岩手県盛岡市の東に位置する「川目」と「簗川」の二つの地域は、盛岡市と宮古市を結ぶ国道106号線沿いに広がる地域です。

長年にわたり岩手県内の地名を調べている宍戸敦さんによると、この2つの地域は「簗川」に関係する地名だということです。

宍戸敦さん:
「川目」というのは、簗川流域の川沿いの集落ということからできた地名。岩手県は(川に由来する)「川目」「沢目」などの地名が多く、特に北上山地・奥羽山系にみられる地名。

川目の「目」は、“谷の出口”や“周辺地域”という意味があります。
この「目」が付く地名は、東北南部では「奥州市水沢佐倉河桜ノ目」や「一関市萩荘打ノ目」などのように、間に「ノ」の表記が入ることが多いそうです。

宍戸さんは「盛岡市簗川」は川の名称が地名の由来になったと考え『簗掛け(簗漁)』をした清流だったのではないか」と話します。

「簗漁」は、川の流れを利用し木や竹で組んだ「簗」という仕掛けで魚を捕る伝統漁法で、アユなど清流を好む魚が生息する川で行われる漁です。

宍戸さんによると、南部家の日記と言われる「雑書」にも簗川での簗漁の記録があるということです。

「川目」と「簗川」の地名に関わる「簗川」の名前には、地域に伝わる伝説も由来しているといいます。

この伝説と簗川での漁について、盛岡河川漁業協同組合の沼下忠徳さんと大坪久さんに聞きました。

盛岡河川漁業協同組合 沼下忠徳さん:
かつて川の上流で前九年合戦があり、(川を挟んで)弓矢を撃ち合い「矢」が川に流れたことから名付けられたと聞いている。

盛岡河川漁業協同組合 大坪久さん:
アユが(海へ)下る秋に簗漁を行う。アユばかりではなく、イワナ・ヤマメ・ウナギなどが捕れた。

かつて簗漁が行われていた場所は北上川と簗川が合流する手前、盛岡市中野にある片岡橋付近ということです。

大坪さんによると「簗川を大きな石でせき止めて簗(仕掛け)を設置して落ちアユを捕っていて、簗の設置には15〜20人ほどが集まって取り組んでいた」と言います。

盛岡河川漁業協同組合が保存している写真の中には、簗漁の様子のほかにサケなどの稚魚を放流する様子もあり、簗川が人々の手によって守り継がれてきたことが分かります。

盛岡河川漁業協同組合 沼下忠徳さん:
組合では毎年、春と秋にヤマメ・イワナ・アユの稚魚を放流している。また、ホタルを増やそうという取り組みも行っている。子どもたちにも命の大切さを知ってほしい。

また大坪さんは、上流では桜を見たりすると話し、簗川を「ふるさとの川」と呼んでいました。

地名の由来から知る人々の営み、簗川の流れはこれからも自然とともに暮らしを未来へつないでいきます。

岩手めんこいテレビ
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