秘境ともいわれる長野県栄村の秋山郷に、2025年6月、カフェがオープンしました。高齢化、人口減少が進む中、「地域を元気にしたい」と村に嫁いだ2人の女性が始めた店です。

■2人の女性が秘境に店をオープン

長野と新潟の県境、栄村の秋山郷にある「ぶんぶんカフェ」。

厨房で調理に追われているのは、福原千鶴さん(47)。

福原千鶴さん:
「村の人が作った野菜を皆さん自信持って作っているので食べてもらいたい。どうやったら皆さんが喜んでいただけるかなってそれだけ考えて作ってます」

千鶴さんが作った料理を配膳するのは、福原きく代さん(50)です。

福原きく代さん:
「人がいっぱい来てくれて、ここに来てよかったと思ってもらえるようなお店にしたい」

店を出すのは初めてという2人が、2025年6月に始めた店です。

福原千鶴さん:
「秋山郷で何か面白いことしたいとか、みんな元気になることができたらいいよねって」

福原きく代さん:
「地元を元気にしたい、お年寄りも多いので」

■結婚後「秘境」へ移住

店のある「秋山郷」は、栄村役場からも車で50分ほどかかり、「日本の秘境百選」にも選ばれている場所です。

87世帯147人が暮らす山あいの地域は、温泉や自然に恵まれ、今の時期だとツーリングや登山、山菜取りや渓流釣りなどで訪れる人がいます。

そんな場所で店を始めたきっかけは、秋山郷出身の夫と結婚したことでした。新潟県津南町出身の千鶴さんは、10年前に栄村へ。

福原千鶴さん:
「とても道が狭くて自分1人では運転してこられないなというのが、マイナスなところだったけど、紅葉がすごくきれいな年だったので、すごくきれいなところなんだなというのが第一印象」

長野市出身のきく代さんは、15年前から秋山郷に住んでいます。

福原きく代さん:
「初めはこんな山に来てという印象だったんですけど、今は季節の変わり目とかを感じるのがすごく好き。変わっていく景色とか雰囲気を味わうのは好きになりました」

■インスタで地域の魅力発信

村に嫁いだ2人は、同じ職場で働き、夫同士が幼なじみだったこともあり意気投合。

少子高齢化が進む中、少しでも地域を活気づけたいと考え、2024年春に始めたのがインスタグラムの投稿です。旬の農産物や日常の風景など、村の魅力を発信しています。

福原千鶴さん:
「まず栄村を知ってもらいたい。秋山郷と栄村に来てくれる人を増やしたい。栄村は雪が多くて大変とか、あまりプラスなイメージがないのかなと思っているので、そうではなくて、力強いというか、楽しめるよというのを発信したい。外から来ても大丈夫みたいな」

■人と人をつなぐ店に

その活動の中で、地元住民から聞いたのがこんな「要望」でした。

福原千鶴さん:
「お茶飲めるところがないよねとか、ご飯食べるところがないよねという声を聞いて、みんなが集まれる場所をつくれるんじゃないかという話になって、やってみたのがきっかけ」

二人は村の補助金も活用し、ドライブインのあった建物を借りて店をオープン。準備には周辺住民らも駆けつけ協力しました。

福原千鶴さん:
「みんなが気にかけてくれて、こういうのがあった方がいいんじゃないとか、いろいろなアドバイスもいただくので、皆さんにすごく背中を押されている感じはしていて楽しい」

店の名前は、花と花をつなぐハチをイメージし、「人と人をつなぐ店に」との願いを込めて、「ぶんぶんカフェ」にしました。

福原千鶴さん:
「皆さんの笑顔をつないでいけたらいいなと思って、ハチからとって『ぶんぶん』と」

2025年6月以降、週末限定で営業していましたが、2026年4月からは平日も含めた本格的な営業をスタート。

■地元産にこだわる優しい味

メニューは、おにぎりセットにキーマカレー、そしてパスタです。

福原千鶴さん:
「こういうのがあったら喜ばれるんじゃないかなというのを持ち寄って。あと周りの方がこういうの食べたいというのを、どうやったら実現できるかも2人で考えて、周りの声も入れながらのメニューになっています」

料理に使われているコメは兼業農家の千鶴さんの夫が作った栄村産のコシヒカリ。カレーとパスタには栄村の特産、トマトジュースを使うなど、できる限り「地元産のもの」にこだわっています。

客:
「おいしかったです。(ご飯食べるところが)あまりない。(店が)あると助かります」
「おにぎり2個も食べちゃったんですけど、すごく優しい味に触れることができてよかった」

記者がキーマカレーを試食―。

(記者リポート)
「お米の味がしっかりしていて、かめばかむほど甘みが広がります。カレーはトマトの酸味と甘みが感じられる優しい味で、ご飯ととても合っています」

料理は調理師の資格をもつ千鶴さんが担当。きく代さんはドリンクや接客を受け持ちます。

福原きく代さん:
「なるべく笑顔で、普段そのままでいけたら一番いいのかなと意識しています。アットホームな感じが一番いいのかなと思っています」

■交流の場、そして仕事の場へ

店を始めたのは観光客を呼び込むことはもちろん、村の人たちの「交流の場」としてや、「地元の人の働く場所をつくりたい」との思いもあります。

福原千鶴さん:
「高校卒業しちゃったら、東京に出ちゃったりが多いので、仕事をつくりたいと思ったのがきっかけの一つ。観光客来て、気に入って住んでくれても、仕事がないと住めなかったりするので仕事をつくれたら」

今後はカフェのほか、遊休農地を活用した野菜の栽培など農業への展開も視野に入れています。

福原千鶴さん:
「これから農業のほう、畑に出たりとか、作物を作るということにもチャレンジしていきたい。野菜を作って販売する人とか加工する人とかいろいろな仕事が生まれるようなシステムをつくっていけたら」

■「地域を元気に」2人の挑戦

村では高齢化、人口減少が進んでいます。そんな中で、「地域を元気にしたい」と、挑戦を始めた2人。地元住民も期待を寄せます。

福原千鶴さん:
「観光客も栄村の話をしたいと来られるお客さんも多いので、そこでまたつながりがつくれたらいいなと思って、その拠点になればすごくうれしい」

福原きく代さん:
「周りの人からここが開いているだけですごく明るくなった、いいよと言ってくれる地元の人たちがいるので、それでみんな意識してくれて皆さんが元気になってくれるといいなと思う。地元の人たちに元気になってもらいたいというのが一番」

長野放送
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