東京・豊島区の法律事務所で1日、男が同僚の男性の喉を包丁で刺し死亡させた。男は約450m離れた交番に凶器を持って出頭し、殺人未遂容疑で緊急逮捕された。

男は人間関係のトラブルを示唆する一方、犯行については「刺したことを覚えていない」と供述している。

人間関係が原因か…サインシャイン内で刺殺事件発生

東京・池袋の「サンシャイン60」内の法律事務所で1日、男が刃物を振り回し、30代の男性従業員が亡くなった。被害者の喉を複数回刺した殺人未遂容疑で、東京・新宿区の渡辺玲人容疑者(50)が緊急逮捕された。

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ここからは、埼玉県警捜査一課 元刑事・佐々木成三さんが詳しく解説する。

宮司愛海キャスター:
男は、被害者と人間関係のトラブルがあったという趣旨の供述をしているということです。捜査関係者によると2人は同僚関係にあり、逮捕された男は通常通り出勤した後、犯行に及んだとみられています。

青井実キャスター:
人間関係のトラブルという話がありましたが、動機につながる供述になるのでしょうか?

埼玉県警捜査一課 元刑事・佐々木成三さん:
これは容疑者からの供述なので、重要な証言にはなると思います。ただ、こういった証言は容疑者だけではなく、同僚やこの2人を知る人物からの情報提供も捜査には必要になってくると思います。

男性刺殺後…容疑者は約450m離れた交番に出頭

宮司キャスター:
逮捕直後ですが、「刺したことを覚えていないが気が付いたら刺していた」と話していましたが、この点に関して佐々木さんはどう捉えますか?

埼玉県警捜査一課 元刑事・佐々木成三さん:
事件のポイントは、刃物がどこにあったものなのかということですね。容疑者が用意したものなのか、事務所にあったものなのか、また違う場所から持ってきたものなのか。こういった状況からも、計画的なのか突発的なのかということも明らかにはなると思います。

青井キャスター:
その殺意という面では喉を複数回刺していますが、この辺りはどう見ますか?

埼玉県警捜査一課 元刑事・佐々木成三さん:
現場の状況から、喉という部分と複数回刺している、あとは刃物の刃体の長さ、こういったものから殺意があるかどうか明らかにしなければいけませんが、実際に被害者の方が亡くなっていますので、状況からして殺意は明確にあるとは感じます。

宮司キャスター:
改めて犯行の経緯を振り返っていきます。男は午前11時50分頃、サンシャイン60の31階にあるアディーレ法律事務所で男性を刺した後、正午過ぎに徒歩で約10分の距離、約450mの場所にある池袋東口交番に出頭して、殺人未遂の疑いで緊急逮捕されました。その際、男は犯行に使ったとみられる包丁を所持していたということです。

青井キャスター:
ちょっと分からないのは、約10分歩く場所までわざわざ行って出頭したということですが、これはどう見たらいいでしょうか?

埼玉県警捜査一課 元刑事・佐々木成三さん:
法律事務所で勤務する容疑者ですので、法については熟知していると思います。ましてや、大胆に目撃者もいるかもしれない状況下で犯行を行っていますので、犯行した後は出頭することが本人にとってはメリットがあるのではないかと出頭を選んだと思います。ただ刃物を使って喉を刺していることは、かなり返り血を浴びていると思うんです。今のところ連行されている服装には血痕が付いていないという話がありまして、脱いだ可能性もあるのではないかと感じます。

青井キャスター:
その辺りの捜査が進むわけですが、緊急逮捕というのはどういうことでしょうか?

埼玉県警捜査一課 元刑事・佐々木成三さん:
令状主義の例外ということで、逮捕状を請求するいとまがない時と、犯行を行った十分な証拠があるということです。今回、出頭してる際に刃物を持って交番に出頭していますので、もしかするとその刃物には血痕が付着している、そういった容疑者の供述以外に犯罪の証跡が十分にあったということだと思います。

宮司キャスター:
今回事件があったアディーレ法律事務所ですが、事務所のホームページによると、2004年に創業された法律事務所で、北海道から沖縄まで全国に65以上の拠点があって、230人以上もの弁護士の方々が所属している大規模な事務所なんです。

相談実績としては、債務整理や過払い金の返還請求、アスベストによる健康被害に関する給付金や賠償金の請求、夫婦間の問題や男女トラブル、さらにB型肝炎の給付金請求などがあります。

青井キャスター:
弁護士事務所でこういった事件が起きるのは、なかなか聞かないと思いますが?

埼玉県警捜査一課 元刑事・佐々木成三さん:
ましてや法を知っている方々が多い中で犯罪を選ぶということが、私も殺人事件が法律事務所で起きてるというのは聞いたことはないです。

青井キャスター:
今後の捜査のポイントとしては、どのように進められていくのでしょうか?

埼玉県警捜査一課 元刑事・佐々木成三さん:
2人の関係性だと思います。何が引き金になったのか。喉を刺してるということは殺意が明確になりますので、どのようなトラブルにあったのかを捜査で明らかにしなければいけないと思います。

青井キャスター:
包丁を持っていたのか、殺意があったのか、計画性も含めてということですね。
(「イット!」7月1日放送より)

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