各地で出没が相次いでいるクマ。
万が一、出くわした時に有効とされるのが“クマスプレー”です。
シューっと音を立てながら、勢いよく噴射される真っ赤なスプレー。
これはクマ専用の撃退スプレーです。
噴射時間は約10秒間。
10メートルほどの距離で有効だといい、成分には国産の激辛トウガラシが使用されています。
バイオ科学株式会社・奥谷さん:
始めは遠距離であれば3秒くらいでガスの煙幕を作るような感じで噴射していただいて、それで逃げずに近づいてくるようでしたら、また顔に向かって直接かけると。手前に来たときも顔に向かってクマがどこかに行くまでかける形になる。
国内で販売されるクマスプレーは海外メーカーのものが主流でしたが、このスプレーは国産のクマスプレー。
2025年の5月から販売を開始したところ、注文が殺到しているといいます。
バイオ科学株式会社・奥谷さん:
需要に合わせて意見を聞きながら変化していけるのが国産メーカーの強み。
飛ぶように売れているクマスプレーを巡ってはこんな事態も。
東京都内のアウトドア商品を販売している会社がアメリカから輸入販売している「クマ撃退スプレー」と、見た目がそっくりなスプレー。
パッケージをそのままコピーされたという模造品スプレーとみられます。
担当者によりますと、正規品のスプレーの噴射は赤っぽく、遠くまで届きますが、模造品のスプレーの噴射は白く、届く距離も短いためアメリカの規格を満たしていなかったといいます。
販売会社では、アメリカから輸入したスプレーの日本語表記のラベルを自社で製作しているため、違いに気づいたということです。
見た目がそっくりなため、クマスプレーを購入する際にしっかり販売元を確認する必要があります。
一方、日本郵便はクマの出没状況に応じて、一時的に集配業務を見合わせると発表しました。
クマの出没が確認され、自治体や警察から立ち入り規制の指示があった場合や、目撃したり、業務を続けるのが難しいと判断した際は、一時的に集配業務を見合わせる可能性があるということです。
また、近隣にクマが出没している地域では、原則として午後5時以降のバイクによる配達や、窓口業務を一時的に見合わせる可能性があるということです。
被害が深刻な秋田県では4日、男性(72)がクマに襲われけがをしました。
男性が当時の様子を「ここからこう出てこういった。こういう状態になったらそしたらもうここへ(クマが)ここにこう走ってきたんですよ。で、走ってきてこういう感じで。で、ここへやられて、ここのところ、太もものところだね」と語りました。
男性が住宅の敷地内の小屋から出たところ、体長約1.3メートルのクマに背後から体当たりされ、右太ももをひっかかれました。
クマに襲われケガをした男性:
でも一瞬だから、ほんのほんの何秒(の出来事)。
カメラが捉えたのは、険しい斜面を難なく登る2頭のクマ。
5日、富山・黒部市で撮影されました。
さらに5日夜、同じ富山県の砺波市でも、山あいに設置されたAIカメラがクマの姿を捉えました。
暗闇の山道を、ゆっくりと移動する姿が確認できます。
各地でクマによる被害が深刻化していることを受けて、警察庁は6日、国家公安委員会規則を改正し、13日から警察官が現場でライフル銃を使用してクマを駆除できるようにしました。
楠芳伸警察庁長官:
警察においても、警察官職務執行法に基づきまして、ライフル銃を使用してクマを駆除することができる体制を確保するため。
2025年度はクマによる被害が全国で相次ぎ、これまでに死亡した人の数は過去最多の13人。
クマの目撃件数も多く、山形県では調査を開始してから一番多かった2020年の795件と比べて、すでに3倍近い2103件に及んでいます。
中でも被害が深刻な秋田県と岩手県に、警察庁は6日から他の都道府県警察の銃器対策部隊を派遣しました。
派遣された警察官は、射撃訓練などを行ったあと現場に配置されるということです。
その秋田県では5日正午ごろ、大館市の住宅の敷地で体長約60cmのクマ1頭が目撃されました。
クマはその場にとどまったため、市は箱わなを設置。
一夜明けた6日午前6時半ごろに捕獲されたということです。
また、宮城・仙台市では6日朝早く、自転車に乗っていた男性が住宅の敷地内から飛び出してきたクマとぶつかりました。
住宅の敷地内から飛び出してきたのは体長1メートルほどのクマとみられ、ぶつかった男性は転倒し、頭や首などを打つ軽いけがをしました。
クマはそのまま近くの山林に立ち去ったということです。
近くに住む人は「(今年初めて)1回目撃しました。10メートルぐらいのところで。茂みから突然飛び出してきたらよけようがない」と話しました。
宮城県では、2025年度のクマの目撃件数は2145件と過去最多となっています。