10月1日、来春からの入社予定者たちを迎える内定式が各地で行われたが、実は今、学生が企業に求める条件に変化が起きている。

就職が内定した学生からは、「給料も見るが、福利厚生の方を重要視した」「制度を重視した」など、福利厚生の充実を求める声が聞かれた。

そして、大学を卒業してから3年目以内に離職する人は約32%と少なくない。このような状況の中、優秀な人材を確保するために驚きの制度を導入する企業が増えている。

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そこで今回の「ココ調」は、社員の離職を防ぐ自由で斬新な工夫を行う会社を取材し、その制度の内容を調査した。

「早起きは1000円の得」始業前の出社で手当を支給

最初に向かったのは、東京都新宿区にある通販事業などを行うパスクリエイト株式会社。

一体どんな制度なのか?こっそりオフィスの様子をウォッチングしていると…

横山ルリカ リポーター:
あっ入ってきました!いま女性の方が1人、出社されましたね。早い!まだ6時54分ですよ。

始業時間の2時間も前の朝6時54分に女性社員が出社。

続いて、約50分後の7時42分(始業時間の約1時間前)に男性社員が出社してきた。
と、ここで問題。実は、朝早く出社することで得をする社員にとって甘い制度があるのだが、それは何かわかるだろうか?正解は…

横山ルリカ リポーター:
なんでこんなに早く出社されたんですか?

女性社員:
始業時間は9時からなんですけど、7時前までに来ると1000円の手当がつきます。

横山ルリカ リポーター:
えっ、お金がもらえるんですか!?

この会社では、始業時間の1時間以上前に出社した人は500円、2時間以上前に出社した人には1日1000円が支給される制度がある。その名も「早起きは1000円の得制度」

女性社員:
習慣になったので。早いと電車も空いていますし、そのストレスもないし。生活のリズムを整えたりとか、メリットはあります。

横山ルリカ リポーター:
こちらは何をされているんですか?

男性社員:
昨日発表されたGoPro8を見てました。趣味ですね。

「早起きは1000円の得制度」では、趣味や資格の勉強など、仕事に限らず自由な時間を過ごすことができる。

本社勤務の正社員14人全員がこの制度を利用すると、1日あたり1万4000円。10月の会社出勤日を21日とした場合、月の合計は29万4000円になる。(※全員が2時間前に出社し、1人1000円が支給された場合)

コストがかかるように見えるが、なぜそこまでするのか?

パスクリエイト株式会社 田尾望さん:
生活リズムを整えていただくという目的もありますので、始業のタイミングで目がはっきり覚めていて、業務がスムーズに進められたりですとか、残業が減ったりという効果はあるかなと思います。

他にも、昼休みの時間とは別に15分~30分程度の昼寝時間が取れる「シエスタ制度」もあり、社員から好評だという。

ポイント集めて豪華景品をゲット!社員間のコミュニケーションにも

続いては、東京都港区にあるリラクゼーションスタジオ「リラク」を運営する株式会社メディロム。この会社で実施されている制度とは?

株式会社メディロム 八巻誠さん:
ポイントをためて豪華景品と交換できる制度がございます。

「クレドポイント制度」といい、仕事を手伝ってくれた時や仕事を頑張っている仲間に対して感謝のメッセージを記入し、社員同士でカードを送り合うというもの。

1枚につき1ポイントで、30ポイントから景品と交換が可能(30ポイントで現金3000円またはリラクカード4000円分)。最大300ポイントためると、20万円相当の海外ペア旅行券がもらえるのだという。

男性社員:
僕はこれで、ハワイにタダで行けちゃいました。仲間から「ありがとう」のメッセージをもらえて、かつハワイにも行ける。素晴らしいと思います。

年間で10人ほどの社員が、300ポイントを貯めてハワイに行っているということだが、こんな大盤振る舞いをして経営は大丈夫なのだろうか?

株式会社メディロム 江口康二代表取締役:
経費でいうとかなりかかりますけど、会社の文化を伝えたり、大切にしている考え方を伝えていくという意味では、研修をやるよりもコストは安いと思います。

無料で利用可能なカフェ&市役所も完全フレックスタイム制に

ココ調取材班は、さらに社員や職員にうれしい制度を発見!

インターネット広告関連のGMOインターネット株式会社では、24時間365日利用できるカフェを導入。
社員は無料で利用できて、金曜日の夜はバーに変身するといい、コミュニケーション活性化を目的としている。

また、大阪府の寝屋川市役所では、2019年10月から職員が勤務時間を自由に決められる「完全フレックスタイム制」を導入。導入後、採用応募者が10倍になったという。

育児休暇は最大6年「自分磨き休暇」もOK

最後に向かったのは、東京都中央区にあるサイボウズ株式会社。

企業の中で、社員1人1人のスケジュールや仕事の進捗状況などを他の社員もネット上で確認できる「グループウェア」というシステムを作っている会社だ。
社員数約500人のこの会社が行っている驚くべき制度とは?

サイボウズ株式会社 山見知花さん:
育児休暇を最大6年取得できます。

一般企業の育児休暇の取得期間は、平均で約2年といわれているが、この会社では最長6年間も取得することが可能。2年間は育児休業給付金が支払われ、3年以降は一度退職扱いとなって福利厚生や保険なども適用外になるが、6年以内なら職場に戻ることができる。

現在、育児休暇をとって半年になる女性社員に話を聞いた。

育児休暇を取得して半年の日高里奈さん:
人によってその時、状況がいろいろあったりとか、子供が生まれたりとか、結婚したりとか。そういうタイミングで働き方を柔軟に変えて、働いていけるっていうのは、すごく魅力的だと思っています。

さらに、育児休暇ではなく、自分磨きの為に利用できる「育自分(いくじぶん)休暇制度」という制度もあり、退職して6年以内であれば自由に復職が可能だ。

2006年の制度開始から、社員の離職率は劇的に減少。2005年に27.7%だった離職率は、2018年には4.8%になり、売り上げもアップしたという。

実際に、青年海外協力隊として3年間ボツワナ共和国でボランティア活動を行い、2017年に復職した社員もいる。

女性社員:
新しい職場や会社に行くよりは安心感がありました。約束されたからじゃなくて、自分が戻りたいから戻れるっていうところが、すごく良いなと思います。

賞与などによって社員のモチベーションを上げたり、育児や自身の成長のための休暇を導入することで、社員の人生にも充実をもたらす新しい福利厚生制度。働き方改革の浸透にともなって、今後もさらなる広がりを見せそうだ。

(「めざましテレビ」『ココ調』10月4日放送分より)

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