北アルプス立山などに生息するライチョウを守り、増やす研究が始まって、今年で10年が経ちます。
絶滅危惧種のライチョウ。今では動物園で生まれたライチョウが高山帯で放たれるまでになりました。
標高2450メートル、冬の立山・室堂平。冬は氷点下20℃を下回る極寒の地でライチョウは数万年もの間、生きてきました。
雪原にできた一筋の線。辿ってみるとそこにいたのは…。
頭まですっぽりと雪に埋まったライチョウ。氷点下2℃に保たれた雪の中、寒さをしのいでいました。
国の特別天然記念物ライチョウ。かつて、その姿は高山でしか見られませんでした。
富山市のファミリーパークです。ライチョウを守る研究拠点の一つで、一般客も見学できます。
*富山市ファミリーパーク 獣医 秋葉由紀さん
「女の子、メスのライチョウ。飼育係が母親代わりになって育てた子。動物園で飼育して守る事業。普通にライチョウが見られるように。この10年はとても感慨深い」
ここでライチョウが飼育されるようになったワケ、それは…。
絶滅の危機です。
*ライチョウの生態に詳しい 信州大学 教授(現在は名誉教授) 中村浩志さん
「いま日本のライチョウは手を打たなければ次の世代に残せない」
高山帯に姿を見せるようになったシカやイノシシ。
温暖化などでライチョウの生息域が急激な変化にさらされ、このままでは野生絶滅したトキやコウノトリの二の舞になると危機感が高まったのです。
*ライチョウの生態に詳しい 信州大学 教授(現在は名誉教授) 中村浩志さん
「山でライチョウを守るのは本来だが、この段階に来たら域外保全、 飼育によって守ることを考えなければならない」
当時、ライチョウの飼育技術は確立されておらず、上野動物園やファミリーパークがノルウェーから卵を取り寄せ、研究が始まりました。
そして2015年度、環境省は全国の動物園や大学と、新たな保護増殖事業に着手。
乗鞍岳で採取した卵をファミリーパークなど「生息域外」の動物園に移し、人工ふ化や繁殖技術の確立を目指したのです。
ファミリーパークでも細心の注意を払って、研究が進められました。
生き物への病気の感染を防ぐため、飼育係が防護服を着るのはライチョウだけです。
研究当初は増殖がうまくいかず、ヒナが死ぬこともありましたが、現在は卵からのふ化、そして成鳥になる割合も高まりました。
去年9月には一時、絶滅したとされていた中央アルプスで動物園生まれのライチョウを放つ、「野生復帰」が叶いました。
ライチョウの保護増殖事業は、新年度から第3期に入り、順調に進めば絶滅危惧種に指定されているライチョウの危険度が下がる見通しです。
*富山市ファミリーパーク 獣医 秋葉由紀さん
「シンボル的に言っているが、ライチョウを守るための環境整備は私たちの生活、地球、すべてを守るとこと、みんなでやっていくことだと思う」
動物園だけでなく、みんなでライチョウを守ろうと呼びかけるファミリーパークは、24日土曜、富山市でシンポジウムを開きます。
また、保護増殖事業へのサポート、参加を募るクラウドファンディングも行われています。