2024年パリオリンピックのレスリング女子57キロ級で金メダルを獲得し、2026年4月3日に現役引退を表明した桜井つぐみさんが、地元である高知県香南市で指導者としての第一歩を踏み出した。4月18日、新設された「高知レスリングクラブ香南市教室」で初めての無料体験教室が開催された。
体験教室、当日の朝は早い
体験教室の当日は、朝早くからつぐみさん本人が会場に姿を見せた。会場となったのは、現在は使われなくなった旧野市小児童クラブの施設だ。つぐみさんは、自ら両手にパイプいすを抱えて運び、マットの清掃から会場設営までを一手に担った。
五輪・金メダリストが自ら設営を行う姿について、つぐみさんは「最初は何もないところから準備した。もちろん、すべて自分たちでやる」と、指導者としての覚悟を語った。
新設される香南市教室は、父・優史さんが高知市で経営し、つぐみさん自身も研さんを積んできた「高知レスリングクラブ高知東教室」の姉妹クラブである。つぐみさんは「地域でレスリングの普及をしていきたいと考えて、高知レスリングクラブ香南市教室ということでクラブをつくっていきたい」と、地元への恩返しと競技人口の増加を目的として掲げている。
記念すべき第1回の指導
記念すべき第1回の体験教室には、3歳から小学5年生までの子どもたち、計25人が参加した。その多くはレスリング未経験者であり、香南市内だけでなく遠方からの参加者も見受けられた。
指導の現場では、南国市の小学校で教諭を務める妹の桜井はなのさんらもサポートに加わった。つぐみさんは子どもたちの目線に合わせ、「先生のマネっこをしてください。まず手をおひざにつく。えんぴつを左で持つ人は左足が前、右手で持つ人は右足が前だよ」と、丁寧に指導を行った。
徳島県から参加した3歳の射場羽玖くんは、お姉ちゃんと共に参加したが、ゲーム形式の「しっぽ取り」で思うようにいかず「もうやだ!」と涙を見せる場面も。
基本動作の習得後には、参加者全員でタックルに挑戦する時間が設けられた。世界を制したつぐみさんらに対し、子どもたちが次々と体当たりをしてなぎ倒していた。
金メダリストの指導に子どもたちは…
参加した小学5年生の男子児童は「相手をドンってマットにたたきつけるところが気持ちよかった。つぐみさんから『強いね』と言ってもらえてうれしかった」と振り返った。
また、小学3年生の女子児童は「教え方が優しくてかっこいい。つぐみちゃんみたいにかっこよくなりたい」と話し、指導者としてのつぐみさんに信頼を寄せていた。
教室の締めくくりに、つぐみさんが「楽しかった人!」と問いかけると、参加したすべての子どもたちが元気に手を挙げた。
これを受け、つぐみさんは「頼りない部分もあるかと思っていたが、子どもたちが楽しそうに動いてくれたのが一番うれしかった。レスリングのおかげで成長できたと思えるようなクラブにしていきたい。何か香南市に恩返しができるように頑張っていきたい」と、今後の展望を語った。
高知レスリングクラブ香南市教室は、5月23日から本格的に始動する。活動は毎週木曜日と土曜日、旧野市小児童クラブで行われる。対象は3歳から中学生までとなっている。