島根スサノオマジック元主将が新たな挑戦
17年間のプロキャリアに幕を下ろした元島根スサノオマジックのキャプテン・山下泰弘さんが、“第二の故郷”島根でバスケットボールスクール「SKILLAP(スキラップ)」を立ち上げた。
初日から18人の小学生が集まり、現役さながらの動きで1対1に胸を貸す山下さんの姿に、子どもたちの目が輝いた。
17年間のプロ生活に幕 次に選んだ舞台は島根
島根スサノオマジックが2度目のB1昇格を果たした2019-20シーズン、山下泰弘さんは福岡から島根へと移籍した。
チームの司令塔としてコートを仕切り、キャプテンとしてチームをまとめた3シーズン。
その後は佐賀バルーナーズへ移籍し、2026年5月、17年間にわたるプロバスケットボール選手としての生活に終止符を打った。
引退後のセカンドキャリアの舞台として山下さんが選んだのは、ほかでもない島根だった。
プレーヤーとしての歩みを通じて深まった島根との絆。
「やっと帰ってこられた。中学、高校と松江で全国大会がありましたし、妻が松江出身で島根には縁を感じていました」と山下さん、公私ともに結びつきの深い”第二の故郷”へ、指導者として戻ってきた。

子どもたちの「スキルアップ」を全力サポート
7月、山下さんは松江市を拠点にバスケットボールスクール「SKILLAP(スキラップ)」を開講した。
スクール名には、個人の『スキルアップ』をサポートしたいという思いが込められている。
対象は小学生から高校生まで、3クラス制で平日の5日間にわたって開講する。
「バスケットを17年間トップでやってきた経験を子どもたちにどうしても伝えたいので、そこを一生懸命やっていきたい」と、初心者からプロを志す生徒まで幅広く受け入れる体制だ。
山下さんとともにこのスクールを立ち上げたのが、島根スサノオマジックの元広報担当・山下真奈さんだ。
現役時代から山下さんのそばでチームを支えてきた人物でもある。
山下真奈さんは「山下選手は実直で、私生活もきちんとしていて、選手のお手本のようなプレーヤーだったと思います。今後、引退される選手も増える中、選手も希望を持てるようなビジネスモデルになればいいなと思っています」と語る。

「基礎を徹底」現役さながらの動きで子どもたちを指導
開講初日、山下さんは「気持ちは高ぶっていますよ」と笑顔を見せた。
集まったのは、小学生高学年の18人。
指導者としての第一歩がここから始まった。
練習はまず、山下さんの母校でもあるバスケの名門・福岡大附属大濠高校でも取り入れられているウォーミングアップから入った。
リズム感を養うトレーニングで、緊張気味の子どもたちの体をほぐしていく。
続いてボールコントロール、そしてドリブルへと練習は進んだ。
「指先でコントロール、ボールをつまむように」「ドリブルの強さが大切になるから、まずそこを見直すからね」「(この時期に)基礎の部分にいかに努力できるかどうかが、今後のキャリアに関わってくる」と、山下さんは基礎の徹底にこだわり、一人一人に丁寧な指導を行った。
1対1では山下さん自らが胸を貸した。
その動きは、まだまだ現役そのものだった。
約1時間20分の練習を終えた山下さんは、「子どもたちと一緒に身体を動かすことによって、僕も楽しくなりましたし、もっともっと教えていきたいと思いました」と振り返った。

「プロに行って活躍したい!」バスケ熱の火付け役に
島根ゆかりのトップ選手から直接指導を受けた子どもたちの感想は、「楽しかったです。ステップについて勉強になりました。今後、プロに行っても活躍できる選手になりたいです」「うまかった。ドリブルのスピードが速かった。私もドリブル、速くできるようになりたい」「元島根の選手にサインもらえてうれしかったです。飾るというか、使います」と、それぞれに鮮やかだった。
サイン入りボールを「飾るんじゃなくて使う」という言葉に、子どもらしい純粋さがにじんでいる。

島根への恩返しとその先に見据えるもの
「どんどん島根の街に還元できたらいいなと思っています。最終的にはスサノオマジックに入ってもらって、それにとどまらず、日本代表にも入って世界へ羽ばたいていってほしい」と、山下さんがスクールを通じて目指す未来は大きい。
“第二の故郷”への恩返しを誓い、子どもたちとともに歩むセカンドキャリアの挑戦が、島根で静かに、しかし力強く始まった。


