オンライン上で行われる違法賭博に対する警察の摘発が急増している。警察庁によると、2025年のオンライン賭博事犯の検挙は165件、317人に上り、事件数は2024年から103件増と大幅に増加した。
スマートフォンの普及や海外運営サイトの浸透を背景に、取り締まりの重点が賭客だけでなく、運営や収益構造に関与する周辺分野へと広がっている。
検挙状況をみると、165件のうち158件が店舗を持たない「無店舗型」で、検挙人員は221人に達した。
とりわけ目立つのは、違法と認識しながら参加する一般の賭客だけでなく、決済代行業者やアフィリエイターなど「運営等に関与する者」への摘発が進んでいる点だ。
無店舗型の内訳では、運営等が8件25人、賭客が150件196人となっている。
統計を時系列で見ると、オンライン賭博事犯の検挙はここ数年で急激に増勢を強めている。
事件数は2024年の62件から2025年には165件へと倍以上に跳ね上がり、検挙人数も279人から317人に増加した。
特に無店舗型は2024年から事件数が103件増えており、警察当局がオンライン空間での賭博行為を重点取締対象に位置付けている実態がうかがえる。
背景には、海外に拠点を置くオンラインカジノの存在がある。
日本国内では賭博行為は原則違法だが、「海外サイトだから合法」「遊ぶだけなら大丈夫」といった誤った認識が一部で広がり、利用者の裾野が広がってきた。
警察庁は、こうした認識そのものが誤りであるとした上で、違法性の周知と並行して、資金の流れや勧誘構造に踏み込んだ捜査を進めてきた。
実際の摘発事例からは、オンライン賭博が単なる個人の違法行為にとどまらず、分業化されたビジネスモデルを形成している実態が浮かび上がる。
2025年1月には、海外のオンラインカジノ運営者と共謀の上、動画配信サイトなどを使って海外のオンラインカジノを宣伝し、視聴者を賭博に誘引していたアフィリエイターら4人が、常習賭博罪で岡山県警に検挙された。宣伝行為自体が賭博への関与と判断された形だ。
また、大阪府警が2025年2月に摘発した事件では、オンラインカジノの決済代行業者が、犯罪収益を隠す目的で他人名義口座を用いて入金を受けていたとして、組織犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿)が適用された。
賭博資金の「入り口」と「出口」を押さえることで、運営側の摘発を狙う捜査手法が鮮明になっている。
さらに2025年8月には、オンラインカジノを紹介するウェブサイトを運営し、閲覧者を賭博に勧誘したとして、岐阜県警が2人を常習賭博幇助の疑いで検挙した。
単なる情報提供の域を超え、賭博を助長した行為として刑事責任が問われた点は、今後の抑止に向けた象徴的な事例といえる。
警察庁は今後も、オンライン賭博の違法性の周知を強化するとともに、運営に関与する者や背後にある収益構造の解明と摘発を推進する方針を示している。利用者側にとっても、「知らなかった」では済まされない環境が整いつつあり、安易な参加への警鐘が強まっている。
警察庁の楠芳伸長官は、「オンラインカジノ事案は匿名・流動型犯罪グループなどが関与し、莫大な額の不正な収益を得ているものと見られることから、全国警察を挙げて中核的人物の実態解明・検挙と犯罪収益の剥奪を推進し、違法なビジネスモデルの解体を図っていく」としています。