津波の浸水予想を受け、高知県中土佐町の美術館が高台への移転を決定。引っ越し前最後の展示会が行われています。

すりガラスの引き戸をガラリと開けると、広がるのは静まりかえったアートの世界です。

掛け軸に描かれているのは、夜空に浮かぶ三日月。シンプルな絵ですが、ずっと見ていたくなるような不思議な魅力があります。日本画の巨匠・横山大観の水墨画「冬の月」です。

中土佐町立美術館は、1989年の開館以来多くの人に愛されてきましたが、津波浸水区域に指定されたため移転を決定。この場所では最後となるフィナーレ展は、約900点ある所蔵の中から来館者が「もう一度ここで見たい一枚」をアンケートで募集。希望の多かった作品にメッセージを添えて展示しています。

キャンバスいっぱいに描かれた牛は、版画家として知られる棟方志功の作品「御黒遍牛」です。メッセージには「力強く動き出しそう」「いつまでも見ていたい」とあります。

「赤の色がいつまでも残っています」というメッセージが寄せられたのは、宿毛出身の画家・奥谷博さんが描いた「緑皿之鯛」です。

フィナーレ展は6月29日までで、36年の歴史にいったん幕を下ろします。新たな美術館は、高台にある温泉施設「黒潮本陣」の敷地内で7月19日にプレオープンの予定です。

高知さんさんテレビ
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