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プレスリリース配信元:株式会社帝国データバンク

TDB景気動向調査(全国)― 2025年6月調査 ―




株式会社帝国データバンクは、2万6,237社を対象とした2025年6月の国内景気動向を調査・集計し、景気DIとして発表いたしました。

■調査結果のポイント

- 2025年6月の景気DIは前月比0.1ポイント増の42.7となり、小幅ながら6カ月ぶりに改善した。国内景気は、物価上昇により個人消費が低迷したものの、エアコンや医薬品、化粧品など季節需要の先取りがみられ、わずかながらも今年に入って初めて上向いた。今後の国内景気は、不確実性の高まりのなかで、当面弱含みで推移するとみられる。
- 『製造』など5業界で改善、4業界で悪化、横ばいは1業界となった。地域別では4地域が改善、6地域が悪化した。設備稼働率の上昇や物流関連などはプラス材料だったが、天候要因が下押しした。規模別では、「大企業」と「小規模企業」が改善した一方で、「中小企業」は横ばいだった。
- [今月のトピックス]イスラエルとイランの紛争に対して、企業からは原油価格の動向や、影響の不透明さを訴える声が多数寄せられた。

【調査先企業の属性】
1.調査対象(2万6,237社、有効回答企業1万435社、回答率39.8
2.調査事項
景況感(現在)および先行きに対する見通し
経営状況(売り上げ、生産・出荷量、仕入れ単価・販売単価、在庫、設備稼働率、従業員数、時間外労働時間、雇用過不足、設備投資意欲)および金融機関の融資姿勢について
3.調査時期・方法
2025年5月19日~5月31日(インターネット調査)
【景気動向指数(景気DI)について】
■TDB景気動向調査の目的および調査項目
全国企業の景気判断を総合した指標。国内景気の実態把握を目的として、2002年5月から調査を開始。景気判断や企業収益、設備投資意欲、雇用環境など企業活動全般に関する項目について全国2万7千社以上を対象に実施している月次統計調査(ビジネス・サーベイ)である。
■調査先企業の選定
全国全業種、全規模を対象とし、調査協力の承諾が得られた企業を調査先としている。
■DI算出方法
DI(ディフュージョン・インデックス〈Diffusion Index〉)は、企業による7段階の判断に、それぞれ以下の点数を与え、これらを各選択区分の回答数に乗じて算出している。
景気DIは、50を境にそれより上であれば「良い」、下であれば「悪い」を意味し、50が判断の分かれ目となる(小数点第2位を四捨五入)。また、企業規模の大小に基づくウェイト付けは行っておらず、「1社1票」で算出している。
■企業規模区分
企業の多様性が増すなか、資本金や従業員数だけでは計りきれない実態の把握を目的に中小企業基本法に準拠し、全国売上高ランキングデータを加え下記の通り区分している。
■景気予測DI
景気予測DIは、ARIMAモデルと構造方程式モデルの結果をForecast Combinationの手法で算出。破線は予測値の幅(予測区間)を示している
< 2025年6月の動向 : 小幅な改善>



2025年6月の景気DIは前月比0.1ポイント増の42.7となり、小幅ながら6カ月ぶりに改善した。
国内景気は、物価上昇により個人消費が低迷したものの、季節需要の先取りがみられ、わずかながらも今年に入って初めて上向いた。

6月は、気温の上昇によりエアコンや医薬品、化粧品などの季節需要がプラス要因となったほか、半導体関連も引き続き堅調だった。一方で、コメ価格の高止まりや物価上昇が個人向けサービスを抑制する要因となり、中東問題による原油価格の動向やトランプ関税の不透明感も重荷となった。また、訪日客数は好調であったが、円高などの影響で消費額に頭打ちがみられた。
< 今後の見通し : 弱含みで推移>



今後の国内景気は、トランプ関税に関する日米交渉の行方が景況感を左右するほか、中東問題の緊迫化など海外情勢が注目される。また、賃上げやボーナス支給にともなう実質賃金のプラス転換のタイミングも重要である。プラス材料では、インバウンド需要の継続や物価高対策、設備投資は景気を下支えする要因となる。一方で、為替動向や家計の節約志向が懸念材料となる。

国内景気は、不確実性が高まるなかで、当面は弱含みで推移するとみられる。

業界別:10業界中5業界で改善、季節需要の先取りはプラスに作用

『製造』など5業界で改善、『運輸・倉庫』など4業界で悪化、『建設』は横ばいとなった。急激な気温上昇のなか、エアコン需要や飲酒機会増加など季節需要の先取りはプラスに作用した。また『農・林・水産』は好調を維持し景況感を押し上げた。他方、仕入価格の高止まりや物価上昇は企業収益に悪材料だったほか、トランプ関税や中東情勢に対する不透明感も重荷となった。



