島根・出雲市大社町で、5年がかりの改修工事を終えた「旧大社駅」がリニューアルした。
4月18日にはリニューアルを記念した無料開放イベントがあり、訪れた鉄道ファンが「レトロでいいですね」と笑顔を見せていた。
一方で施設の維持・管理のため入場料が有料に、地元はその背景と意義をふまえ理解を求めている。

旧大社駅のリニューアル(島根・出雲市大社町)
旧大社駅のリニューアル(島根・出雲市大社町)
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大正13年生まれ 近代和風建築の傑作

旧大社駅が建てられたのは1924年(大正13年)のことだ。神社様式を取り入れた駅舎は「近代和風建築の傑作」とたたえられ、国の重要文化財に指定されている。

1924年建築 国重要文化財
1924年建築 国重要文化財

しかし建築から100年近くが経過し、老朽化は着実に進んでいた。そこで出雲市などが約12億5000万円を投じ、耐震補強や内装の改修を実施。完成までに5年の歳月を要した大規模なプロジェクトとなった。

出雲市が5年の大規模なプロジェクト実施
出雲市が5年の大規模なプロジェクト実施

「昭和初期の写真」が復元の手がかりに

昭和初期の写真
昭和初期の写真
当時の姿を忠実に復元
当時の姿を忠実に復元

今回の改修工事で特に注目されるのが、構内のしつらえの復元だ。改修中に新たに見つかった昭和初期の古写真をもとに、当時の姿が忠実に再現された。

混雑時に乗客を整理するための「制止柵」、独特な形をした照明——

制止柵
制止柵

細部にいたるまで建設当時の姿がよみがえった。さらに、切符販売所の窓口には鉄格子が新たに設けられた。これは「お金を扱う場所で防犯上の観点から当時あったもので忠実に再現された」ものだという。隅々まで徹底して「当時」にこだわった復元が、この駅舎の価値をいっそう際立たせている。

切符販売所の窓口には鉄格子が新たに設置
切符販売所の窓口には鉄格子が新たに設置

「すごくきれいになって復活した」——地元の声

4月15日の見学会には、地元住民や鉄道ファンが冷雨をものともせず集まった。

「すごくきれいになって復活したな」「古い駅が好きなので楽しみにしてきました」——訪れた人々の言葉には、長い工事期間を経てようやく再会できた喜びがにじんでいた。

出雲市の飯塚市長も「郷土の誇りを感じ、再び多くの人々をつなぐ交流の拠点として、市としても大切に守り抜いていく」と語り、地域のシンボルとしての旧大社駅への強い思いを示した。

入館料は「硬券」で——有料化の意味

リニューアル後、旧大社駅の見学は有料となった。入館料は大人300円、子ども150円だ。

「硬券」と「はさみ」
「硬券」と「はさみ」

注目したいのはその入場券の形式である。今ではほとんど見られなくなった「硬券」と呼ばれる厚紙の切符が採用されており、訪れた利用客は「自分で(はさみを)入れられるのは、とても貴重な体験だと思う」と感想を話した。入館料は今後、施設の維持管理費などに充てられる予定だ。

「住民に愛される地域のシンボル」旧大社駅
「住民に愛される地域のシンボル」旧大社駅

出雲市は有料化について、「文化財・観光資源としての価値を守っていくため」だとして、市民や利用者に理解を求めている。安部記者は「貴重な観光資源でもある旧大社駅を今後どのように守っていくのか考えるきっかけにもなりそうだ」と締めくくった。

「住民に愛される地域のシンボル」として旧大社駅を位置づける出雲市。大正から令和へ、100年近い時を越えてよみがえった駅舎が、これからも大社町と人々をつなぎ続ける。

(TSKさんいん中央テレビ)

TSKさんいん中央テレビ
TSKさんいん中央テレビ

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