8月末としていた備蓄米の販売期限が延長されることになりましたが、気になる新米の価格はどうなっていくのでしょうか。
米の流通に詳しい流通経済研究所の主席研究員・折笠俊輔さんと見ていきます。

新米の価格はいくらになるのか、最新の見通しが明らかになってきました。

折笠さんは6月の時点で4000円前後になるのではと予想していましたが、最新の状況を踏まえると、さらに高騰するかもしれないということです。

では、いくらになのか見ていきます。

「つや姫」は約4650円、「コシヒカリ」は約4500円という結果です。

宮司愛海キャスター:
折笠さん、ここまで高騰することになったのは、やはり背景には、前払い金である概算金が関係しているのでしょうか。

流通経済研究所・折笠俊輔さん:
そうですね。米農家さんにJAがいったん支払う「概算金」と呼ばれる前払い金が7月時点の見込みに比べて大きく上昇しております。山形県の「つや姫」だと、全農さんで1俵あたり3万1000円ですし、「全農にいがた」の一般コシヒカリが2024年は1万7000円ぐらいだったのが1俵3万円ということで、76%ぐらい増えていますので、そういったところからすると店頭価格も同様に大きく伸びてしまうのかなというところです。

宮司愛海キャスター:
これ以外にも猛暑や水不足などの理由で新米が高くなるともいわれていますが、他に価格が上がっている理由はどうご覧になりますか?

流通経済研究所・折笠俊輔さん:
「高温障害」、あとは8月の頭に大変話題になっていましたが渇水ということで「水不足」、あとは2025年はカメムシが大量発生していて「害虫」。業界全体として2025年は不作になるのではという不安感が出てくる中で集荷競争が激化していて、自分たちが必要な分をみんな確保しようということで、取り合いになっている結果、JAも集荷競争に参加しているので、高く設定しないと集まらないため同じように値段が上がっていると。

2024年と比べて見ても、2024年に3000円前後だったのが2025年は4000円を超えて4500円前後ということになりました。

青井実キャスター:
1000円以上高騰していますが、折笠さん、これからもっと高くなることはあり得ますか?

流通経済研究所・折笠俊輔さん:
これから先、9月、10月ぐらいに東北、北海道の大産地の稲刈りが終わって全体が見えてきたタイミングで、これが大不作となると、当然、需要と供給のバランスで価格はもっと高くなる可能性があります。逆にふたを開けて大豊作となると、落ち着く可能性も当然あるのかなというところです。

青井実キャスター:
パックン、新米高値となりそうですけど。

SPキャスター パトリック・ハーラン氏(パックン):
この1年間で国民の皆さんは高いお米に慣れてきていると思うんですよ。ガソリンが高くても車に乗り続けるのと同じように、多分新米も普通に売れると思います。そうすると供給過多、つまり余る状態にならない限りは、作る側も売る側も価格を下げるモチベーションにはならないと思うんですよ。ですから、改革は必要だと思いますが、しばらくこの値段は続くでしょう。

そんな中、小泉農水相は、備蓄米に関しては「引き渡し後、1カ月以内に売り切る努力をしてほしい」と要請しています。

宮司愛海キャスター:
折笠さん、今後、備蓄米もいつまで出回るか分かりませんし、安い米を買うという選択肢が減っていくことも懸念されますが、その辺りいかがでしょうか。

流通経済研究所・折笠俊輔さん:
販売期間が延長されても、残っているのが農水省の発表で10万トンとの話もありますので、多分、遅くても年内には備蓄米が継続販売されることはなくなってしまうのかなと思います。備蓄米もすでに使い果たしていますので、農水省が打てる手は非常に少ないので、今後あるとすると、量がどこまで出てくるか分かりませんが、令和6年産の銘柄米が余ってくると、令和7年産よりは安くはなるはずなので、多分3000円台で買えるかなという感じもしますね。

宮司愛海キャスター:
そんな中で政府が米増産に方針を切り替えたわけですが、長期スパンになると思います。何かすぐできる手立てはあるんでしょうか?

流通経済研究所・折笠俊輔さん:
今後、増産がうまくいき、供給が増えてきて余るようになれば、安くなったり安定してきますが、今年すぐというのは厳しいと思います。安定すると5kg3500円くらいで買える時が来ると思うんですけど。消費者としての手立ては結構難しいのですが、ふるさと納税を活用していただいたり、生産者から直接買うとか、高値を乗り切っていくような工夫、買い方とか買う場所を工夫する必要かもしれないですね。