濃厚で贅沢な食べごたえに固定ファンがつくポテトチップスブランドとして、2018年に立ち上がった「湖池屋ストロング」が、この6月にフルリニューアル。「豪快のり」、「サワークリームオニオン」、そして「辛レモン(シンレモン)」という3フレーバー展開で、従来のストロングからは中身も装いも完全に一新されています。そんなリニューアルを推し進めた原動力は、「反省」「原点回帰」「挑戦」でした。
![]()
●「ストレス発散」「クセになる味わい」を取り戻せ
実は「湖池屋ストロング」は、1年3ヶ月前の2025年3月にフルリニューアルしています。「味付け量3倍」を謳い、パッケージデザインを贅沢で大人っぽい品質感のあるデザインに変更。ごま油と醤油をきかせた「海苔ざんまい」というフレーバーを新たにラインナップして、ユーザー間口の拡大を狙ったのです。
結果、成果は出ました。ブランド自体の市場カバー率も上がりました。しかし反省点もありました。黒くシックなパッケージデザインにしたことで店頭での視認性が下がったほか、「濃厚×ストレス発散」という明るいブランドイメージと乖離し、「食べていて楽しい」というユーザー評価が下がってしまったのです。
また、味覚の評価として重要度の高い「クセになる味わい」のユーザー評価も低めでした。濃厚は価値である一方、1袋ぺろりと、そして何度も食べたくなるために必要な「クセになる味わい」が依然として課題となっていました。
さらに、ユーザー(食べている人)とストッパー(食べなくなった人)を比較すると、「湖池屋ストロング」のブランド価値であるはずの「ストレス発散」や「気分を上げる」という価値が、ストッパーには十分伝わっていないことも判明しました。
この反省は、そのまま今回のリニューアルの基本方針となりました。ストレス発散ポテトチップスという「湖池屋ストロング」のブランドイメージを、再び確立させるのです。
![]()
●豪快のり:原点回帰のストレートな海苔味
まず、「海苔ざんまい」は「豪快のり」へと大きく変貌しました。
![]()
「同じのり味でも、『海苔ざんまい』は甘みのあるのり醤油風味でしたが、『豪快のり』はストロングらしい個性をベースに残しつつ、まったり感をなくしてのりの味を濃く感じられるような改良を行いました。調査によって、海苔ざんまいの個性的な味は評価されている一方、次々に、そして何度も食べたくなるのり味は、のり好きユーザーが求めるのりそのものを濃く感じられるポテトチップスなのではないかと考えたからです」
(湖池屋 マーケティング本部 マーケティング部 第3課 主任 田岡満里奈)
開発にあたっては、海苔ざんまいの味の濃さをもたらしていた醤油の甘みが、逆に味のもたつきとなっていたため、全体のバランスを取りながら甘みを抑えました。さらに、味の幅が出る焼き海苔(旨味重視)をメインにした海苔の味わいを、ポテトチップスと相性の良い青のりやあおさ(香り重視)をメインの設計に変更しました。
「袋を空けた瞬間から、パッケージ左下に印刷されている『のりのりのり量No.1!』を実感していただけるように味を設計しています」(湖池屋 R&D本部 プロダクト開発部 山口莉加)
ただし、味付けを濃くし、海苔の風味を強調しただけでは、ストロングの特徴である厚切りの生地の味と相まって、全体の味が溜まってしまうような『くどさ』が出てしまいます。それを払拭するのが唐辛子の辛い刺激です。これによって連食性が格段に増しました。
たしかに実食してみると、食べ応えがありながらくどさはないので、何枚食べても飽きが来ません。海苔の圧倒的な芳香が口いっぱいに広がりますが、キレのいい唐辛子がしっかりと味を「〆る」ため、自然と2枚目、3枚目に手が出るのです。
実は、「海苔ざんまい」はリピート購入があまりふるっていませんでした。味の評価は高かったものの、購入者を「何回も食べたい」という気持ちにはさせなかったのです。特別感はあっても、常食にはなりづらい。実際に、お客様は『のり塩』のような海苔の味が好きで購入される方よりも、『味が濃い』という理由で購入いただいた方が多い傾向が見られました。山口も「『いつも食べているのり塩の味変』のような、気分を変えたいときに買うような選ばれ方をされていたと思います」と振り返ります。
