「それって、ホント?」と言いたくなるマナー、多くありませんか?
新入社員のキャトウさんも、そんな“もやもやマナー”に悩まされるひとり。

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就活時に教わったことがあるかもしれない、「入室時のノックは3回!」というマナー。でも、普段はドアを「コンコン」と“2回ノック”している人の方が多いのでは。

ネットを見てみると「2回ノックは“トイレ用”と聞いた」「4回ノックするのが正しいらしいけど…」などなど、様々な意見があるが…

そこで今回のテーマは…

さっそく、国内外の企業や大学などでのマナーコンサルティングや人材育成などのマナー指導を行っている、マナーコンサルタントの西出ひろ子さんにお話を聞いた。

西出氏:
日本はもともと障子や襖の生活様式でしたから、ノックの習慣はありませんでした。ドアは欧米などからきたものであり、そのドアに付随するのがノックという大前提のもと…欧米では、2回ノックを「トイレでのノック」とし、それ以外の場所に入るときには、3回以上のノックをすると言われています。とはいえ、これも欧米のすべてにおいて広まっているわけでもなく、そのように言われている、ということです。

これらを踏まえて「トイレ以外の場所に入るときには、3回以上ノックをしましょう」となっています。

ただ、ビジネスシーンにおいては4回以上「トントントントントン」とノックすることなどは耳に触る人もいるかもしれないという配慮から、日本ではビジネスシーンはノックは3回と言われています。

私が、英国オックスフォードにて、ホームステイをしていたとき、そのご家族も、トイレ時は2回、それ以外は3回以上という生活をしていました。

また日本では「部屋を出るときにはドアを閉めましょう」という教育を受けてきたと思いますが、英国での生活では、トイレや自分の部屋から出るときには、ドアは開けっ放しにするのがマナーということでした。ですから、室内に人がいるときにはドアは閉まっている。そこで、入室したいときには「入っても良いですか?」と中の人に確認をするために行うものであると教わりました。

ちなみに国際儀礼のプロトコルでは、お部屋に入るときのノックは4回と決められています。
ただし、プロトコルとマナーは異なります。プロトコルは、統一された決まり事ですが、マナーは決まり事ではありません。だから、そのときのTPPPO®︎に応じて型は変わっていい、すなわち、状況に応じて、ノックの回数は変わっても良いということです。
海外ドラマや映画を観ていると「トントントントントーン」と何回もノックをするシーンがよくありますね。

ノックの回数にはしっかりとした意味が。

「2回」のノックはいわゆる“トイレノック”と呼ばれるノック。
「3回」以上のノックはそれ以外の場所で行うノックであり、日本ではこのノックがビジネスシーンで一般的に使われている。
「4回」のノックは国家間の儀礼上のルール(プロトコル)で定められている、入室の際のノック。

これを見ると、来客に対してのノックなどは4回がふさわしいようにも思えるが「何度もノックするのはうるさい…」と感じる人も。それらを考慮して「3回ノック」を使うのが、日本のビジネスシーンでは一般的だという。

西出氏:
お客様がいる応接室にお茶を運ぶときには、3回。
会社の同僚のみが集まる会議室に入るときにも、3回。

また、ビジネスシーンではなくなりますが、家族や友達の部屋に入る時などは、3回以上であれば、何回でもOK。
もちろん、現実的に10回以上ノックをすることは、行き過ぎだとは思いますが…(笑)

国際儀礼のプロトコルが必要な場では、ノックは4回しないと失礼であったり、恥をかくことになるかもしれません。また、関連する日本における検定試験などでは、その試験の解答にふさわしい回数を回答しないと合否に関わってまいります。

しかしながら、そうではないシーンにおいては「ノックを〇回しないといけない、ダメだ」という決めつけは不要のような気がします。


入室時のノックの回数は、相手の立場や地位などに関係なく、一般的には3回。
扉の向こうにいるのが自分の部下や友人だからといって、ノックは2回でOK!となるワケではないので、注意したい。

では、そもそも扉の外から声をかけるだけでノック無し、というのはどうなのだろう。
両手がふさがっていたり、部屋の中にいるのが親しい人であったら、ノックせずにそのまま「入るよー」と声をかけて入室したくもなるが…

西出氏:
本来は、ノックをしないで声をかけるのみはNG
です。ドアが閉まっていればまずはノックをする、そのあとにお声がけです。

ただし、日本ではもともとノックの習慣がなかったため、前述の基本を知った上で、気心の知れた相手であれば、「ごめんね。今、両手がふさがっていてノックできないんだけど」などのひと言を添えてコミュニケーションをとればいいでしょう。面倒と思われるかもしれませんが、このように相手を気遣うひと言で、あなた自身が誤解をされずに済むというメリットもあります。

マナーは双方をプラスにしていくもの。「親しき仲にも礼儀あり」の気持ちを忘れずに、お互いにとって心地よい空間と関係を生み出してまいりましょう。

西出氏:
もともとノックは「今から入ってもいいですか?」「これから入ります」というサイン。ですから、返答が無ければ、入ってはいけないということになると思います。

しかしながら、中の人に聞こえなかったなどで、相手から返答が無い場合も、仕事でどうしても入らなければいけない、などの事情もあると思います。
そこで、返答が無いときには、もう一度ノックをして、返答を待つ。それでも返答がなければ、そっとドアを開けて中を覗く、ということになるでしょう。
そして、中に人がいれば「失礼いたします。今、よろしいでしょうか」などの確認をします。臨機応変な対応も必要です。


家族間でありがちな、ノック後即入室!はマナー的にはNG。
もちろん、ビジネスシーンでも「ノック無し」や「すぐに扉を開けてしまう」というのはNGなので、まずはきちんとノックから始めよう。ただし、回数にこだわりすぎて本来の意味や目的を忘れないように。


今回の“もやもやマナー”、ノックの回数にも気を付けると、一歩上のマナーが身につけられそう。

(漫画:さいとうひさし)

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プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。