地震や豪雨など自然災害への警戒感が高まるなか、実際の防災対策はどこまで進んでいるのか。マーケティングリサーチ大手「インテージ」が全国の15歳から79歳の男女5000人を対象に調査を実施した。
調査は7月22日から27日に実施され、7月28日に発生した令和8年熊本地震以前の結果となっている。

それによると、家庭での防災対策実施率は52.8%と半数を超えたものの、防災関連支出は前年とほぼ横ばいとなった。また、防災対策を行っていない人の4割超が「必要性は感じるが後回しにしてしまう」と回答しており、意識と行動の間に大きなギャップがある実態が浮かび上がった。

防災費用は年間2877円 「かけたい費用」は2年連続で減少

調査によると、過去1年間に家庭で使った「1人あたりの防災対策費用」は2877円だった。前年の2892円からほぼ横ばいだった。

一方で、「今後1年間でかけたい防災対策費用」は5271円となり、2年連続で減少した(2023年:5327円、2024年:5748円、2025年:5473円)。
インテージは、「過去の調査では大規模地震の発生後に支出意向が高まる傾向もみられており、防災意識は災害発生の影響を受けやすいことがうかがえる」としている。

単身世帯の備え進むも6割は未実施

防災対策の実施率は全体で52.8%となり、3年前と比べて約5ポイント上昇した。背景には単身世帯の意識向上がある。

単身世帯の実施率は2023年の32.0%から40.2%へと約8ポイント上昇した。
特に20代の一人暮らしでは実施率が約1.8倍に増加した。しかし、依然として単身世帯の実施率は全体平均を10ポイントあまり下回っている。

全体の約半数、単身世帯では約6割が防災対策を行っていないことが分かった。

備蓄よりも猛暑対策が増加

現在実施している防災対策では、「水の備蓄」が34.0%で最も高く、「レトルト食品・インスタント食品」が28.2%で続いた。防災の基本とされる飲料水や食料の備蓄は依然として中心的な対策となっている。

しかし、多くの備蓄・防災用品関連の項目では前年を下回るか横ばいとなった。
その一方で、「水分をこまめに取る」などの猛暑対策は26.4%となり、前年を上回った。「冷房と扇風機の併用(18.0%)」や「不要不急の外出を控える(16.2%)」といった暑さ対策も前年を上回った。

(上位10項目)
水:34.0%、レトルト食品・インスタント食品:28.2%、水分をこまめにとり猛暑対策:26.4%、マスク:25.6%、ティッシュペーパー・トイレットペーパー:24.7%、ビニール袋・ゴミ袋:22.6%、乾電池:21.7%、缶詰:21.5%、ウェットティッシュ:19.3%、非常用持ち出し袋:19.3%

被災経験者は対策を充実

調査では、地震による被災経験の有無による違いも分析した。

その結果、被災経験者は調査対象の48項目すべてで防災対策実施率が全体平均を上回った。
特に水の備蓄は4割を超え、乾電池やモバイルバッテリー、充電器といった停電対策の実施率は全体の約1.3倍に達した。

また、猛暑対策についても被災経験者の実施率が高く、災害を実際に経験した人ほど幅広いリスクを想定して備えを進めている傾向が確認された。

・水:被災経験者40.8%、全体34.0%
・乾電池:被災経験者27.8%、全体21.7%
・モバイルバッテリー・充電器:被災経験者24.3%、全体18.4%
・水分をこまめにとり猛暑対策:被災経験者31.5%、全体26.4%

最大の壁は「お金」より「後回し」

防災対策を実施していない人に理由を尋ねたところ、最も多かったのは「必要性は感じるが後回しにしてしまう」の42.2%だった。
次いで「何から始めればよいかわからない」が28.8%、「お金がかかる」が22.9%となった。

インテージは「日々の生活コストが上昇するなか、防災の必要性を感じながらも支出に踏み切れない生活者の姿も想像される」としている。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

記者として社会部10年、経済部2年、ソウル支局4年半の経験を持つ部長、政治部デスクから異動した新たな編集長に加え、社会部デスク、社会部記者、経済部記者、モスクワ支局長、国際取材部記者、報道番組ディレクター・プロデューサー、バラエティー制作者、元日経新聞記者、元Yahoo!ニュース編集者、元スポーツ紙記者など様々な専門性を持つ副編集長・デスクを合わせ11人が所属。事件や事故、政治に経済、芸能やスポーツまで、あらゆるニュースを取り扱うプロ集団です。