2年前、大阪府警に誤って逮捕された男性が、「虚偽の自白を強要するなど違法な取り調べが行われた」などとして大阪府や国などを相手にあわせておよそ1900万円の損害賠償を求め大阪地裁に提訴しました。
男性は関西テレビの取材に対し、「証拠もないのに決めつける捜査をやめてほしい」と話していました。
そして今回の提訴に当たって、次のようなコメントを寄せました。
(全文をそのまま引用)
【提訴に当たっての男性のコメント】
今回の裁判で誤認逮捕に至った経緯を明らかにし、自分のようなずさんな捜査による誤認逮捕が二度と起きないようにしてほしい。
私は被害者に対して恐喝はもちろんのほか、リベンジポルノを疑われるような写真撮影も一切していません。
今回の逮捕の原因となった写真も合成写真か真犯人が撮影したものかの説明も今も受けていません。
にもかかわらず、警察や検察、裁判官はもちろん、逮捕されたことを知った自分の周りの人、報道を見た一部の人からも疑われました。
新たな犯行や証拠隠ぺいを疑われ、勾留された期間だけでなく処分保留で釈放後も通信機器は返してもらえず、約3か月間にわたり一部の人としか連絡が取れない状況でした。
連絡がとれない理由について周りの人から聞かれても「誤認逮捕」とは説明しづらく、周りへの影響を考え、ごまかすことしかできない状況が続いております。
そのほか報道を見るだけでも当時の状況を思い出し精神的に負担を感じているなか、弁護士費用等自分だけでなく家族にも金銭的負担の被害を受けており、逮捕されることがどれだけ影響があるのか、しっかり理解していただきたい。
今回被害者の申し出を鵜呑みにして逮捕・勾留した点について、警察・検察・裁判官はどのように考えているのか。
本件は被害者が真犯人へ情報を流していたことは判明していますが、このような可能性を取り調べ中に警察に説明していたにもかかわらず、なぜ徹底的に調べなかったのか。
アリバイ等の調べが不十分であり、証拠がないにもかかわらず誤認逮捕した結果、真犯人だけでなく被害者も相手に裁判を起こさなければいけない状況を作ってしまったことが問題だと考えております。
逮捕・勾留されたことで自分だけでなく家族等周りの人にも迷惑がかかっているにもかかわらず、具体的な被害の金額は確認せず刑事補償のみの対応。
弁護士費用やそのほかの金銭的な被害について警察からは「国家賠償で裁判してもらうしかない」「違法な取り調べとわからなければ追加の金銭補償は難しい」と説明を受けました。
なぜ今回の事件に全く関わりのない人が、追加でお金を払って当時の状況を説明し裁判を起こさないといけないのか。
取り調べについても録音録画がされているわけではなく、当時勾留中に記載したメモしか頼りにできない状況でどのように違法か証明すればいいのか。
メモについても警察はほとんど否定したうえで、「私の記憶が変わっているのではないか」と説明を受けました。
真犯人の裁判資料※にはほとんどマスキングされており、今回の事件で被害を受けたにもかかわらず事件と関わりないからと詳細を説明してもらえない状況です。
今回の裁判を通じて金銭的な補償はもちろんですが、誤認逮捕に至った警察の取り調べ等の問題点を明らかにしてほしい。
取り調べ中の私が指摘した問題だと思う行為について、該当の警察官・検察官に認めていただき、二度と同様の事件が起きないように取り調べの可視化等を進めていただきたい。
※刑事確定訴訟記録法に基づき、検察官が謄写を認めた被告Yの刑事裁判の確定訴訟記録を指しています。
訴えを起こしたのは大阪府内の20代の男性で、2年前、大阪府内の20代の女性にSNSの「インスタグラム」を通じ、性的な写真を送るよう求める脅迫メッセージを送った疑いで逮捕されました。
男性は2回にわたり逮捕され、42日間勾留されましたが、アリバイが判明。
その後、真犯人の男が逮捕され、男は懲役3年、執行猶予4年の有罪判決が確定しています。
この誤認逮捕について検証した大阪府警の内部文書には、「犯人であると決めつける、思い込みによる捜査がなされた」などの検証結果が記されています。