震災と原発事故から14年8ヵ月が経過した被災地で動きがあった。福島県双葉町の立ち入りが制限されている地域で、一部の規制を緩和された。
■立ち入り制限が一部緩和
「ゲート、開放!」開放されたバリケード。そして、巡回へと向かうパトカー。震災と原発事故からの時計の針がまたひとつ動き出した。
双葉町住民生活課の中里俊勝課長は「住民の方にとって大きな一歩となることを町の方としても期待しております」と話す。
■通行証なしで立ち入り可能に
規制が緩和されたのは双葉町の「特定帰還居住区域」。立ち入りが制限される「帰還困難区域」のなかで、住民の帰還に向けて国費で除染などが行われているエリアで、11月4日から一部が通行証なしで入れるようになった。
「特定帰還居住区域」で住宅への自由な立ち入りが可能になったのは初めてだ。
■帰還の準備進める
「生まれた場所です」と話すのは、この日を待ち望んでいた福田猛雄(ふくだたけお)さん。自由な立ち入りができるようになった一方、まだ宿泊はできないが、家を建て直し帰還の準備を進めている。下長塚行政区の区長でもある福田さんは「親から引き継いだ所ですから、親の存在を示せるのはやっぱりここですからね。これは残したいと思った」と話す。
■13年ぶりに自宅へ
そしてこの日、規制の緩和をきっかけに姉・徳子(とくこ)さんも13年ぶりに自宅を訪れた。志賀徳子さんは「(家に)入れるもんだと思って来たんだもん。ここに。こんなになってるのビックリしてて。一応掃除して、住めるようにはしなくちゃなんないべ」と話す。
原発事故から14年あまり。少しずつ、でも着実に復興への歩みを進める町に思いを寄せる。徳子さんは「私が戻れば他の人も、戻る人もいるんじゃないかって。そうするとこの街の人口が増える。良いことだな」と話した。
立ち入りが緩和された区域では、来年度の避難指示解除を目指している。