4日、大阪府河内長野市で刃物を持った男に対し、警察官が発砲する事案があった。

男が刃物を向けてきたため、警察官はまず「威嚇射撃」として上空に発砲したが、それでも近づいてきたため、2発目を発砲した。

銃弾は男の左胸に命中し、その後死亡が確認された。
死因は「胸を撃たれたことによる出血性ショック」だった。

警察は「適切な拳銃使用だったが、詳細は調査中」としている。

5日放送の関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」では、元神奈川県警捜査一課長の鳴海達之氏が出演。

「私は適正な拳銃の使用だと思う」としたうえで、「警察官はどんなケースで発砲するのか」などを解説した。

■事案の詳細は…

4日午後7時ごろ、大阪府河内長野市で「包丁を持った血だらけの男が暴れている」という110番通報が入った。

駆けつけた警察官が男と対峙。男が刃物を向けてきたため、警察官はまず警告を行い、空に向けて威嚇射撃を実施した。

それでも男は近づいてきたため、威嚇射撃からおよそ2秒後、警察官は再び発砲。銃弾は男の左胸に命中した。

男は公務執行妨害などの疑いで現行犯逮捕され、病院に搬送されたが、その後死亡が確認されている。死因は「胸を撃たれたことによる出血性ショック」だった。

警察は「適切な拳銃使用だったが、詳細は調査中」としている。

当時の状況
当時の状況
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■今回の対応は「映像を見る限り、適正な拳銃の使用」と鳴海氏

今回の警察官の対応について、元神奈川県警捜査一課長の鳴海達之氏はこう見解を示した。

鳴海達之氏:映像を見る限り、私は適正な拳銃の使用だと思っています。

その根拠として、鳴海氏は男の”判断能力”に着目した。

鳴海達之氏:そもそも刃物を持っている人が、正常な判断ができるのかどうか、というのがまず1つある。大体『刃物を捨てろ』と言ったら、正常な判断を持っている人は大体もう刃物を捨てる。

正常な判断ができないとみられる人物が、刃物を持って周囲の人や警察官に向かってくる状況では「誰かがケガをする。命の危険にさらされることを防がなければいけない」と述べた。

「適正な拳銃の使用」と元捜査一課長
「適正な拳銃の使用」と元捜査一課長

■「腕や足を狙え」という規定はない

やむを得ず発砲する際、「体のどの部位を狙うのかなど規定があるのか」という疑問がスタジオから上がると、鳴海氏は「法律上の要件は特にはない」と答えた。

鳴海達之氏:法律上の要件は特にはない。実務では、警察官は『犯人を逮捕するのが仕事』なので殺害しようということではない。だから『腕や足を狙って撃てるのであれば、撃った方がいい』ということは言われはする。

しかし、実際の現場では話はそう単純ではないと言う。

鳴海達之氏:相手も動いているわけで、動いているものに対して拳銃を狙った所に当てられるかというと、かなり至難の業です。

「腕や足を狙え」という規定はない
「腕や足を狙え」という規定はない

■威嚇射撃は必須ではなく「現場判断」が全て

また、「警告なく、いきなり相手に向けて発砲することはあるのか」という疑問に対して、鳴海氏は規定の実態を説明した。

鳴海達之氏:相手が向かってきても、警告する暇がない場合は、『相手に向かって撃っていい』と言われています。ですから『必ずしも上空に向かって威嚇射撃をしろ』とは言われてはいません。

威嚇射撃から「約2秒」という短い間隔での発砲についても、「現場の瞬時の判断」によるものだと述べ、その判断の正しさを支持した。

元神奈川県警捜査一課長 鳴海達之氏
元神奈川県警捜査一課長 鳴海達之氏

■「さすまた1本」では抑えられない?

現場映像には「さすまた」を持つ警察官の姿も映っていた。

「拳銃以外の手段で制圧できなかったのか」という問いに対し、鳴海氏は現場の厳しさを率直に語った。

鳴海達之氏:さすまたが一本あるから抑えられるというものではないですし、正常な判断ができない場合は全く言うことを聞かないで向かってくるので、その力は想像以上のものを出す。

さすまたを準備していても、実際の制圧には拳銃使用しか方法がなかったという現場の判断について、鳴海氏は「それは正しい判断だと思います」と述べた。

映像にはさすまたを持つ警察官の姿も
映像にはさすまたを持つ警察官の姿も

■誰が発砲するかに”優先順位”はあるか

今回の場合は、複数の警察官が囲む様子が見られたが、「誰が発砲するか」も決まっているのだろうか。

鳴海達之氏:『階級がより上位のものがやった方がよい。判断ができる』と言われている。今回も巡査部長が発砲していますけれども、『巡査より巡査部長の方が判断ができる』という見方を警察はする。

法的に厳密な規定があるわけではないものの、「実務的な慣行」として上位の階級者が判断・発砲するという考え方が根付いていることが示された。

元神奈川県警捜査一課長 鳴海達之氏
元神奈川県警捜査一課長 鳴海達之氏

■「『テーザー銃の議論』あってもいい」

海外の警察が使用する「テーザー銃」や「ゴム弾」について、日本への導入の可能性を問われると、鳴海氏は前向きな姿勢を示した。

※テーザー銃…ワイヤー付きの電極針を発射して、遠くの相手に電気ショックを与えるスタンガン

鳴海達之氏:実弾を撃ち込むことに抵抗を持っている警察官もいると思います。そういったもの以外の方法があるなら、それを選びたいと思う警察官も多いと思います。それは議論としてこれからしていってもいいんじゃないかと思います。

(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2026年8月5日放送)

元神奈川県警捜査一課長 鳴海達之氏
元神奈川県警捜査一課長 鳴海達之氏
関西テレビ
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