熊本地震で被災し、再建のため約１００年ぶりに建物すべてを解体中の熊本城宇土櫓。その基礎部分が徐々にあらわになってきました。
他の城郭では天守閣に匹敵する五階櫓は、どのような構造の上に建っていたのかを知ることができる貴重な姿です。
こちらは１カ月前の宇土櫓。建物を成していた最後の柱が取り外されましたが、基礎部分は昭和２年の改修工事で入れられたコンクリートに覆われていました。
そして今日。
【郡司 琢哉 キャスター】
「１カ月前の報道公開で覆われていた基礎部分のコンクリートの撤去が進み、下の石垣があらわになってきました。いま文化財修復検討委員会の委員たちが現地を視察しています」
２４日は、土木や建築の専門家で構成する熊本城の復旧を話し合う委員会のメンバーが現地を視察。担当者の説明を受けながらなかなか目にすることができない櫓の基礎部分の構造を食い入るように見ていました。
【関西大学 名誉教授 西形 達明 委員 土木工学（石垣構造）】
「熊本特有の、少し石にすき間があって、間に石を詰めるという本来の形ではなく、修理の過程でそのやり方が多く使われている。それを感じました」
【熊本大学 名誉教授 伊東 龍一 委員 建築史（日本建築史）】
「熊本城の中で櫓で、しっかりした基礎の構造が見える例はほとんどないので、同時代の遺構も少ないですから大変貴重な例ですね」
【熊本城総合事務所 復旧整備課 農蘇 可奈 さん】
「昭和２年に全解体して補修している履歴がありますので、それ以前の江戸の遺構面が発見できればと思っている状況です」
残っている昭和２年の工事で入れられた盛り土やコンクリートの基礎は、あと１カ月ほどで撤去される予定で、撤去後は、江戸時代の基礎部分を見ることができるかもしれません。
