仙台育英高校のサッカー部で3年生の部員が「うざい」「デブ」などと、複数の部員から暴言を受け、学校が「いじめ重大事態」として調査を進めていることがわかりました。
仙台育英は11月2日、全国高校サッカー選手権の県大会で優勝しましたが、全国大会への出場については調査の結果をふまえて判断するとしています。
仙台育英高校によりますと、いじめを受けたのは、サッカー部に所属する3年生の男子部員です。
高校1年生のおととし春ごろから、複数の部員から「うざい」「デブ」などの暴言を受けていたということです。
男子部員は去年、病院で「抑うつ症状」と診断され、現在も通院を続けています。
退部はしていませんが、部活動には参加できない状態が続いているということです。
学校が問題を把握したのは10月14日。男子部員がサッカー部の指導者に「部活に出られない」と訴えたことで発覚しました。
学校はいじめ防止対策推進法に基づいて調査を開始。暴言をかけたとされるのは主に同じ学年の複数の部員だとしていますが、詳しい状況は「調査中」としています。
仙台育英高校サッカー部は、11月2日、全国高校サッカー選手権宮城県大会で優勝。学校はいじめの問題を把握していましたが、「大会の辞退を判断するには調査の時間が不足していたため、被害生徒と保護者の了承を得て出場した」と説明しています。
12月の全国大会への出場については、「現時点では判断できない。調査結果をふまえて対応する」としています。
また、県高体連には、調査が終わり次第、報告する方針です。
11月1日、加藤雄彦校長は「いじめ重大事態」とする文書を全ての保護者に通知しました。
「『いじり』と呼ばれる不適切な言動が繰り返されていたことが判明しました。被害を受けた部員の方に心より深くおわび申し上げます。加害側とされた生徒の中には、『いじり』と『いじめ』との間に明確な線引きをせず、他者の尊厳を損なう行為の重大さに対する理解が欠如していたことが推察されます。指導にあたる顧問団にも同様の認識の欠如があった結果であり、指導体制そのものに構造的な課題が存在していたと考えます」としています。
仙台放送の取材に対し、教頭は「指導者たちはこの事態を真摯に受け止めている。今後は調査結果をふまえ、サッカー部を含めた全ての部活動で、いじめ防止の体制を見直していく」とコメントしています。