夜の住宅地をゆっくりと歩く黒い影。
その正体は体長1メートルを超えるツキノワグマ!
ついにクマが東京都内の住宅地の近くまで出没した。
「50年で初めて」「こんなところまでクマが来ているのか」と近隣住民は驚きを隠せない。
さらに、クマの繁殖期を迎えるこの時期は「母グマ」が攻撃的になると専門家は指摘する。
クマ被害に遭わないようにするにはどうすればよいのだろうか?
■「基本いないので想定外」
クマの映像が撮影されたのは4月29日の午後9時すぎ。
もともと、畑をイノシシから守るためにエサ入りの罠とカメラを設置していたところ、罠に近づくクマが映り込んだという。
設置した地元のハンターも驚きだ。
地元のハンター:怖いというよりもびっくりした。基本的に(この周辺には)いないので、ここにクマが出てくるというのは想定外。
現場は東京・八王子市の「JR西八王子駅」から西へ3キロほどの山側のあたりで、小・中学校、霊園などがあるほか、一軒家が密集する住宅街だ。

■小学生はクマ避けの鈴をつけて登下校
現場近くの交差点にある地元の掲示板には、クマへの注意を呼びかける張り紙が貼られていた。
「うちは犬がいるので毎日夕方そこを散歩しているんですが、怖くなっちゃって」と語る近隣住民。
別の住民は「小学校も近いですから怖い。気をつけようがないですよね」と不安を口にした。
この辺りの小学生はクマ避けの鈴をつけて登校している。
小学生:先生から極力1人にならないように言われた。東京に出るとは分からなかった。
八王子市は有害鳥獣捕獲許可に基づいて捕獲用の箱わなを設置し、いまも警戒を続けている。

■全国各地にクマ出没 けが人も
クマの都市部への出没は八王子市だけではない。
5月14日、富山県立山町では遊歩道を歩いていた男女2人がクマに襲われ、ケガをした。
さらに岩手県では、盛岡駅からわずか1.5キロの市街地にある岩手大学にも体長約1メートルのクマが出没した。
朝、学生寮付近で目撃され、そのまま構内に潜んだため、授業はすべて休講に。
大学の寮の屋上からはドローンが飛び、クマの居場所を空から追った。その後、クマは敷地外に出ていったものの、大学から約3キロ離れた住宅街の路地から突然クマが現れ、向かってくる様子も確認された。

■”繁殖期”に母グマは凶暴化する
なぜ今、こうした事態が相次いでいるのだろうか。
石川県立大学の大井徹特任教授は次のように説明する。
石川県立大学 大井徹特任教授:東京都を含めて、クマの分布域は広がっています。市街地の周辺の里山と呼ばれる場所にクマが定着して、そこで繁殖もしているという状況のところが数多くあります。
特にいまの時期は「繁殖期」にあたり、オスがメスを求めて活発に活動するという。
もしメスとの出会いに恵まれなかった場合、子連れのメスグマを見つけて子グマを捕食し、メスグマの発情を促して交尾相手にしようとする行動も確認されているということだ。
「母グマは子グマを守るために攻撃的になりやすいので注意が必要」と大井特任教授は強調する。

■「走馬灯どころでもなかった」“母グマ”に攻撃された写真家
実際に母グマの恐怖を体験した人がいる。
栃木県日光市を中心に野生動物の写真を撮影している写真家の橋本貴子さんだ。
映像には、画面奥から突進してくるクマの姿と、その後ろを追う2頭の子グマが映っていた。
写真家 橋本貴子さん:目と目を見合ってどうしようと思ったときに、向こうが右手で私の右手をひっかいてきたんですよね。死ぬか生きるかの接近戦というか、生きた心地もしないし、走馬灯どころでもなかった。
普段はおとなしいとされるツキノワグマも、子グマを守る局面では一変する。
橋本さんは叫びながらなんとか逃げることができ、九死に一生を得た。

■専門家が示す3つの対策
クマ被害に遭わないようにするにはどうすればよいのか。
大井特任教授によると、このような対策が効果的だということだ。
・クマの出没がある地域では、夜間の外出を控えること
・生ごみやペットフードを屋外に放置したままにしないこと
・住宅・車庫・倉庫の戸締まりを厳重にすること
クマの出没する範囲が広がり、母グマが攻撃的になりやすいこの時期。
他人事と思わずに、クマへの警戒心を頭の片隅に置いておくべきかもしれない。
(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2026年5月15日放送)

