今月17日に会期末を迎える国会。
衆議院議員の定数削減法案と「副首都」構想の関連法案の審議入りを与党が強行したことに野党が反発し、衆参両院で野党が審議拒否し、国会の“空転”が続いています。
日本テレビ政治部で官邸キャップなどを務めた政治ジャーナリスト・青山和弘氏が、国会が大荒れとなっている背景を解説しました。
■なぜ野党は“審議拒否”しているのか
野党はどのような理由で審議拒否しているのでしょうか。
青山氏は、衆議院と参議院でそれぞれ審議拒否の理由が異なると話します。
【青山和弘氏】「参議院側は、『高市陣営の中傷動画問題』に対して、高市さんが答弁を変えてきた。さらに陳述書を出すから、これで答弁の代わりにしてくださいと言った。
(野党側は)答弁の代わりにならないから『集中審議をやってくれ』と求めたのに高市さんが応じてない。
党首討論にも応じてないということで、『これに応じなければ他の審議もできませんよ』ということでストップしている」
■「“サッカーの強豪チーム”が急にルールを変えちゃう」ような状況
【青山和弘氏】「衆議院は、維新と自民との連立合意にあった“副首都”法案と『議員定数削減法案』を野党の合意がないのに国会にいきなりかけてきたんですね」
この定数削減について「簡単に言えば、強豪チームが自分たちに有利なようにルールを勝手に変えちゃうようなもの」だとし、サッカーのルールに例えると「ヘディングは回数制限あり」などと急に言ってくるようなものだと話しました。
【青山和弘氏】「つまり、選挙のルールを強い与党が勝手に決めちゃうと、野党に不利な方向にどんどん変えることができてしまう。
維新の会と自民党の合意ということで、比例だけ『45』も削減するという、与党にとってはプラスだけど野党は議席が無くなっちゃうかもしれないっていう法案。一定の定数削減は理解できてもこれはかなりの無理筋で、野党は大反対して審議が止まっている」
■「国旗損壊罪」は野党不在で衆院可決
与党は“強硬姿勢”を続けています。
先月30日には、「国旗損壊罪」の新設について、野党不在の状況で強行採決を行い、衆院で可決。
ほかにも、「皇室典範改正案」を国会で優先的に審議することに自民と維新が合意していたり、議員定数削減法案や“副首都”法案は野党不在のまま国会審議入りしたりしています。
【青山和弘氏】「色々重要法案はあるんですけれども、野党側としては『とにかく全部(の審議に)応じない。副首都法案と議員定数削減法案を取り下げない限りは応じられない』ということで、角を突き合わせている状況」
■強行採決にはデメリットも…
衆議院で与党が圧倒的多数を占めている状況が強硬姿勢に繋がっているとも指摘します。
【青山和弘氏】「だから審議をしてもしなくても強行に採決はできちゃうんですね。
ただ、あまりに強行に採決すると参議院では与党は過半数の議席を持っていないので、参議院で通らない可能性が高まる。そうなると17日で国会を閉じてしまった場合、これらの法案は次の国会に先送りになる。
維新の会は自分たちが訴えてきた副首都と定数削減が先送りになり、連立にいる意義が問われてくる。なので、国会延長も視野に必死に成立を求め* ている。
一方、高市政権としてはこのままでは肝いりの皇室典範の改正法案も怪しくなるので、『皇室典範だけは何とかしてくれ』と。いま、つばぜり合いが起こってるんですね」
■「維新は“副首都”法案は絶対通したい」
関西テレビの神崎博報道デスクは、維新と自民の思惑をこのように読み解きました。
【関西テレビ 神崎博報道デスク】「維新としては今回の国会でやはり議員定数削減と“副首都”法案は絶対通したいと。吉村さんも『国会の会期を延長してでも通して欲しい』というところで、かなり強く出ている。
政策で合意してるので、自民党として、特に高市さんとしては吉村さんの顔を立てる意味でもまず通したい。
ただ自民党サイドとしては、他にも重要な法案があるから、“副首都”と議員定数は『どうしてやらなければならないことはない』というところがあって、自民党の中も今割れているような状態」
■「国会正常化」に向けての動きも
一方、国会正常化に向けての動きもあります。
6月30日には、野党5党の国対委員長が森英介衆院議長らに対し、国会を正常化するよう求めました。
さらに1日には、森衆院議長は与野党の幹事長らと協議をして、皇室典範改正案については「最優先」で取り組むよう要請をしています。
さらに議員定数削減法案、“副首都”構想については、「互譲の精神」で取り組むよう要請したということです。
野党側はどうすれば審議に応じることになるのでしょうか。
【青山和弘氏】「参議院は集中審議に応じれば審議すると思いますし、衆議院は定数削減法案と“副首都”法案を一旦立ち止まれば、皇室典範改正法案とかは動き出すと思います。あとは世論の動向もカギを握ります」
■「高市さんは中傷動画について野党から質問されるのは嫌でたまらない」
高市総理はその条件は飲めるのか?と問われると「なかなか厳しい」と青山氏は答えます。
そのうえで「野党との調整を少し甘く見てしまったと言えると思う」と指摘しました。
【青山和弘氏】「そんな中で『集中審議をやる必要ない』と言って突っぱねてますし、あと2週間しか国会ないのに、懸案がこれだけてんこ盛りになってるんですよ。
スピード感を持って、とにかく『選挙で勝ったんだから一気にやれ』というのは分かる。
一方で、これまでの国会のルールや審議のプロセスを軽く見た。今までのやり方を否定するのも高市流ですけど、 参議院では与党が過半数を割り込んでいる中で、さすがに強引すぎるという指摘は自民党内からも出て*います」
(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2026年7月2日放送)
