所得税の申告漏れなどを取り締まる立場の税務署職員が、約1億3500万円を脱税していたとして懲戒免職となった。元職員は資産家女性から受け取った現金などを申告せず、3年間で3億円を超える所得を隠していたという。“税の番人”による不正に波紋が広がっている。
“税の番人”が巨額脱税 国税職員を懲戒免職
驚くばかりの脱税事件。7日に会見で謝罪したのは、市民が日々稼ぐ所得や売り上げの申告漏れなどを厳しくチェックするはずの国税当局だった。

関東信越国税局・首藤好明総務部長:
このたびは国民の皆さまの信頼を損ねることとなり、誠に申し訳ございませんでした。
“税の番人”であるはずの税務署員が脱税。

関東信越国税局・首藤好明総務部長:
所得税約1億3500万円を免れておりました。

関東信越国税局は7日、茨城県竜ケ崎税務署に勤務する松尾康成職員(25)を懲戒免職処分にした上で、さいたま地方検察庁に所得税法違反容疑で告発した。

脱税額は、2025年分までの3年間で約1億3500万円にも上り、同時期の松尾元職員の所得は3億3400万円ほどあったという。
資産家女性の同情を誘い…約1億5000万円受け取りか
そもそも、どうやって一介の公務員が巨額の所得を得ていたのだろうか。

実は、松尾元職員はかつて税務調査の対象だった資産家の女性と調査終了後も個人的な関係を築き、繰り返し現金を受け取っていたという。
会見では次のように説明した。

関東信越国税局・首藤好明総務部長:
納税者宅に頻繁に出入りし、その都度同情を買うような発言を行い、「お小遣い」や「交通費」の名目で(手渡しで)現金を受け取っていた。
受け取り総額は、約1億5000万円にも上っていたというのだ。

松尾元職員は、例えば「ひいおばあちゃんとお母さんに仕送りをしている。幼い頃から父親から虐待を受けていたが、その父親が金を無心しに来る」などといった会話をして、資産家女性の同情を買っていたという。
現金の使い道は競艇 勤務中にも舟券購入
しかし、当局側による監察調査では、松尾元職員が家族に仕送りをしているなどの事実は確認されず、一方で調査で明らかになった現金の使い道も驚くべきものだった。

その1つが競艇。
ネット投票などで舟券を購入したとみられ、勤務時間中にも行っていたという。

関東信越国税局・首藤好明総務部長:
令和5年(2023年)1月から令和8年(2026年)1月まで勤務中に自身のスマートフォンを使用し、“舟券”の購入を2672回。“舟券”の(総)購入額ですが…(勤務時間外も含め)約8億6000万円になります。
舟券の払戻金を引き出す行為も4195回に上り、こうして得た所得についても期限内に申告しなかったという。
税の番人である税務署員による驚きの行為が明らかになったことに、街の人からは「どういうふうに処置していいのか…。お金に絡むことはいくら(税務署員という)身分があってもあり得ないこと」との声が聞かれた。

国税当局は松尾元職員について、所得税法違反容疑での告発のほか、詐欺容疑などでも書類送検している。

橋下綜合法律事務所の溝上宏司弁護士は、国税の職員として与えられる権限を利用してこれだけの行為を繰り返して行った例はあまり記憶がないとした上で、「悪質性もかなり高いので、一般的な相場でいくと3年~5年の実刑判決が下される可能性がかなり高い。今後、被害者の方のご判断として、国家賠償請求のような形で賠償を国に求める可能性もあり得る」と語った。

関東信越国税局によると、松尾元職員は「一生かけてでも返します」などと供述しているということだ。
(「イット!」8月7日放送より)

