こちらは、かつて有明海でたくさん採れていた二枚貝アゲマキとウミタケです。本来なら今の時期は漁の最盛期のはずですが、生息数が激減し、今年も漁をすることができません。
休漁は長期間にわたっていて若い世代は本物を食べたことも見たこともない人も多いと思います。
伝統の漁法などをアーカイブ映像で紹介します。
有明海産の庶民の味として親しまれていたアゲマキ。
塩焼きやバター焼き、味噌汁などにして食べられていました。
漁法はいたってシンプル。
干潟を鍬で掘ったり、手を突っ込んだりして採っていきます。
こちらは1985年の漁の様子。
潟スキーに乗った漁師たちのコンテナにはたくさんのアゲマキが。
【漁業者】
Qアゲマキ採りは小さいころからやっていたんですか?
「アゲマキ採りは6つの歳からやっています。64年か」
しかし、1988年の776トンをピークに漁獲量は激減し、92年以降は天然資源はほとんど確認されない状況に。
漁業者は韓国から母貝となるアゲマキを取り寄せ放流するなど試行錯誤しました。
県有明水産振興センターでも稚貝を養殖し、放流する試みをしています。
これは、珍しいアゲマキの産卵の様子です。
【リポーター】
「アゲマキの漁は、海岸線からすぐの干潟で、漁師が潟スキーを使って行います。一つ一つ手作業で漁をしている様子がうかがえます」
関係者の努力のかいあって生息数が増え2018年、22年ぶりに限定的ながら漁が行われました。
初日の手応えについては。
【漁業者】
「まあ、ぼちぼちかな。素晴らしいことですよ。天然のアゲマキがとれること自体が」
しかし、喜びも束の間、翌年からは再び休漁が続いています。
冬から春にかけて行われるタイラギ漁。
太良町では潜水漁が盛んでした。
海の底にいる大型の貝を引き上げ、船の上で貝柱やビラと呼ばれる部分にすばやく分けられます。
この高級二枚貝も1990年代以降、水揚げが激減しました。
減った理由を探ろうと漁業者の協力を得て有明海の海底の様子を撮影しました。
【鶴丸】
「これからダイバーも海の中に入ります。タイラギはどのような状況なのでしょうか」
水深約9メートル。
海底に立つ無数のタイラギが開いた状態で死んでいます。
いわゆる「立ち枯れ死」です。
手で貝を開くとヘドロのような土が。
【漁業者】
「夏場の無酸素状態。酸素濃度が落ちたのとこのあたりで1メートルくらいのヘドロがずっと積もっている。貝が呼吸ができなくて高い水温で死んでしまう」
自然を相手に資源復活への決定打はなく、タイラギ漁は14シーズン連続の休漁となっています。
天日干しされているウミタケ。
かつては、有明海沿岸の風物詩の一つでした。
有明海の伝統的なウミタケ漁は潜水による漁と、ネジ棒とよばれる道具を使った漁の2つです。
このうちネジ棒漁は長い鉄の棒にウミタケを絡めて一気に引き上げます。
このウミタケも生息数が減り休漁に。
そして2023年、試験操業や調査操業を経て17年ぶりにウミタケ漁が解禁されました。
簡易潜水器の漁で次々にウミタケが水揚げされます。
一方、ネジ棒漁の方も・・・。
この日の有明海は久しぶりの活気にあふれていました。
【漁業者】
「みんなが待ち望んでいた。食卓に届けるのは漁業者の自分たちにしかできないことだからいっぱい採ってなるべく皆さんに食べてもらえるように頑張る」
最後にウミタケの食べ方も。
まずは刺身。コリコリとした食感が特長です。
続いて火であぶる焼き物。
香ばしさが増し、酒のつまみにピッタリです。
「まえうみもん」と呼ばれる有明海産の味を、また食べたいものです。
県有明水産振興センターによりますと二枚貝が取れなくなってしまった理由は、複数考えられます。
●気候変動による海水温の上昇
●豪雨による塩分濃度の低下
●ナルトビエイによる食害
●貧酸素水塊
●海底の泥化
こうした複数の原因が関連してそれぞれの二枚貝が生息することが難しくなっているということです。
産業としてはもちろん、懐かしい味、食文化を残すためにもこの水産資源が復活することを期待したい。
