8月1日、長野県内の山岳で遭難が相次ぎました。北アルプスなどで6件が発生し、滑落や転倒で3人が重軽傷を負いました。疲労や体調不良、技量不足により行動不能になり救助された遭難者もいました。長野県警は「自分の技量に見合ったルート選びをする」「余裕ある登山計画を立てる」など注意を呼びかけています。

■槍ヶ岳 疲労のため行動不能

北アルプス槍ヶ岳では岡山県の男性(68)が疲労のため行動不能となり、長野県消防防災ヘリで救助されました。疲労しているものの、けがはないということです。

救助されたのは、岡山県瀬戸内市のアルバイト従業員の男性(68)です。

警察によりますと、8月1日午前9時過ぎ、北アルプス槍ヶ岳北鎌尾根(標高約2800メートル)にいた男性から「疲労のため動けなくなった」と警察に救助要請があり、午前11時過ぎ、長野県消防防災ヘリで救助されました。男性は、疲労しているものの、けがはないということです。

男性は、4人パーティで、7月30日に上高地から入山し、3泊4日の計画で登山をしていました。


■北穂高岳 技量不足のため行動不能

北アルプス北穂高岳ではドイツ国籍の24歳女性と25歳男性の大学生が技量不足のため行動不能になり、救助されました。

警察によりますと、女性から午後2時半頃、「大キレット付近で動けなくなった」と山小屋に連絡があり、スタッフから警察に救助要請がありました。

2人は8月1日、槍ヶ岳を経由して北穂高岳に向かっていたところ、大キレット「飛騨泣き」付近(標高約2900メートル)で技量不足のため行動不能になりました。

長野県山岳遭難防止常駐隊員が出動し、午後5時頃、2人を救助し、付近の山小屋に収容しました。2人ともけがはない模様です。

2人は7月31日、上高地から入山していました。


■針ノ木岳 転倒して重傷

北アルプス針ノ木岳では長野県松本市の63歳女性が転倒して大けがをして、ヘリコプターで救助されました。

女性は8月1日、北アルプス針ノ木岳を下山中、標高約2400メートル地点で転倒して、けがをしました。

同行者から付近の山小屋に「女性が転倒して負傷した模様だ」と連絡があり、午前11時頃、支配人から警察に救助要請がありました。

長野県警ヘリが出動して、午後3時半頃、女性を救助し、松本市内の病院に搬送しました。左足首の骨折で重傷です。

女性は7月31日、2人パーティで扇沢から入山していました。

■爺ヶ岳 滑落してけが

北アルプス爺ヶ岳の柏原新道(標高約2300メートル)では東京都東大和市の会社員の51歳女性が滑落し、けがをして救助されました。

女性は8月1日、爺ヶ岳を下山中に雪渓上でバランスを崩して滑落し行動不能になりました。

同行者が付近の山小屋に通報し、付近をパトロールしていた長野県遭難防止常駐隊員が出動し、午後1時前、警察に「女性は登山道から落ち、自力で戻れない」と伝え、午後1時40分頃、女性を登山道に引き上げ救助しました。

女性は数十メートル滑落したとみられますが、左ひじ擦過傷で軽傷の模様です。

女性は7月31日、2人パーティで入山していました。


■水晶岳 体調不良のため行動不能

北アルプス水晶岳では福島県西白河郡の団体職員の31歳男性が体調不良のため行動不能になり、救助されました。

男性は8月1日、水晶岳の東沢乗越付近(標高約2800メートル)で体調不良により動けなくなりました。

同行者が付近の山小屋に「男性が頭痛や吐き気の症状を訴え、動けない」と通報し、スタッフから警察に午後4時過ぎに救助要請がありました。

付近をパトロールしていた長野県山岳遭難防止常駐隊員が出動して、午後6時半頃、男性を救助して、付近の山小屋に収容しました。

男性は7月31日、4人パーティで七倉登山口から入山していました。

■八ヶ岳連峰 転倒して重傷

八ヶ岳連峰縞枯山付近(標高約2200メートル)では東京都杉並区の会社役員の80歳男性が転倒し、けがをして救助されました。

男性は8月1日、八ヶ岳連峰縞枯山の山頂から北八ヶ岳ロープウェイ山頂駅に向けて下山中、木道で足を滑らせて転倒し、けがをしました。

午後1時半頃、同行者から救助要請があり、諏訪広域消防本部特別救助隊が出動して、男性を救助し、午後3時30分、救急隊に引き継ぎ、茅野市内の病院に搬送しました。左大腿骨骨折で重傷の模様です。

男性は1日、24人パーティで入山していました。

■「自分の技量に見合ったルート選びを」

長野県内の山岳では遭難が相次いでいます。長野県警によりますと、遭難の多くは、下山時に集中しています。

特に今の時期は、気温や高度差で体力を消耗し、疲労とともに注意力も散漫となって、整備された登山道でも浮石やガレ場などでちょっとした不注意でバランスを崩して転倒することがあります。

もうすぐゴールと油断しがちなタイミングこそ、最大のリスクが潜んでいると考え、最後まで気を抜かずに登山をするよう呼びかけています。

長野県内は夏本番の厳しい暑さとなっていて、標高の高い山でも疲労や熱中症などで動けなくなることがあります。

県警は「自分の技量に見合ったルート選びをする」「余裕ある登山計画を立てる」「こまめに休憩を取り、意識して水分・エネルギーを補給する」「下山するまで体力や集中力を切らさない」ことなどを呼びかけています。

長野放送
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