飲食店などの外食産業で働く外国人の受け入れを政府が一時停止し、現場に混乱が広がっている。
人手不足で人材の確保が難しい中、打開策はあるのだろうか。
飲食店に立ちはだかる「人材定着」の壁
札幌市中央区のイタリアンレストラン。

若い世代に人気で、連日ほぼ満席が続く。
調理やホールのスタッフの確保が課題だが―
「1か月くらいでやめてしまう人が結構多い。技術、知識、意欲がある人に来てもらいたい」(gcompany 内山 英人さん)

こちらの店舗を運営するグループは札幌市や東京都内などで飲食店を14店舗展開していて、2026年春からインドネシア人2人を社員として雇用する予定だった。
しかし―
外国人の「特定技能1号」外食分野の受け入れ停止に
「急きょ入国できないということになり、現場は一時非常に混乱した」(内山さん)

外国人の在留資格の一つが「特定技能1号」という資格だ。
一定の技能や専門性を持つ外国人を即戦力として採用する制度で、外食や農業など19の分野で受け入れ人数が定められている。
そのうち外食分野が上限の5万人に迫り、政府は4月13日以降の受け入れを停止したのだ。
採用を予定していた会社にとっては打撃だった。
「グローバルな時代なので、英語力やインバウンド戦略で役に立ってもらえる人材だと思う。できれば今後も海外の人材を採用していきたい」(内山さん)

受け入れ停止の発表から、実施までの期間はわずか2週間程度だった。
人手不足が深刻な中、人材確保の手段が閉ざされることになりかねない。
スーパーの現場を支える外国人材の受け入れも「上限まであとわずか」
懸念は外食以外の分野でも。
札幌市白石区のスーパーの総菜コーナー。
早朝から調理を担当しているのは、ミャンマーから来たスタッフだ。

「11月で来日して10年になる。40歳まで日本で働きたい」(ミャンマー人スタッフ シ・トゥー・アゥンさん)
ベテランの域に達し、日本人スタッフを日本語で指導することもあるという。
別のスタッフは。
「来日して1年7か月くらい。私は料理を作るのが好きです」(ミャンマー人スタッフ エー・チャン・ピョーさん)

北海道内で74店舗を運営する「ラルズ」では、総菜や鮮魚部門を中心にあわせて225人の外国人を雇用している。
スーパーは在留資格の「飲食料品製造業」に当てはまるが、この分野でも国が定めた上限の13万人あまりのうち、すでに7割がうまっている。
「外食分野が定員になると、そこから飲食料品製造業に移ってくる。全国的な傾向なので、残り3割が急速にうまる可能性がある」(ラルズ 高橋 広樹 取締役)

人手不足が日常化する今、日本人の労働力だけに頼るのは限界があるという。
「今の日本人は単純に給料を上げるだけで、この業界に集まるか自信がない。東南アジア諸国と、もっと人材交流すべき」(高橋取締役)
北海道が模索する外国人材との共生
外国人人材の確保において、地方は不利だと言われている。
首都圏などで大手企業が大量に採用するため上限に達しやすく、賃金格差の問題もある。

外国人の雇用について今後どうあるべきか、専門家に聞いた。
「北海道は日本の中でも人口減少がかなり早く進んでいるので、外国人労働者を一定程度制限すると経済に影響があることが予想される。日本にとってどういう人材が必要なのかシミュレーションして、制度設計をしなければいけない時が来ている」(北海道大学 池 ヒョン周 直美 教授)
少子高齢化が進み人手不足が続く中、限られた労働力をどう生かすのか模索が続く。