コメの高騰が社会問題となる中、新潟県内でコメ農家などによるデモ行進が行われました。集まった農家は高齢化や担い手不足といった厳しい現状を訴え、日本有数のコメどころから持続可能な農業の実現を訴えました。
■コメ不足叫ばれる中…生産そのものが危うい状況に
6月14日午後の長岡市。行われていたのはコメ農家などによるデモ行進です。
“令和の百姓一揆”と題されたデモの背景には、コメ農家が置かれる厳しい現状があります。
農林水産省によりますと、コメの価格は減少傾向が続き、おととし産を見ると30年前から60kg当たり1万円近く下落。コメ不足を受け、去年産は平均の相対取引価格が2万4500円まで高騰しましたが…
「ほかの物価が上がっている。(コメ価格の)見た目だけが高くなって見えるけど、元に戻っただけ」
令和の百姓一揆実施に向け、5月に行われていた打ち合わせでも話題はコメの価格、そして農業経営の厳しさに。
【新潟百姓一揆実行委員会 堀保夫さん】
「トラクター・田植え機・コンバイン、あるいは肥料・農薬が倍の値段になっている。決して農家は(コメの価格が)今のように高ければいいとは全然思っていない。要は再生産ができる価格(であることが必要)」
さらに、コメ農家の数も2000年から20年間で半数以下に減り、年齢構成も60代以上が約9割にのぼっています。
【新潟百姓一揆実行委員会 堀保夫さん】
「高齢者が時給10円というボランティアの精神で田んぼを耕している。残されている時間は5年もない。その後、誰がコメを作るのか」
スーパーの棚が空になり、政府の備蓄米に人が殺到するなどコメが求められていますが、このままでは生産そのものが危うい状況に。
コメに関心が集まる今こそ、所得補償など持続可能な農業の実現を訴えようと、実行委員会は県内各地から軽トラックやトラクターを集め、デモ行進をすることを発案しました。
【新潟百姓一揆実行委員会 堀保夫さん】
「現状、大変な状況にあるんだというのを、自分事として考えてもらうということがこれから重要になる」
■コメを次の世代へ!デモ行進で農業経営の窮状訴える
そして、迎えたデモ決行の日。県内7か所からそれぞれ長岡市を目指す隊列には多くの農家が参加していました。
【三条市のコメ農家】
「やっぱり今の怒り。皆さんに知ってほしいし、農家だけではなくて、消費者の問題でもある」
【小千谷市のコメ農家】
「新潟県は日本一の生産量なので、インパクトはあると思う」
道すがら農家たちは各地で集会を開き、訴えを広げていきます。
【上越市のコメ農家】
「『最近米価もいいから、これで担い手も増えたらいいね』なんて。何を言っているのかと、次に米価が下がったら農家がいなくなる」
そして、午後2時。集合場所には雨にもかかわらず300人近くが集まり、行進がスタート。
「限界を超えている農家を守ろう」
8台のトラクター、35台の軽トラックが集結し、農業経営の窮状を訴えました。
【長岡市の農家】
「聞いてくれた人はいたし、色んな方が車の中から手を振ってくれた」
【佐渡市の農家】
「届くか届かないか、2つに1つじゃないと思う。やればやるほど届くと思う」
日本の主食であるコメを次の世代につなげるために。
【阿賀野市のコメ農家】
「次の世代につなげるためにも、この活動に子どもと参加して、将来のために何かできることをしたいと思っていた」
【息子】
「箱洗いを手伝っている。農家をやってみたい」
どのように農業を持続可能にしていくのか、真剣な議論が求められます。