学歴詐称問題の渦中にいる伊東市の田久保眞紀 市長。市議会の百条委員会から“卒業証書”の提出や委員会への出席を求められたが、いずれも拒絶した。ただ、田久保市長は当選直後、「一度約束したことは必ず果たす。これが私の利点」と口にし、6月には会見の場に卒業証書を持参すると明言していた。
伊東市の田久保眞紀 市長をめぐっては市の広報誌などに「東洋大学法学部卒業」と記す一方、実際には除籍されていたことがわかっていて、市議会から辞職を勧告されているほか、百条委員会による調査が続いている。
百条委員会では、田久保市長に対し“卒業証書”とされる資料を提出するよう請求したが田久保氏側がこれを拒否。
このため、7月25日に開かれる百条委員会に出頭した上で、証言するよう求めたが、田久保市長は24日に「求められている事項は、いずれも回答が事実上不可能な内容を含むものであり、不適切な請求であると考えます。出頭日時は、唐突かつ一方的な指定であり、代理人弁護士のスケジュール調整が困難な状況です。私には代理人弁護士を依頼する権利があり、その権利は尊重されるべきであると考えます」などと出頭も証言も拒否する旨を記した回答書を提出し、実際に25日の百条委員会に姿を見せなかった。
ただ、田久保市長は以前、自身について「一度約束したことは必ず果たす。これが私の利点」と評し、会見に“卒業証書”を持参する意思を示していた。
これまでの発言や出来事を時系列で振り返る。
5月25日:
現職との一騎打ちを制し初当選
5月26日:
当選証書付与式のあとの囲み取材で、自身について「一度約束したことは必ず果たす。これが私の利点」と評し、「約束したことはきっちりと果たしていく。これが基本」とした上で「一度約束したことに関して、大きなものはしっかり貫いていく姿勢を通したい」と意気込む
6月初旬:
「東洋大学卒ってなんだ!彼女は中退どころか、私は除籍であったと記憶している」などと記された告発文が市議会議員全員に届く
6月4日:
市議会の中島弘道 議長と青木敬博 副議長に“卒業証書”を“チラ見せ”する
6月25日:
市議会本会議で学歴詐称問題について追及を受けたものの「この件に関しましてはすべて代理人弁護士に任せているので、あとのことは弁護人の方から公式に発言のない限りは私からの個人的な発言は控えさせていただきます」と発言
6月26日:
市議会が地方自治法に基づく百条委員会を設置する方針を固める。田久保市長は同日夜に行われたタウンミーティングのあと、7月2日に会見を開く考えを明らかにした上で、どのような資料を用意するのか問われると「前に(関係者に)見せているような卒業アルバムとか証書とか、そういった形になる。とりあえず手元にあるものは、そういう風にしていこうかなと思う」と述べる
7月2日:
1回目の会見で東洋大学を除籍されていたことを明かした上で、疑惑の“卒業証書”についてはあくまでも「本物」という認識を示し、同席した福島正洋 弁護士も「あれが普通に考えてニセモノとは思わない」と断言
7月7日:
市議会が田久保市長に対する辞職勧告決議案を可決。同時に百条委員会の設置議案も可決。同日夜、田久保市長が2回目の会見を開き、“卒業証書”を在籍期間証明書や卒業アルバム、上申書と共に検察へ提出した上で辞職し、出直し選挙に立候補する考えを表明する。なお、福島弁護士が検察への提出に関し「10日から2週間以内には行いたい」と発言
7月11日:
1回目の百条委員会で田久保市長に対して同月18日午後4時までに“卒業証書”とされる資料を提出するよう請求
7月18日:
田久保市長が中島議長に「私は現在、公職選挙法違反で刑事告発をされていることから、本件記録の提出請求は、私自身の刑事訴追につながる可能性のある事項に関するものと言えます。よって、提出の拒否は、日本国憲法第38条第1項に保障された、自己に不利益な供述を強要されない権利に基づくものであり、地方自治法第100条第3項にいう正当な理由に該当いたします」などと記した“回答書”を手渡し、資料の提出を拒否。これを受け、2回目の百条委員会が開かれ、田久保市長に出頭を求めることを決める
7月22日:
中島議長が田久保市長に対し百条委員会への出頭ならびに証言を求める請求書を手渡す
7月24日:
田久保市長が中島議長に「求められている事項は、いずれも回答が事実上不可能な内容を含むものであり、不適切な請求である」などと記した“回答書”を手渡し、百条委員会への出頭ならびに証言を拒否
7月25日:
3回目の百条委員会で、市の顧問弁護士による見解が委員長から説明され、これを基に百条委側も「直接的な理由が十分説明されておらず、直ちに正当な理由とはならない」と判断。田久保市長から直接「大学を卒業していない」と聞いたと話す知人を来週中に証人尋問することを決め、尋問で得られた証言や東洋大学側への照会結果が出た後に田久保市長に対して再度出頭を求めるかや刑事告発するのかなどの方針を協議する考えを固める