熊本地震の発生から18日で3週間です。これまでに地震による死者は39人に上っています。震度6強を観測した八代市で妻を亡くした男性は、連れ添った50年を走馬灯のように思い出すと現在の胸の内を語りました。
尾村不二夫さん:
「『助けてください』と言って用水路に入ってしまっていた。思い出すと『30秒早ければ良かったんだろうなあ』、『30秒遅ければケガはしても死んではいなかったんだろうなあ』と」
無念の胸の内を明かしたのは、八代市鏡町で妻・トヨ子さんを亡くした尾村不二夫さんです。トヨ子さんは地震が発生した時間帯は毎日、花の水やりのため外に出ていたといいます。
不二夫さんは倒壊した自宅の中からどうにか脱出。トヨ子さんの姿を探すものの見つからず、その後に駆け付けた警察が自宅そばの用水路に転落し、亡くなっているのを発見しました。溺死でした。
2人の子供と3人の孫に恵まれた夫婦。不二夫さんの退職後は自宅の周りで一緒に花を育てていました。
尾村不二夫さん:
「ここは子供の通学路。自転車でみんな通る。『きれいだね』と思うと心が和む。そういうところなら事件・事故は起きないだろう、そういう町にしたいなあと思って始めた。500メートル、雑草を花畑に変えることを目標にしていた」
不二夫さんは自宅に住めなくなり、今は姉の家に身を寄せ、飼っているネコ3匹の譲渡先を探しているといいます。思い出すのはトヨ子さんと連れ添った約50年の日々です。
尾村不二夫さん:
「仏の顔を見た時に胸がいっぱいになって、とても言葉を発することはなかった。走馬灯のように画面が出てくる。喧嘩もしながら人生の荒波を超える瞬間を思い出すようになった」
この3週間で心境の変化もあったといいます。
尾村不二夫さん:
「動転していたけど、最近は少し落ち着いて『やり残したこともあるけど、もう一回チャレンジする気合を育まないとこの先、生きていけないのかなあ』とか、(妻が)亡くなったからこその気付きが少し増えてきた」
「さようなら、ありがとう」とトヨ子さんに伝えたいと話す不二夫さん。地震の発生から3週間。被災者はそれぞれに置かれた状況でそれぞれの時間が流れています。
