日本維新の会の藤田文武共同代表が、公設第1秘書が代表を務める会社に「機関紙ビラ印刷費」などの名目で、2017年6月~去年11月までの約7年間、あわせて約2100万円を支払っていたと「しんぶん赤旗日曜版」が先月29日報じました。
記事によると、藤田共同代表の公設第1秘書である代表は会社から年720万円の報酬を受け取っているほか、金額のうち、約1965万円が政党交付金などであるということで、「身内への税金還流」と指摘しています。
関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」に出演した“維新の創設者”橋下徹さんは、「維新の公金の扱いに対してぬるぬるの感覚の象徴」と指摘し、「維新の国会議員が『やっても大丈夫だ』っていう雰囲気だったんでしょ」と厳しく批判しました。
■藤田共同代表は、業務委託の事実関係を認めた上で「適法」だと主張
藤田共同代表は、この記事を受けて業務委託の事実関係を認めた上で、「適法」だと主張しました。
【藤田共同代表のXより】「すべて実体のある正当な取引であり、専門家にも相談の上で適法に行っているものです」
また2100万円という金額については、大部分が機関誌のデザイン費、印刷実費などの仕入原価が当然に発生するものだと説明しています。
藤田共同代表はあす=4日、記者会見を開いて説明する予定です。
■「今の維新の公金の扱いに対してのぬるぬるの感覚の象徴」
この問題について聞かれた“維新の創設者”である橋下さんは、まず、「日本維新の会とは今はまったく関係がないですし、維新の国会議員は僕のことが一番嫌いでしょうから」と前置きして、次のように話しました。
【橋下徹さん】「藤田さんもね、この騒ぎになる前は何も問題ないって思っていたわけ。言い切っていたの。『何にも問題ない正当な取引だ』と。
これが今の日本維新の会の国会議員団の公金の扱いに対しての『ぬるぬるの感覚』の象徴。これをおかしいと思わない感覚。
維新の国会議員の馬場さん(伸幸前代表)とかの体制が“飲み食い”も激しかった。今は、ルールができましたけど。
そういう“ぬるい”感覚だから、この問題のどこがおかしいのか、藤田さんはつい数日前まで気づいていなかった」
■「身内の会社に少ない利益でも仕事を発注するってどうなの?」と橋下氏
【橋下徹さん】「選挙のビラや政治活動のビラにはお金かかります。藤田さんは、印刷業者に直接お金払えばいいんです。
藤田さんは『この公設第1秘書が代表を務める企業は、“正当な利益”しか取ってない』っていうんだけど、自分の身内の会社に“正当な利益”を出す必要ないわけ。
直接、印刷業者に全部利益を取ってもらったらいいじゃないですか」
橋下さんはビラや機関誌のデザインも含めて「印刷業者がやってくれる」と説明した上で、さらに指摘します。
【橋下徹さん】「藤田さんは、『公設第1秘書が代表を務める会社が“デザインや公職選挙法などの専門家”だから』と言っているが、秘書はそもそもビラのデザインとかそういうことに携わるし、デザインが必要だったら自分(秘書)の会社でやらずに、デザイン会社に頼めばいいわけです」
■「業者に直接発注すればいい」
そして藤田共同代表が2017年6月~2024年11月までの取引を1年あたりに割って「1年で200万円ぐらいの取引だ」と説明していることについても、批判します。
【橋下徹さん】「世の中、中小零細企業、フリーランスの人が、200万円の仕事を得るって無茶苦茶大変です。
今、維新の会はこれから政権与党に入って社会保障改革とかやるときに国民全体に負担を伴うような、そういう改革を断行しようとするわけですよ。
その時に自分たちが身内の会社に、少ない利益であったとしても仕事を発注するってどうなの?と(思う)。
僕が(政治家を)やっていたときは、印刷業者とかデザイン会社の方に直接発注してました。“正当な利益”なのか“原価”なのかといったことは関係なく、業者に直接発注すればいい」
■「もしこれが認められるなら、僕、億万長者になってますよ」
【橋下徹さん】「これは違法かどうかと言われれば確かに違法ではないです。なぜ違法ではないかって言ったら、こんなことをやることは想定してないから。もしこういうことを認められるんだったら僕、億万長者になってますよ。
だって維新の年間40億円のお金を、何かやるたびに橋下の事務所通せばいいじゃないですか。全部そこから利益を取っていったらいいじゃないですか。
こういうことを認めてしまったら、350億円政党交付金を政党が使うんだけど(※)、全部、政治家の身内のファミリー企業を間に入れて手数料を取ることができてしまうでしょう。
専門家に聞いて、適法だと藤田さんは言っています。多分弁護士に尋ねれば、『ルール違反じゃない』って言いますよ。でも政治家としてどうなのかと言えば、まずいよ、と。
これから身を切る改革やった国民の負担を求めるような改革をやるんだったら、『こういうことはできる限りやめなきゃいけないよ』っていうのが(政治家としては)普通だし」
(※2024年の政党交付金の各党の支出総額は、約369億円)
■ルール上は違法じゃないけれど…
ここで番組の青木源太キャスターが「橋下さんが維新の国会議員団に厳しいのでは?」と聞くと、「全ての政党でやめるべきと思っている」と述べた上で、「野党の批判が“ぬるい”のは自党の国会議員がやっている可能性があるからではないか」と持論を述べました。
【橋下徹さん】「僕はこういうやり方、維新だけじゃなくて、自民党から全政党、全部こんなことやめろと(思っている)。
そしたら野党が今、(批判が)“ぬるい”んですよ。なぜかと言うと、自分のところの国会議員でやっている可能性もあるということで、今みんな“モゴモゴ”言ってる。
ルール上は違法じゃないかも分からないけど、『こんなことはやらないことは当然だから、ルールになっていないだけ』とみんなが言わなきゃいけないが、国会議員はみんな言わないね」
■「維新の国会議員が『やっても大丈夫だ』っていう雰囲気だったんでしょ」
最後に橋下さんは、改めて“維新の国会議員”を厳しく批判しました。
【橋下徹さん】「政党交付金という公金を直接業者に払えばいいのに、正当な支出だって言うんだけど、間に入れたらそれはおかしくなっちゃう。
『そんなことやったら大変なことになるよ』って思わせる雰囲気があるかどうか。維新の国会議員が『やっても大丈夫だ』っていう雰囲気だったんでしょ」
(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2025年11月3日放送)