備えの基本をおさえて防災力アップを目指す「備えのツボ」。11月5日は「津波防災の日」です。津波からの逃げ方を見直します。
多くの命が失われた東日本大震災を受けて法律制定 11月5日は「津波防災の日」
(森下花音アナウンサー)
「津波によって多くの命が失われた2011年の東日本大震災を受けて、同じ年の6月に「津波対策の推進に関する法律」が制定されました。この中で、毎年11月5日は「津波防災の日」と決められています。
11月5日は、江戸時代の1854年、安政南海地震による大津波が紀伊半島を襲った日です。岡山にも5メートルほどの津波が到達したとされています。
最新の南海トラフ巨大地震の被害想定によると、香川県で最大震度7、岡山県で最大震度6強の揺れが発生し、沿岸部で3メートルから4メートルほどの津波が発生する想定となっています。
海に近い場所で大地震が発生したら…津波発生時の「指定緊急避難場所」津波避難ビルまで歩いてみる
(森下花音アナウンサー)
「倉敷市のJR児島駅から約400メートル離れた沿岸部に来ました。すぐそこは海です。もし、今、大地震が発生し、津波注意報や警報が発表された場合、どこに、どうやって避難すればいいでしょうか」
「今から実際に、指定されている避難場所まで歩いてみます。時間も測ります」
この近くで津波避難ビルに指定されているのは3階建てのショッピングセンターです。
(森下花音アナウンサー)
「道は整備されていて歩きやすい。坂道もほとんどありません」
「信号が出てきました。もし地震で停電した場合は、信号機も動いていないと思うので注意が必要ですね」
慣れない場所での「避難」まずは焦らないために避難ルートを歩いて確認
ここまで避難場所に向かって順調に進んでいましたが。
「えっと・・・ここ曲がります?道が分からなくなってしまった。調べます」
「慣れていない場所だと、道も分からなくなりますよね。ここ曲がります」
しかし、再び・・・
「道間違えたか。駅に来てしまった」
(カメラマン)
「あそこを渡らないといけなかった」
「災害時、焦ってしまって、また道を間違えたりもあるのかなと今、感じました」
地震による道路のひずみに障害物…避難ルート上のポイントに「あるかもしれない」状況の想定を
さらに、気が付くことも。
(森下花音アナウンサー)
「地震によって地面のひずみで木などが倒れてしまうことも考えられるなと思いました。道は広いですが、木が倒れていたら簡単には歩けないような状況になっているのではと推測されます」
実際に津波避難ビルまで歩いてみて膨らんだ「避難のイメージ」
「ここですね。ここが指定されている避難場所のショッピングセンターです」
「そして今、避難場所に到着しました。時間は17分ほど。道を間違えてしまったので、ロスタイムがあったかと思います」
「そして、ステッカーも貼ってありますね。津波避難ビルと書いてあります。この時期はとても歩きやすかったのですが、真夏や真冬だったら状況が変わってくると思いましたし、子供やお年寄りと歩いていると、もう少し時間がかかると思います。ただ、実際に歩いてみると、避難のイメージが膨らむと感じました」
津波想定エリア内の避難は「訓練」よりも「ちょっとお散歩してみよう」など日頃の楽しみの中で考えて
どのような状況の時に発生するか分からない地震。日々の備えについて専門家は。
(香川大学地域強靭化研究センター 磯打千雅子特命准教授)
「(避難場所まで行ってみることは)とても大事。避難する先が行ったことのある場所かそうではないかというのは大きな違い。避難訓練ということに限らず、「ちょっとお散歩してみよう」など日頃の楽しみの中で考えてほしい。いろんな所に津波避難ビルのマークやサインは津波が想定されているエリアにはよくあるので、日頃から気にかけてほしい」
瀬戸内海沿岸で避難する時に起こりうる「沿岸部の液状化」 複数の避難経路把握を
避難時に起こりうる問題については。
(香川大学地域強靭化研究センター 磯打千雅子特命准教授)
「瀬戸内海で怖いのは、沿岸部の液状化。液状化が発生すると、普段は平らな道でも地面がぼこぼこになってしまったり道路が通れなくなることもあるので、避難経路も1経路だけでなく複数見つけてほしい」
そこで、おさえてほしい備えのツボはこちら。
「津波から逃げる具体的なイメージを持とう」
「津波防災の日」をきっかけに今一度、命を守る意識を高めましょう。