対して「豪快のり」はそのようなポジションから脱し、気づいたら次々と食べてしまうような『やみつき感』のある、湖池屋が十八番とするストレートなのり味に原点回帰しつつ、ストロングらしい食べ応えも感じられる味わいとなりました。
「海苔をこよなく愛する人たちにこそ、食べていただきたいです。『これだった!』『求めてたやつだよ!』なんて声をいただけると嬉しいですね」(山口)
●サワークリームオニオン:濃厚と爽快の両立
サワークリームオニオンは同名の既存商品がありましたが、「味付け量3倍」という打ち出しに反して、ユーザーからは「もっと濃い味を期待していた」という声が多い商品でした。そこでリニューアルにあたっては、その食べる前の期待感に応えるため、口に入れたときのクリームの味わいをアップさせることで、「一口目が濃厚になった」と感じてもらえるようにしたのです。
![]()
とはいえ、クリームの味わいを強める、つまり濃厚にすればするほど口がもたつき、連食性が阻害されるのも事実。また、濃厚な味は夏に敬遠される傾向にあります。そこで、1年間を通して食べられることを狙い、後味がさっぱりする酸味の爽やかさを濃厚さと両立させるべく開発が進められました。
一方、「湖池屋ストロング」ならではの特徴やクセを前面に出す必要もありました。なぜなら、サワークリームオニオン味のポテトチップスは他社からも発売されており、それぞれ味付けの方向性が違うからです。たとえば、あるメーカーのサワークリームオニオン味は塩味が強くシンプルな味わいで、湖池屋のようにクリームの味わいは強くありません。
そこで採用したのが、唯一無二のクセにつながる、隠し味のネギでした。
「参考にしたのは海外の、ネギのような味わいが強いサワークリームオニオン味のポテトチップスです。ただ、ネギの風味が前面に出すぎるとパンチが効きすぎてしまうので、バランスはかなり調整しました」(山口)
実食してみると、濃厚ではありますが、思いのほかスッキリしています。「コク深くてサワーやか!」のキャッチコピーは伊達ではありません。主張しすぎないネギの風味も、ちょうどよく味の奥行きを下支えしています。さらに、チップスがVカットのザクザク食感なので生地が口残りしすぎません。
もともとのサワークリームオニオン好きを捉えつつ、今まで「甘くて重いクリーム感」が苦手だったユーザーも取り込める仕上がり。サワークリームオニオンがあまり得意ではなかったという田岡も、「これは美味しい!」と太鼓判を押すほどです。
「乳のコクと酸味のバランスが絶妙で、すごくいいものを作れたと自負しています。究極のサワークリームオニオンを探してらっしゃる方にはぜひ!」(山口)
●辛レモン:辛旨すっぱいの追求
「湖池屋ストロング」ブランドの価値であるストレス発散を体現し、かつ発売時期の暑い夏を含めて一年中食べたいと思える味とは何か? その答えが“酸味と辛味”でした。
ある調査によれば、人が疲れたときやストレスを発散したいときには、スパイスを使った料理を食べたくなる傾向があるとのこと。また、暑い夏に食べたくなる料理の味の1位が酸味、2位が辛味という調査結果もあります。
そんな中、消費者の求める辛味の種類は時代ごとに変化してきました。昨今では、麻辣湯(マーラータン)やラーメンのトムヤムクン味のように、辛いだけでなく酸味や旨味をかけ合わせたものが流行しています。
一方、ポテトチップスのフレーバー別売上構成比を見ると、酸味系と辛味系は、3大定番フレーバーである塩・コンソメ・のり塩に次ぐ売上規模。しかも酸味は「すっぱムーチョ」、辛味は「カラムーチョ」で、それぞれ湖池屋がもともと得意なフレーバーです。
その知識と経験を活かしつつ、ストロングブランドにも合うようなフレーバーとして発想されたのが、酸味が爽やかなレモンと辛味が刺激的な唐辛子を融合させた新フレーバー「辛レモン(シンレモン)」です。
![]()
