20日に福岡地裁で注目の判決が言い渡されます。

“闘うニワトリ”をめぐり被告の男と被害者の主張は真っ向から対立しています。

漢字では軍鶏と書くニワトリの一種「シャモ」。

東南アジアなどで古くから「闘う鶏」として知られていて、日本では国の天然記念物にも指定されている貴重なニワトリです。

そんな「シャモ」をめぐって20日、福岡地裁で注目の判決が言い渡されます。

◆来原満一被告(16日の法廷)
「私は事実誤認で逮捕・起訴されています。無罪を主張します」

16日の法廷で身の潔白を主張した短髪の男。

福岡県鞍手町の来原満一被告、34歳です。

来原被告は去年7月、鞍手町で77歳の男性が飼育するシャモ1羽などを盗んだ上、それを発見した男性に胸ぐらをつかまれ逃走を阻止されたところ、車を急発進させて男性をひき全治5ケ月のけがをさせたとして、強盗傷人などの罪に問われています。

9日の初公判で来原被告は起訴内容を否認しました。

◆裁判長
「間違っているところはありますか?」

◆来原被告
「あります!私は男性に現金2万円を払っているので、シャモを盗んでいません。故意に車でひくようなことはやっていません」


事件が起きたのは去年7月15日。

公判によるとその1週間前の7月8日、来原被告が男性のもとを初めて訪れ、シャモについて会話を交わしました。

しかし、その会話の内容をめぐって双方の供述が真っ向から対立したのです。

◆来原被告
「おじいちゃんに『2万円でヒナのつがいを分けてください』と言いました。おじいちゃんは『いいよ~』って。財布に1万円しかなかったので、『当日1万円持ってくるので良いですか?』と言って、(男性に)1万円だけ渡しました」

これに対し証人として出廷した被害者の男性は…。

◆被害男性
「(来原被告に)『いくらで買うんか?』と聞いたら『5000円くらい』と言ってきました。『俺の鶏は5万円はするんぞ』と言いました」

◆検察官
「売り買いの話をしたのでは?」

◆被害男性
「していません」

◆検察官
「2万円で、という話は?」

◆被害男性
「していません」

◆検察官
「1万円渡されていない?」

◆被害男性
「もらっていません」

「現金を支払った」とする被告に対し、男性は「購入の約束も金銭の交付もしていない」と主張。

事件当日の状況についても来原被告は「おじいちゃんに『1万円持ってきたのでシャモ持って行きますね』と言って、車に載せました」と供述していますが、男性は「犯人がシャモの箱を盗っていきよるなと思ったので、『お前なんしようとか!』と3回くらい言って、車の方に行って胸ぐらを掴みました」と証言しました。

検察側は「男性がウソをついて被告を陥れる動機がない」として懲役10年を求刑しました。

一方、弁護側は、「被告の供述には不自然な点はない」として強盗傷人の罪について改めて無罪を主張しています。

果たしてどちらの供述が“真実”なのか、福岡地裁は20日、来原被告に判決を言い渡します。

テレビ西日本
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