冠婚葬祭のプロフェッショナルとして人生の大切な節目を支え続けている。今回は代表取締役の新道いくみさんに、幼少期の思い出から突然の事業継承、そして冠婚葬祭文化を未来へつなぐための新たな取り組みについて詳しく聞きました。

幼少期の夢とキャリア、そして突然の帰郷

――新道さんの子供時代はどんな様子でしたか
 「鼻の下の汚れを気にせず遊ぶような、やんちゃで活発な子でした。実家が事業を営んでいることは薄々感じていましたが、幼い頃は家で仕事の話を聞くことはなく、父が土日も働いているのが当たり前だと思っていました。将来の夢は『モーニング娘。』に憧れたこともあれば、小学校の国語の教科書で読んだ『千年残る釘を作る』という宮大工の職人の物語に感銘を受け、宮大工を目指すと言っていた時期もあります。興味の幅が広い子供でした」

――大学卒業後のキャリアと、家業を継ぐことになった経緯を教えてください
 「東京への憧れから進学し、就職活動ではビール会社にご縁をいただきました。飲食店への営業を通じ、ビールを売るためには店が繁盛しなければならないと学びました。立地や内装、オペレーションまで含めたアドバイスをするうちに店舗作りに目覚め、不動産デベロッパーへ転職しました。その1年後、父が心臓の病気で急逝し、札幌へ戻ることになりました。家業を継ぐか悩む以前に、まずは父のお葬式をやらなければという一心でした。準備を進める中で父を知る方々と接し、社員が遺族に寄り添う姿を見て、一緒にやっていこうと決意しました」


引き継ぎゼロからのスタートと、組織の絆

――会社員から突然の経営者就任、苦労はありましたか
 「引き継ぎは完全にゼロでした。初めて部下を持った状態で、かつそれまで忘年会の幹事としてお店を探す側の立場だったのに、いきなり指示を出す立場に切り替えなければならないことに、未だに模索しています。しかし、そんな私を社員一同が支えようという気概を持って受け入れてくれました。父が作ってくれた社風のおかげで、この二年半、なんとか一枚岩の組織としてやってこれたという実感があります」

――経営者となった今、お父様から教わった言葉で大切にしているものはありますか
 「父は怒らない人でしたが、大人になってから一度だけミスをした際に『何でも考えずにとりあえずやってみようとするけれど、それが身を滅ぼす時がいつか来るよ』と叱られたことがあり、その言葉が深く残っています。父から経営のノウハウを直接教わったことはありませんが、新しい決断をする際は、この言葉を常に頭の隅に置いています。『大丈夫かな』と立ち止まり、冷静になるための時間を父の言葉が与えてくれています」


パーパスの策定と、冠婚葬祭の新たな価値創造

――経営者として最初に取り組んだことは何ですか
 「『あいプラン』という名前と、主軸であるやわらぎ斎場がリンクしていないという課題がありました。また、社員が誇りを持って仕事をしている一方で、それを社内外に言語化して強みとして伝えきれていないと感じていました。そこで、パーパスを『つながりをかたちに』と定めました。私たちはセレモニーをこなすだけでなく、家族や友人が感じるつながりを具体化し、形にすることが使命です。この言語化に合わせて、ロゴのリブランディングも大きく行いました」

――スポーツとの関わりについてどう考えていますか
 「先代の父の時代からスポーツ文化のサポートを大切にしてきました。札幌で育てていただいた会社ですので、個人のお客様を相手にする商売として地域にお返しをしたいという思いがあります。北海道が地方の一つとして盛り上がっていくためにも、私の代になっても変わらず、一緒になって取り組んでいきたいと考えています」

――一人ひとりに合わせた形を追求していますが、どんな事例がありますか
 「今の葬儀や結婚式はパッケージ化されているものも多いですが、同じものは二度とありません。お客様から『こんなことできるの?』と聞かれた際には、なるべく応えられるようにしています。コーラスをされていたお母様が亡くなった際には、録音した歌を流し、仲間が棺を囲んで一緒に歌を捧げるというお別れの形がありました。また、コンサドーレのサポーターのお葬儀では、参列者がユニフォームを着てチャントを歌ってお見送りすることもありました。こうした経験は私たちとしても非常に勉強になりますし、ご家族やご友人が『そこまでやってよかった』と思えるご供養につながります。そのような取り組みをもっと提案できるように、私たちも経験を積みながら追求しています」


「つながり」を日常へ――冠婚葬祭の枠を超えた未来

――ボスとして大切にしていることを教えてください
 「ボスとしても人間としても、リスペクトの気持ちを持つことです。社員に対しても、日頃から『一対一の人間』として接することを大切にしています。ただの役職者と部下という関係ではなく、お客様や、お取引先様に対しても、対等な関係でお互いの仕事に敬意を持って向き合いたいと常に考えています」

――今後の展望を教えてください
 「冠婚葬祭の文化を廃らせないことが第一です。簡素化の流れはありますが、本来の目的を忘れず、きちんと寄り添うことで文化を残していきたいです。その上で、冠婚葬祭という人生で何度もないイベントだけでなく、日常的にお客様とつながれるサービスを増やしたいと考えています。お客様に『あいプランでよかった』『会員でよかった』と日常的に思っていただける存在になりたいです」

――具体的に、日常の中でどのようにサービスを展開するのですか
 「すでにレストラン事業には力を入れていますが、さらに日常使いできるサービスを増やしています。最近では、旭川で30年続いた和食料理店『小城』の事業承継を行いました。また、円山のおせんべい店『サムライ煎兵衛』も譲り受けました。お土産や食事など、日常的に使っていただくことで『これもあいプランなんだ』と親しみを感じていただけるような事業展開を考えています」

 北海道の活性化を目指すボス達と北海道の未来と経営を楽しく真剣に語り合うUHB「#BOSSTALK」(ボストーク)。廣岡俊光キャスターがBOSSの本音に迫ります。

北海道文化放送
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