「湖池屋では、これまでも酸味と辛味を一体化させた商品を出していますが、今回は一体化した味ではなく、まず口に入れて感じる酸味をキリッと立たせた上で、中盤以降に唐辛子の辛味をしっかり出す、つまり『ピークを分ける』系の設計にしたのがチャレンジングでした」(山口)
ただ、酸味と辛味のインパクトだけでは、ピークとピークの間に味の谷が出来るので味が「抜けて」しまいます。それを防ぐため、味のベースとしてチキンの旨味を「気づかれない程度に」(山口)敷き詰めることで、単調ではない複層性のある味わいとなっています。
実食すると、真夏にレモンを辛みのあるスパイシーな骨付きチキンにかけてかぶりつくような感覚に包まれます。暑くても食べたいと思える、ビールや炭酸飲料が欲しくなる、そんなポテトチップスが誕生しました。
「ストレス発散というコンセプトを念頭に、食べている方を想像して、辛くておいしいものを食べたときに出る“サラサラした汗”をかいているイメージでした。日本の夏はべたつくような汗をかきがちですが、そうではなく、酸味と辛味で、キリっと爽やかな汗をかいてほしいです」(山口)
![]()
山口によれば、レモン好きは女性に多く男性は苦手な方も多いとのこと。しかし、「辛レモン」はレモンの風味を主張しすぎず、唐辛子もきかせているので、男性にも受け入れられやすい味に仕立てています。
●大いなるチャレンジ
フルリニューアルにあたり、パッケージは旧デザインから大きく変えました。大きくあしらわれている写真は、果汁が飛散しているレモンと唐辛子、クリーミーなサワークリームとネギ、ホクホクのじゃがいもにふりかかっている海苔。どれも非常にダイナミックです。
「既存の黒いパッケージと比較してかなり鮮やかな色使いに変更し、シズル(食材が美味しそうに見える写真)も、旧デザインでは小さかったところ、パッケージの上半分前面に大きく配置しました。特に『豪快のり』は、全体色を以前の紫から鮮やかな黄色に変え、湖池屋の定番商品『ポテトチップス のり塩』のイメージに近づけています」(田岡)
実は『豪快のり』は、開発にあたって3フレーバー中もっとも社内で活発な議論が繰り広げられました。
「前の『海苔ざんまい』にもファンがついてくださっているので、味付けをどこまで根本的に変えてしまっていいのか、かなり悩みました。実は最終段階まで、海苔ざんまいの個性を残してのりの風味を強化したものと、シンプルにのりと塩の味付けでのりの風味を強化したもの、2軸の方向性を同時並行で開発していたんです」(田岡)
「湖池屋の『のり塩』は、弊社の代表とも言える味のため、社内から厳しい意見も多く貰いました。一方で、ストロングらしさをいかに出すか、『海苔ざんまい』の特徴や強みが今回の味覚設計に応用できないかなど、試行錯誤が続きました。その結果、最後の最後にユーザー調査で前者に決まりました。『豪快のり』は試作量が一番多かったですね」(山口)
このように「豪快のり」は大きなチャレンジでした。しかし、実はブランドとしての最大のチャレンジは、「辛レモン」を――ストロングというブランドを代表する――ファースト(第一の)フレーバーに据えたことかもしれません。順当に行くなら、ファーストは湖池屋のアイデンティティとも言える海苔。つまり「豪快のり」とするのが自然だからです。
しかし会社として、それでは状況をブレイクスルーできないと判断しました。
「正直、ブランドとしての売上が伸び悩む中、この状況を大きく変えて「湖池屋ストロング」というブランドを飛躍させるには、インパクトと新鮮味のある起爆剤が必要でした。ただ、決して奇抜なものを作ろうとして開発したわけではありません。定番性がありつつ、新しくて美味しいもの目指しました。ストレス発散のためにポテトチップスを食べたい人が、ストロングを知るきっかけとなるフレーバーになればいいと思っています」(田岡)
過去のストロングに何が足りなかったのかを「反省」し、ときに自社のアイデンティティに「原点回帰」し、そのうえでまったく新しいフレーバーで「挑戦」する。今回のフルリニューアルはその三拍子が揃っていたのです。
行動者ストーリー詳細へ
PR TIMES STORYトップへ
