奈良市が新たな観光資源として、行政主体で『温泉』を探す計画を立てています。
シカや文化財などの観光資源を抱えながら、2021年の調査では奈良県として宿泊者数が全国で最下位を記録したこともあり、「泊まってもらえる街」を目指した取り組みです。
実際に「天橋立」で知られる京都府宮津市では、温泉が出たことで宿泊者を含む観光客が増加したといいます。
奈良市で本当に温泉は出るのか、探りました。
■「観光客が泊まらない街・奈良市」2021年には“全国最下位”
関西屈指の観光地・奈良。シカや文化財など多くの観光資源を抱えながら、官公庁の調査によると、2021年には奈良県として年間の宿泊者数が全国最下位を記録。
日帰りで帰ってしまう人が多く、観光の消費額が伸び悩んでいることが課題でした。
そこで浮上したのが「奈良市で温泉」計画です。
【奈良市観光戦略課 久島靖広課長】「専門家の方々からは、温泉が地下に埋蔵されている可能性が高いというような形では伺っているんです」
源泉があると目されているのは、奈良市の中心にある奈良公園と「ならまち」をつなぐ猿沢池周辺です。
奈良市は行政主体で「温泉探し」を行う予定で、新年度の予算案に「温泉調査費」およそ800万円を盛り込みました。
■海に面せず・近くに活火山もない奈良市で温泉は出る?
しかし奈良市は海にも面しておらず、近くに活火山もありません。本当に奈良市で温泉は出るのでしょうか?
すでに奈良市内で温泉の掘削に成功したという話を耳にし、向かったのは、奈良公園からすぐ近くの旧大乗院庭園の南西側にあるホテルの建設予定地。
ことし1月に、地下600メートルまで掘ったところ、31.8度のぬるま湯が出たということです。
【Ladle株式会社 森山朋子会長】「『出たらいいな』と思っていたんですけど」
(Q.どういった成分?)
【Ladle株式会社 森山朋子会長】「塩素ナトリウムと炭酸温泉水って言うんですけど、気泡が出てて、肌にぬるぬるってするような温泉水です。美肌の湯です」
ホテルは2028年にオープンし、全9室に温泉を引く予定だということです。
専門家は、奈良市の他の場所で掘削をしても温泉が出る可能性はあると話します。
【大阪国際大学国際観光学科 森田浩司教授】「掘削技術が今、非常に進んでいますので、調査次第で、かなりの確率で、見つけることはできるのかなと。湯量は地面に聞いてもらわないと…」
■観光地にもたらされる「温泉の効果」とは
温泉が出ると観光地にはどのような効果がもたらされるのでしょうか。
【関西テレビ 西中蓮アナウンサー】「京都府宮津市にやってきました。こちらの地域で温泉を掘って観光客が増加したということで早速調査していきたいと思います。行ってきます!」
京都府・宮津市にある日本三景・天橋立の目の前に建つ旅館・文珠荘。
天橋立エリアは、奈良市と同様、宿泊客が増えないという課題を抱えていました。そこで、1999年にこの温泉を掘り当て宿泊客誘致を試みたのです。
【文珠荘 幾世英磨社長】「平均で130%ぐらいのお客さん。(従来より)30%ぐらいお客様が増えるような形で、街として非常に活気づいた思い出があります。
特に日本のお客様は、温泉が『あるかないか』を重視されるところもありますので、お客様にとってもいいですし、我々にとっても自信になるという、非常にいい効果があったんじゃないかなと」
こちらの温泉を西中アナウンサーが体験しました。
【西中アナウンサー】「お~露天風呂もあるんですね!」
【文珠荘 幾世英磨社長】「美人の湯と言われております」
【西中アナウンサー】「僕も美人になれますか?」
【文珠荘 幾世英磨社長】「十分お綺麗ですけどね」
天橋立温泉は美肌効果や疲労回復の効能もあるとされています。
【西中アナウンサー】「はあ~~最高ですね。ヌルヌルしていて美人の湯と言われるのがわかる気がします」
【文珠荘 幾世英磨社長】「それ以上つるつるなっても困ると思いますけど…」
これだけ気持ちいいお湯なら、このまま宿泊したくなる気持ちもわかります。
■「温泉」で奈良市はどのような街づくりを?
宿泊客増加に大きく寄与する温泉。掘削成功の可能性を十分に秘める奈良市はどんな街づくりを目指しているのでしょうか?
【奈良市観光戦略課 久島靖広課長】「温泉に入っていただいて、ほっこりとしていただく。温泉出た後に『ちょっと暑かったので、涼もうか』、『まわろうか』、そして『お酒一杯飲もうか』。
そういう時に、猿沢池周辺のにぎわいっていうのが必要と思っているんです。温泉もきっかけとして泊まっていただいて、より奈良の魅力を五感で体感していただきたい」
奈良市は、今年の夏ごろに地質調査を実施し、11月の掘削許可を審議する会議に、調査結果を提出する予定だということです。
(関西テレビ「newsランナー」2026年4月17日放送)