大阪市消防局は12月25日、8月に道頓堀で発生し、消火活動に当たっていた消防隊員2人が死亡したビル火災について、ビル内で「『バックドラフト』が発生し、死亡した2人がいたフロアに火や煙、熱気が一気に入り込み、逃げ遅れた」という内容を盛り込んだ中間報告を公表しました。

■消火作業中の消防隊員2人が死亡 道頓堀ビル火災 中間報告がまとまる

ことし8月、大阪市中央区宗右衛門町のビルで起きた火災では、消火作業中の消防隊員2人が死亡し、消防隊員4人を含む5人が負傷しました。

大阪市は事故調査委員会を立ち上げて、火災の原因などを調べていましたが、きょう=25日、中間報告が公表されました。

■6階で消火活動中5階で「バックドラフト」発生し煙・火が流れ込み逃げ遅れたか

報告によると、ビルはもともと別の2つだったものが、4階部分で接続されていました。(以降「西側」・「東側」と表記。)

火が出たのは西側のビル1階の道頓堀川側に設置されていた室外機の周辺で、エアコン室外機が火炎にさらされて燃焼を助長し、屋外看板などに延焼。

建物外壁に設置されていた屋外看板を伝って急速に上方へ延焼が拡大し、東側ビルの5階窓から室内に延焼し、バックドラフト現象が発生しました。

バックドラフトは、酸素が不足した状態で一時的に鎮静化していた火災が、扉の開放などで突然空気が供給されることで爆発的に燃焼する現象です。

今回は消防隊員が5階の扉を開放した際に発生し、強烈な火炎と黒煙が噴出。室内階段を通じて6階へも延焼したということです。

報告では、これにより、6階で消火活動をしていた消防隊員2人が取り残され、逃げ遅れたと取りまとめています。

市は事故原因について、屋外看板などを介した急速な延焼拡大、消防隊員の退路遮断、発見・救出に時間を要したことなど、複数の要因が複合的に進行したと分析しています。

■看板にも問題か

また、大阪市計画調整局建築指導部は、ビルに設置されていた主な看板などについて建築基準法への適合性調査結果を公表しました。

防火地域にある高さ3メートルを超える看板は不燃材料で造る必要がありますが、複数の看板が不燃材料ではなく、確認申請の対象となる看板について申請の有無が確認できないものもありました。

これを受けて市の建築指導部と建設局は、屋外広告物設置者などによる法令遵守の意識醸成に向け、啓発チラシの作成や許可申請時の確認徹底など、連携した取り組みを進めると発表しました。

市消防局は今後も事故の再発防止に向けた議論を重ね、最終報告書の完成を目指すとしています。

関西テレビ
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