2025年8月31日(日)、北海道マラソン2025が札幌市・大通公園発着で開催されます。今大会は2028年ロサンゼルス五輪の予選にあたる、2027年秋開催MGCに繋がるMGCシリーズです。有力選手を紹介する企画の第1弾は、東京五輪男子マラソン代表の服部勇馬選手(トヨタ自動車・31歳)です。
本格的なレースは1年半前に走った東京マラソンが最後という服部選手。なぜ北海道マラソンを選んだのでしょうかー
「夏場の北海道マラソンで1度レースを経験するのは、今の力を確かめるためにも大切な舞台だなと思いました。佐藤敏信総監督と色々話をして、もう1度五輪の舞台を目指すのであれば、夏場のマラソンを経験しなくてはいけないと言われました。それで北海道マラソンを選びました」
Q.復活レースが近づいてきている。現在の調子はー
「本格的に走り始めたのが4月。かなり順調にケガなくトレーニングができるようになってきた。佐藤敏信総監督とは北海道マラソンで100%までいかなくても、80%ぐらいまで戻せることができれば戦えるんじゃないかと話をしました。2時間13分から12分ぐらいで走るようなレースができれば、次にも繋がります。そこが目標になってくる」
2021年札幌で開催された東京五輪は73位。悔しい思いをした札幌であえて再チャレンジしますー
「辛い、苦い経験をした舞台で嫌な思いは正直あります。でもその場所で、自ら払拭し変えることができると思っています。ようやくこの北海道で自信を持ってスタートラインに立って走ることができる。嬉しさもあり、ようやく払拭できると思っています。僕にとっては辛いことだったのでフラッシュバックすることはあるとは思う。良い方向に捉えて良い形でゴールできたらとても嬉しい」
走れない日々が続き“このまま終わってしまうのかな”という風にネガティブに考えてしまうこともあったという服部選手。その時、支えてくれたのは家族でした。
「娘がちょうど1年半ぐらいに生まれて新しく家族も増えた。子どもに走る姿を見せたい。妻にはなかなか良い走りを見せられていないので…。陸上話はほとんどすることはないが妻も頑張って欲しいと思ってくれている。当日応援に来てくれると思うので良い走りを見せたい」
服部勇馬選手にとって“五輪”とはどんな舞台だったのかー
「東京五輪はどんな状態になってもたどり着きたい舞台でした。選手生命をかけて挑めたことは自分にとっては誇れること。結果が出なかったことは不甲斐なさもありますし、あの場所、経験はもう戻って来ないので、悔しさは一生拭えないかもしれない。ただ経験を活かしてこの北海道で喜びに変えられたらと思う。キャリアにとっても非常に意味のあるレースになるのではと思っています」
東京五輪ではレース後熱中症で車椅子で運ばれるシーンもありましたー
「熱中症もありますけどケガでしっかり準備をしてスタートラインに立てなかったった悔しさが強い。そこまでの過程に対して悔いが残るところもある。今回は自信を持ってやれるのでないか」
1年半ぶりのマラソンで見て欲しい姿はー
「MGCの選考レースなので、ここからもうロスに向けての戦いが始まっていく。終盤までは先頭集団についていきたい。できればその中でも余裕を持って、自分自身が“ココだ”って思えるところで、レースを動かすことができれば思い描いているプラン。そういうレースをしていきたい」
北海道マラソンの目標順位、タイムはー
「日本人3位以内はしっかり確保したい。タイムは2時間12分が切れれば100点だとは思います。当日のコンディション、気象状況による。現状の段階で100%の力をしっかり発揮することが、次にも繋がっていくと思う」
Q.夏マラソンは得意ですかー
「夏マラソンは五輪以来走っていない。不安はつきまとう。それを克服するのもこの機会が絶好の機会だと思っている。良い意味で暑さに強いのを確認できる機会にしたい」
ロンドン五輪10000mケニア代表でチームメートのビダン・カロキ選手とケニア合宿を行ったとお聞きしましたがー
「ケニアの標高が高いところで追い込んで、レベルの高い選手たちとトレーニングできた。よりレベルアップして帰って来られたなという実感がある。早くレースがしたい。(ケニアに行ったのは)世界トップクラスの選手がどういう生活をしてるのかを知りたくて、実際に現地で肌で感じてみたい思いがあって行きました。生きていくこともままならない中で走っている。日本人の実業団選手たちは特に恵まれた環境の中で練習させてもらっている。ケニアの選手たちは、お茶だけ、パン1個とか、そういう中でトレーニングしていて、五輪、世界で戦いたいと野心を抱いて走ってる。そういう姿を見て、自分は詰め切ってトレーニングできてきたのかなと、そういう思いにもさせられました」
今年の北海道マラソンは東洋大学の先輩、高久龍選手(ヤクルト)、後輩の柏優吾選手(コニカミノルタ)が共に出場予定ですがー
「高久さんは私の1つ上の先輩ですし私を教育をしてくれた直属の先輩。また一緒に走れることは嬉しいです。柏君は合宿先が一緒になることもあり、食事に一緒に行ったりします。ただ後輩なので負けたくはない。柏君はマラソンで実績がありますので注意深く見ながらレースを進めていきたい」
去年の北海道マラソンでは奇しくも同じ東京五輪マラソン代表の中村匠吾選手(富士通)が復活優勝を飾りましたー
「去年、自分も北海道でテレビで見ていてすごく勇気をもらいました。(中村)匠吾さんの走りが無ければ、今年、北海道マラソンにエントリーすることは無かったかもしれない。匠吾さんの走りが僕自身を動かしてくれました。彼の走りが色々な人に影響を与えてくれた。僕もまたそういう走りをお見せできたら良いなと思っています。今回、挑戦しようと思ったきっかけをくれたのは、匠吾さんです」
◆北海道マラソン2025 生中継
番組名:カネカスポーツスペシャル北海道マラソン2025
放送局:北海道文化放送(UHB)
放送予定:2025年8月31日(日)朝8時25分~
ゲスト:ハリー杉山
解説:増田明美(スポーツジャーナリスト)渡辺康幸(住友電工陸上競技部監督)
※BSフジでも朝8時28分から生放送