「それって、ホント?」と言いたくなるマナー、多くありませんか?
新入社員のキャトウさんも、そんな“もやもやマナー”に悩まされるひとり。

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お客様をお招きしての会議、無事に終わってもまだお仕事は終わっていない!
家に帰るまでが遠足です、というわけではないが、お見送りをこなすまでがおつとめ。

しかし、ネット上には「お見送りって、玄関まで?エレベーターホールまで?」「お客さんが見えなくなるまでお辞儀をして!って言われたけど、頭の上げ時がわからない気が…」など、意外とお悩みの声が。

そこで、今回のテーマは…

さっそく、国内外の企業や大学などでのマナーコンサルティングや人材育成などのマナー指導を行っている、マナーコンサルタントの西出ひろ子さんにお話を聞いた。

西出氏:
最も丁寧なお見送りは「玄関外まで出て、お客様が見えなくなるまで」ですから、そうしたいと思う相手であれば、そうすればよいでしょう。

お見送りする場所は「玄関先まで」「エレベーターホールまで」など、どこが正解、というものはありません。
たとえば駐車場までお見送りする場合は、状況に応じて、道路まで誘導することもあります。玄関口までお見送りするときは、お客様にお持ちいただいたネームカードなどをお預かりする配慮なども必要です。

一般的に「重要な商談のときは玄関口までお見送りをする」とか「何度も打ち合わせや一緒のお仕事をして気心が知れている・会社の構造を知っている相手の場合はエレベーターホールまで」などというマニュアルもあるようですが、重要な商談であるかないか、あるいはお客様の役職などでお見送りの場所を決めることはかえってマナー違反だと感じます。

相手様が若手の人であっても、話が盛り上がってもっと話したいと思えば、玄関先までご一緒することもあります。
一方、相手によっては、お化粧室に立ち寄って帰りたいなどと思う人もいるかもしれませんから、そういう場合は、お部屋の前やエレベーター前までのお見送りのほうが気楽、助かる、ありがたいと思う人もいるわけです。丁寧すぎる対応は、かえって相手が恐縮したり、重荷になったりすることもあります。

しかし大半は、丁寧にお見送りをされると「自分が大切に扱われている」と感じ、相手に良い印象をいだきます。「どこまでお見送りすればいいのだろう」などと悩むことはなく、基本は、どなたに対しても同様に「玄関先までお見送り」ということを知った上で、そのときの状況や、また、自社のルール、先輩からのご指導などに応じて対応すれば良いと存じます。

西出氏:
基本的には見えなくなるまでお見送りをすると丁寧な印象となりますが、お客様が見えなくなるまでお辞儀」ということは、そうされることを嫌うお客様もいらっしゃいます。

それを踏まえ、ずっとお辞儀をするのではなく、時々頭をあげ、相手が振り向いたら、またお辞儀をしたり、手を振ったりすることで、感謝や「気をつけておかえりください」という気持ちを表現すればよろしいかと思います。
ただし、ギリシャ人の方には、手のひらを見せて手を振る仕草は失礼にあたるといわれていますので、相手に応じて行うのがマナーといえます。



お客様のお見送りは玄関まで、そして姿が見えなくなるまでキッチリお辞儀…ということを聞いた人もいるかもしれないが、お見送りの場所やお辞儀の仕方に特別な決まりはなし。

基本的には「玄関の外まで出て、お客様が見えなくなるまでお見送りする」のが丁寧な対応となるそうだ。

そして意外に悩みがちなのが、お見送りする人数。
今回はお客様と自社3対3の会議が終わった時を想定して考えてみたい。

西出氏:
可能であれば、全員行くと、お客様の気持ちは安心するでしょう。ただし、次の予定があるため、どうしても時間がない場合などは、お見送りができないこともあるかもしれません。その時はきちんとその理由を述べれば、先方も理解し不快にはならないでしょう。

3人の場合、若手の1人だけがお見送りというのは、お客様の立場になるとちょっとぞんざいに扱われている気持ちになってしまいますから、その場合は、可能であれば2人でお見送りすると良いでしょう。

役職が最も上の方は部屋の外までで、その部下たちがエレベーターホールまで、という場合もよくあります。そのとき、最も上の人は、「こちらで失礼します」と一言を忘れずに。ただし、最も上の人が、エレベーターホールまでお見送りしてくださったら、大変ありがたく感激し、心証はよくなります。

気を付けたいのは、お見送りする場所やその作法は、お客様や状況などのTPPPO(時・場所・人・立場・場合)によって変わるということ。
「お見送りはここまでで、お辞儀は〇秒間…」など、形だけのお見送りをするのはNGマナー。一番大切な「お客様がご足労くださったことに対する感謝の気持ち」を、お辞儀や場合によっては手を振ったり…という形で示すのが大切だ。

今回の“もやもやマナー”、玄関口は感謝の心の見せどころ。
とはいえ、そろそろ切り上げ時では?キャトウさん。

(漫画:さいとうひさし)

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。