100匹に1匹の“幻”「愛南日戻りびやかつお」その極上の鮮度に迫る
四国最大のカツオの水揚げを誇る愛媛県愛南町・深浦漁港に、本格的な初ガツオのシーズンが到来した。
連日大量のカツオが水揚げされるなか、この地でしか食べられない「幻のカツオ」を求めて多くの人が訪れているという。
食べた人々が口をそろえて驚くその味とは、一体どんなものなのか。
「びやびや」とは何か 愛南だけの方言が名前の由来
四国最大のカツオの水揚げを誇る愛南町・深浦漁港。
本格的な初ガツオのシーズンを迎え、港には連日大量のカツオが水揚げされている。
愛南のカツオは「日戻りカツオ」と呼ばれ、獲れたその日に水揚げされるその鮮度が自慢。
その鮮度命の「日戻りカツオ」の中でも、ここ愛南町でしか食べることのできない「幻のカツオ」があるという。
愛南漁協・垣本一真さん:
「数はかなり少ないですね。100%のうち1%、2%その程度だと思います」

その名も「愛南日戻りびやかつお」
松山から来た女性:
「噛めば噛むほどおいしいというか」
松山から来た男性:
「驚きました。まったく新しいお刺身を食べたかなっていう」
市場食堂・田下安宏店主:
「極端な話をすると、本当に次元が違うぐらい食感が違う食べたことがないっていうぐらい」
その名も「愛南日戻りびやかつお」
地元で「新鮮」を意味する方言「びやびや」から名づけられた。
この特別なカツオのおいしさの秘密に迫るべく、高知県土佐市のカツオ一本釣り漁船、第二光丸(19トン)に乗り、漁師と一緒に高知沖の太平洋にある漁場を目指した。

前日夜に外国人実習生を含む13人で出航
夜明けから漁を始めるため出航は午後8時すぎ。
船を統括する船頭をトップに、外国人実習生を含む13人で漁に向かう。
「彼女と電話」や「ラーメン作り」など船員が思い思いに過ごしながら、船は太平洋を目指して進む。
暗闇にエンジン音だけが響くなか、波や風、潮の流れなど刻一刻と変化する海。
漁の指揮を獲る船頭の岡本さんは、モニターで最新の情報を確認しながら、これまでの経験をもとにカツオを追う。
カツオ漁船「第二光丸」船頭・岡本孝司さん:
「全体的に最近あがる奴が小さいんで、もうちょっと大きい奴が来てくれたらと思ってます」

カツオの「掛かる」瞬間に集中する
午前5時30分、ライバルの船も続々と集まってくるなか、夜明けとともにカツオとの真剣勝負が始まった。
太平洋のうねる波に大きくゆれる船の船首。
イワシを撒き餌に長さ3メートルもの竿先を海に投じ、カツオの「掛かる」瞬間に集中する。
竿が大きくしなり、カツオが空中を泳ぐように次々と船にあがっていく。
一本釣りはカツオが傷がつきにくく、身を傷めにくいというメリットがある。
さらに釣ったカツオを保存する水槽は水温が1度に保たれ、鮮度を落とさない工夫がされている。
カツオの群れを追いながら、海上の変化を観察しタイミングを見計らって釣る。
そしてまた追いかける。
波に揺られながら、カツオとの格闘は4時間にもおよんだ。

港に戻ったカツオは、その場でセリにかけられ出荷
午後1時、カツオ漁を終えた船が続々と深浦漁港に入ってきた。
港に水揚げされ、重さごとに選別されたカツオはその場でセリにかけられ、次々と出荷されていく。
今回の第二光丸の水揚げは約1・2トン。
満足のいく漁獲量ではなかったという。
第二光丸船頭・岡本孝司さん:
「群れは大きかったけどね。食いが悪かったというか、もうちょっと釣りたかったですね。釣るのも大変ですけど、釣った後の処置というか、冷蔵して鮮度よく獲って帰ってくる。ここで渡すことまでを考えながら帰ってきてます」

「愛南日戻りびやかつお」の秘密、それは?
「愛南日戻りびやかつお」の秘密、それは「カツオを傷つけない一本釣りによる漁」だ。
まず「釣ったカツオは、水温1度の水槽で急速冷却することで鮮度を保つ」、「漁から数時間後には、水揚げできる漁場の近さ」、そしてさらに「愛南日戻りびやかつお」として認められるには、まだ高いハードルがある。
愛南漁協・垣内一真さん:
「これは固まって死後硬直してるじゃないですか。こっちは死後硬直してないんで、鮮度がさらに高いということ。このカツオが最高の“びや”のカツオです」
もちもちの弾力とうまみ。
究極の鮮度を誇るカツオは100匹に1匹いるかいないというとても貴重なもの。
必要な数が揃うとその場ですぐにするのが…
愛南漁協・垣内一真さん:
「この特殊なシメ包丁で、エラから横のここを寸断して血抜きをする」
ここまでの工程を経て、初めて「愛南日戻りびやかつお」として認められるのだ。
漁場に近い恵まれた環境と漁師の努力と技術が生み出した「愛南日戻りびやかつお」
深浦漁港では、6月頃まで水揚げが続く。

