外国人労働者の在留資格の取得に必要な日本語のテストで、「替え玉受験」を行った疑いでベトナム国籍の男が逮捕されました。男は仲介役とみられています。
【記者リポート】「替え玉受験の仲介役とみられる男の身柄が、新大阪駅に移送されてきました」
私電磁的記録不正作出・同供用の疑いなどで逮捕された、東京都に住むベトナム国籍のグエン・ヴァン・タイ容疑者(25)。
タイ容疑者は去年12月、大阪市で行われた「介護日本語評価試験」で、別の人物に受験させる、いわゆる「替え玉受験」をした疑いが持たれています。
タイ容疑者は仲介役で、SNSで替え玉受験の希望者を募集し、代わりに受験する人物と引き合わせることなどで、仲介手数料を得ていたとみられています。
警察はタイ容疑者の認否を明らかにしていませんが、他にも替え玉受験を仲介していたとみて、詳しく調べています。
■「代わりに受けてくれるサービスを…」急に日本語資格求められ『替え玉』に走ったか
替え玉受験の背景には何があるのか。ベトナム人が情報交換をするSNSを見てみると、“替え玉”を依頼する投稿がありました。
【“替え玉”を依頼する投稿】「日本語能力試験のN2(レベル)を代わりに受けてくれるサービスを紹介してください」
ベトナム人の労働問題に詳しい専門家は、「日本の外国人受け入れ制度に問題がある」と指摘します。
【神戸大学 斉藤善久准教授】「全く日本語ができなくてもいいよという感じで入れておいて、そのあと特定技能に上がるとか、転職するとかになってくると突然、『日本語が必要です』みたいなことを言い出す制度」
日本語の試験が必要ない技能実習で来日すると、次の在留資格更新の段階で急に日本語の試験を求められ、そこで“替え玉”に走ってしまうことがあると言います。
【神戸大学 斉藤善久准教授】「日本に来る前にN4(日本語試験の資格)を取らずに来てしまって、そういう人が入る現場は日本語が要らない。日本語をそこから勉強するというのは難しい」
■仕事と両立しながら日本語能力試験取得した男性「大変でした本当に」
3年前に技能実習生として来日したフックさん。現在、特定技能の資格を取り、ラーメン店で働いています。
仕事と両立しながら、特定技能に必要な日本語能力試験のN4とN3を取得しました。
【ベトナム人 フックさん】「大変でした、本当に。仕事と日本語試験を同時にすると、困ることがいっぱいありました」
(Q.替え玉受験する人がいるが?)
【ベトナム人 フックさん】「それはだめじゃないか。すべてはルールがありますから。だからルールは守らないといけない」
「替え玉受験」をさせないための制度作りが求められます。
(関西テレビ「newsランナー」 2025年6月19日放送)