カムチャツカ半島沖の地震により発生した津波について、宮城県内では津波注意報の発表から解除まで、約32時間かかりました。専門家は「遠地津波」が3つの経路で、繰り返し押し寄せたことが長期化につながったと分析しています。
東北大学災害科学国際研究所 越村俊一教授
「様々な経路からやってくる津波を警戒する必要があった。そのために、今回の津波の警報・注意報の時間は非常に長くなった」
東北大学災害科学国際研究所の越村俊一教授です。越村教授は、今回、注意報が長期化した理由について、震源が遠くにある「遠地地震」により発生する津波、「遠地津波」が3つの経路をたどって、繰り返し押し寄せたことと分析します。
東北大学災害科学国際研究所 越村俊一教授
「1つ目は、カムチャツカ半島で地震・津波が発生した場所から、我が国に直接到達する直接波。2番目は、カムチャツカ半島から、千島列島・本州にかけて大陸棚が発達。その大陸棚という斜面に入射した津波が、屈折・反射を繰り返してやってくる」
さらに津波は、北太平洋西側に約2000キロにわたって発達している「天皇海山列」にも到達し反射したといいます。
東北大学災害科学国際研究所 越村俊一教授
「海山に津波が到達したときに起きる反射を『散乱波』と呼ぶが、散乱波が日本にUターンしてくる形で到達する」
仙台港で、津波警報が津波注意報に切り替わった後、7月30日午後11時20分に記録した90センチという津波は、この散乱波などが影響した可能性が高いということです。
越村教授は、今後も余震により「遠地津波」が起こる可能性があり、警戒が必要だと話します。
東北大学災害科学国際研究所 越村俊一教授
「遠地津波は波の周期が長い。周期が長いと津波の高さが低くても、海の流れってきつくなる。津波が小さいから大丈夫だと思って、海で仕事をしたり、海水浴をしたりするのは絶対やめていただきたい」