『製造』(38.4)…前月比0.3ポイント増。9カ月ぶりに改善。「電気機械製造」(同1.7ポイント増)は半導体関連が堅調といった声も聞かれ40台に回復した。「輸送用機械・器具製造」(同3.4ポイント増)は、一部メーカーを除き販売台数の復調が景気を押し上げた。光学機械レンズ製造などを含む「精密機械、医療機械・器具製造」(同0.2ポイント増)は3カ月ぶりに改善した。
他方、「繊維・繊維製品・服飾品製造」(同1.2ポイント減)は輸出向けの受注が減少といった声もあり4カ月連続で下落した。

『小売』(38.6)…同0.3ポイント増。3カ月ぶりに改善。エアコンをはじめ季節需要が上向いた「家電・情報機器小売」(同3.4ポイント増)は5カ月ぶりに改善した。食品や日用品などの値上げにより売上高が伸びた「各種商品小売」(同0.5ポイント増)は4カ月ぶりに回復した。
他方、「繊維・繊維製品・服飾品小売」(同3.6ポイント減)は購買意欲の低下から3カ月ぶりに悪化。アパレル関係は、川上から川下まで落ち込んだ。

『サービス』(48.3)…同0.1ポイント増。6カ月ぶりに改善。「飲食店」(同1.1ポイント増)は、仕入価格の高止まりが続くも気温上昇にともない飲酒機会の増加から2カ月ぶりに上向いた。中小企業からもIT・DXに関する依頼が多いといった声が寄せられ「情報サービス」(同0.4ポイント増)は5カ月ぶりに改善した。
他方、「前年同期と比較して予約状況が遅い」(旅館)などの声がある「旅館・ホテル」(同0.7ポイント減)は2カ月連続で悪化。大型連休の反動や天候に左右された「娯楽サービス」(同2.4ポイント減)も落ち込んだ。

『運輸・倉庫』(42.3)…同0.5ポイント減。2カ月ぶりに悪化。「人件費や燃料、車両、整備費の上昇分に運賃相場が追いついていない」(一般貨物自動車運送)といった声が聞かれたほか、建設などの低迷は物流の停滞につながった。加えて、中東情勢による原油価格の動向なども下押し要因となった。
他方、急激な気温上昇などの影響でタクシーの景況感は上向いた。

規模別:「大企業」が2カ月連続で改善も、「中小企業」は7カ月間上向かず

「大企業」と「小規模企業」が改善した一方で、「中小企業」は横ばいだった。「中小企業」は農畜産関連が好調だったものの、「大企業」と「中小企業」との規模間格差は5.2と2カ月連続で拡大した。

「大企業」(47.1)…前月比0.3ポイント増。2カ月連続で改善。10業界中6業界で改善した。繊維製品や家電製品、飲食店など個人消費関連が上向いた一方で、建築資材や人件費の上昇で『不動産』が悪化した。

「中小企業」(41.9)…同横ばい。ドライバーの就労時間の短縮や人件費の上昇などを受けて『運輸・倉庫』が低調だった。他方、コメ価格の高止まりや鶏卵相場の上昇などにより『農・林・水産』は過去最高を更新した。

「小規模企業」(41.0)…同0.2ポイント増。4カ月ぶりに改善。保険料の引き上げで損害保険代理が上向いた『金融』が3カ月ぶりに持ち直し、『小売』も堅調だった。他方、10業界中4業界で30台にとどまり厳しい環境が続いた。



地域別:10地域中6地域が悪化も、設備稼働率の上昇はプラス材料に

『東北』『南関東』など4地域が改善、『北陸』など6地域が悪化。都道府県別では23道府県で改善、23都府県で悪化となり、景況感は地域間で二分した。設備稼働率の上昇や物流関連などはプラス材料だったが、天候要因が下押しした。

『東北』(39.1)…前月比0.9ポイント増。2カ月連続で改善。域内6県中、「秋田」を除く5県で改善した。6カ月連続の30台であるものの、設備稼働率の上昇などを受け、「中小企業」「小規模企業」に持ち直しの動きがみられた。

『南関東』(45.5)…同0.2ポイント増。3カ月ぶりに改善。域内1都3県のうち3県が改善した。物流量が好調で「車両の動きが良い」の声もあがる『運輸・倉庫』が上向いた。他方、物価高騰で来店客が減少した『小売』は不調だった。

『北陸』(40.0)…同0.4ポイント減。2カ月ぶりに悪化。域内4県のうち「石川」「福井」が悪化した一方で、「新潟」「富山」は改善した。衣料品や高級品の販売減少による『卸売』が全体を下押しする要因となった。




【今月のトピックス】
中東情勢など国際情勢に対する企業の反応

- イスラエルとイランの紛争に対して、企業からは原油価格の動向や、影響の不透明さを訴える声が多数寄せられた
- 2024年8月時点でのイスラエル進出企業は95社、イラン進出は26社だった
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